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雇用契約書(法定の様式なし・厚生労働省がモデル労働条件通知書を公開)
雇用契約書は、労働者を雇い入れるときに使用者と労働者が取り交わす書面です。労働基準法が使用者に義務づけているのは、労働条件の「明示」です(労働基準法15条1項)。契約期間・就業の場所と業務・労働時間・賃金・退職に関する事項などは、書面の交付による明示が必要です。契約書という名称の書面をつくること自体は労働基準法上の義務ではありませんが、労働契約法は労使双方に、契約内容をできる限り書面で確認するよう求めています。行政機関に提出する書類ではなく、労働者本人に交付します。
| 作成者 | 使用者(労働者と取り交わす) |
|---|---|
| 時期 | 労働契約の締結時(有期契約の更新時も) |
| 費用 | 行政手数料なし |
| 交付先 | 労働者本人(行政機関へは提出しない) |
| 様式 | 法定様式なし(モデル労働条件通知書が参考) |
誰が・どんなときに必要?
明示が必要になるのは、使用者が労働契約を締結するときです。有期労働契約の更新は新たな労働契約の締結にあたるため、厚生労働省のQ&Aは、契約更新の際にも現行の明示ルールに則った明示が必要としています。パートタイム労働者・有期雇用労働者については、別の明示義務があります(パートタイム・有期雇用労働法6条1項)。雇い入れたときに速やかに、昇給の有無など4つの「特定事項」を文書の交付等で明示します。
手続きの流れ
- 1
明示事項を洗い出す
労働基準法施行規則が明示事項を定めています。契約期間と、就業の場所と従事すべき業務(変更の範囲を含む)が対象です。有期契約で更新の可能性がある場合は、更新の基準(通算契約期間や更新回数の上限があるときはその上限を含む)も対象です。始業・終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間・休日・休暇、賃金、退職(解雇の事由を含む)も対象です。退職手当・賞与・安全衛生・表彰と制裁などは、そうした定めを置く場合に明示します。
- 2
書面事項を分ける
労働基準法施行規則5条3項により、書面で明示しなければならないのは列挙事項の1号から4号まで(昇給に関する事項を除く)です。契約期間、更新の基準、就業の場所と業務およびその変更の範囲、労働時間関係、賃金(昇給を除く)、退職に関する事項が対象です。それ以外は、労働基準法上は書面交付までは求められません。ただし無期転換申込権が発生する有期契約では追加事項も書面明示の対象になり、パート・有期雇用労働者の「特定事項」は別途文書の交付等が必要です。
- 3
有期契約を点検する
通算契約期間が5年を超えると、労働者の申込みにより無期労働契約に転換します。その申込みができることとなる有期労働契約を結ぶときは、無期転換申込みに関する事項と無期転換後の労働条件の明示も必要です。無期転換後の労働条件を決めるに当たっては、就業の実態に応じて正社員等とのバランスを考慮した事項を有期契約労働者に説明するよう努めることとされています。
- 4
特定事項を加える
パートタイム・有期雇用労働法は、雇い入れたときに速やかに「特定事項」を文書の交付等により明示するよう義務づけています。特定事項は、昇給の有無、退職手当の有無、賞与の有無、雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口の4つです。この明示を怠った者は、裁判所から10万円以下の過料に処される可能性があります。
- 5
書面を交付する
書面の名称や様式は法令で定められていません。厚生労働省の「主要様式ダウンロードコーナー」に、モデル労働条件通知書がWordとPDFで公開されています。区分は一般労働者用・短時間労働者用・派遣労働者用・建設労働者用・林業労働者用です。常用・有期雇用型は全類型にあり、日雇型は短時間労働者用を除く各類型にあります。同コーナーでは切替前後の様式が別々に掲載されているため、締結時期に応じて使い分けます。
- 6
保存と周知を行う
交付した書面は、雇入れに関する書類として労働基準法の保存義務の対象になります。保存期間は5年間が原則ですが、労働基準法附則により当分の間は3年間です。起算日は書面を交付した日ではなく、労働基準法施行規則により当該労働者の退職または死亡の日です。就業規則は、各作業場の見やすい場所への掲示・備付け、書面の交付、常時確認できる機器の設置のいずれかの方法で周知します。
主な必要書類
- (行政機関への添付書類はありません)(届出書類ではないため、役所に添える書類はありません。以下は作成時に手元にそろえると確認しやすい関連書類です。)
- モデル労働条件通知書(厚生労働省)(主要様式ダウンロードコーナーからWord・PDFで入手できます。法定様式ではなく、必要に応じて事業場で使用するものです。)
- 就業規則(常時10人以上の労働者を使用する使用者は作成し、行政官庁に届け出ます。通知書には確認できる場所や方法を記載する欄があります。)
- 労働者名簿(各事業場ごとに調製し、氏名・生年月日・履歴などを記入します。厚生労働省が様式を公開しています。)
- 賃金台帳(各事業場ごとに調製し、賃金支払の都度、賃金計算の基礎となる事項と賃金額を遅滞なく記入します。)
※ 機関設計や事案により必要書類は増減します。
費用(実費)
行政機関に提出する手続ではないため、手数料はかかりません。厚生労働省のモデル労働条件通知書は同省ウェブサイトで公開されており、ダウンロードして使えます。
提出先・提出方法
行政機関に提出する手続ではありません。作成した書面は労働者本人に交付します。労働者が希望した場合に限り、ファクシミリや電子メール等の送信による明示も認められます。常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成して行政官庁(労働基準監督署)に届け出ます。その際は、過半数労働組合または過半数代表者の意見を記した書面の添付が必要です。
つまずきやすいポイント
- 書面交付が必要な事項の漏れに注意が必要です。労働基準法施行規則が掲げる明示事項のうち1号から4号まで(昇給に関する事項を除く)は書面での明示が必須です。労働基準法15条1項に違反した者は、裁判所から30万円以下の罰金に処される可能性があります。
- 有期労働契約は更新のたびに明示が必要です(更新は新たな労働契約の締結にあたります)。厚生労働省のリーフレットは、最初の契約締結より後に更新上限を新たに設ける場合や当初の上限を短縮する場合の扱いも案内しています。その理由を、新設・短縮の前にあらかじめ有期契約労働者へ説明することが必要です。
- 電子メールでの明示は労働者本人が希望した場合に限られ、受信した労働者が記録を出力して書面を作成できるものに限られます。希望がないまま書面を交付しないと、明示義務を果たしたことになりません。
- 求人時に示した条件と異なる条件で契約する場合は、契約前の変更明示が必要です。職業安定法は、募集時に明示した業務の内容・賃金・労働時間などを変更して労働契約を締結しようとするときの義務を定めています。相手方となろうとする者に、変更内容を明示しなければなりません。
- 令和8年10月1日から、パート・有期雇用労働者への雇入れ時の明示事項に「待遇の相違の内容・理由等に関する説明を求めることができる」旨が加わります。違反した者は、裁判所から10万円以下の過料に処される可能性があります。切替後に使うモデル様式も別に掲載されています。
よくある質問
雇用契約書を作らないと違法になりますか。
労働基準法15条1項が使用者に義務づけているのは労働条件の明示で、施行規則に定める事項は書面の交付による明示が必要です。書面の名称や様式は、法令で定められていません。「労働条件通知書」でも、労使双方が署名する契約書の形でも、必要な事項が明らかとなる書面であれば明示の要件を満たします。労働契約法は、労働者と使用者は労働契約の内容についてできる限り書面により確認するものとしています。
電子メールやPDFで渡してもよいですか。
労働者が希望した場合に限り、ファクシミリの送信または電子メール等の送信による明示が認められます(労働基準法施行規則5条4項ただし書)。電子メール等については、受信した労働者が記録を出力して書面を作成できるものに限られます。労働者からの希望がない場合は、書面の交付が原則です。
明示した労働条件が実際と違っていた場合はどうなりますか。
明示された労働条件が事実と相違する場合、労働者は即時に労働契約を解除することができます。この場合に、就業のために住居を変更した労働者が契約解除の日から14日以内に帰郷するときは、使用者が必要な旅費を負担します。使用者は、明示すべき労働条件を事実と異なるものとしてはならないとされています。
作成した書面はいつまで保存すればよいですか。
使用者は、労働者名簿、賃金台帳および雇入れ・解雇・災害補償・賃金その他労働関係に関する重要な書類を5年間保存します。ただし労働基準法附則により、当分の間は3年間と読み替えられます。起算日は労働基準法施行規則に定められ、雇入れに関する書類については労働者の退職または死亡の日です(書面を交付した日ではありません)。
出典・公式様式の入手先
様式ファイルは発行元(厚労省・労働局)の公式ページで配布されています。当サイトでは様式ファイルをホスティングしていません。本ページの記載は下記の公式情報に基づきます(最終確認 2026-09-19)。
厚労省・労働局の他の書式
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- 時間外労働・休日労働に関する協定届(36協定・様式第9号/第9号の2)
- 1年単位/1か月単位の変形労働時間制に関する協定届
- 労働者代表(過半数代表者)選任書
- 労働者名簿/賃金台帳/出勤簿(法定三帳簿)
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