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時間外労働・休日労働に関する協定届(36協定:一般条項=様式第9号/特別条項=様式第9号の2)
「時間外労働・休日労働に関する協定届」は、労働基準法36条1項の労使協定(いわゆる36協定)を、事業場を管轄する労働基準監督署長に届け出るための様式です。限度時間の範囲内で協定する場合は様式第9号、臨時的に限度時間を超える定めを置く場合は様式第9号の2を使います(労働基準法施行規則16条1項)。法定労働時間を超える労働や法定休日の労働は原則として認められておらず、締結と届出は別の手続で、届け出て初めて協定の範囲内で行わせることができる効果が生じます。
誰が・どんなときに必要?
届け出るのは使用者で、事業場ごとに行います。協定の相手方は、その事業場の労働者の過半数で組織する労働組合、ない場合は労働者の過半数を代表する者です(労働基準法36条1項)。同項は「協定をし、…行政官庁に届け出た場合においては」時間外・休日労働をさせることができると定めているため、実際に働かせる前に届出まで済ませる必要があります。協定の対象期間は1年間に限られるので(同条2項2号)、継続して時間外労働をさせる場合は改めて協定を結び、届け出ます。
手続きの流れ
- 1
使う様式を確かめる
限度時間(1か月45時間・1年360時間。対象期間が3か月を超える1年単位の変形労働時間制の労働者は1か月42時間・1年320時間)の範囲内なら様式第9号、臨時的にこれを超える定めを置くなら様式第9号の2です(労働基準法36条3項・4項、施行規則16条1項)。建設事業は災害時における復旧及び復興の事業に限り、自動車運転の業務や特定医師とともに施行規則70条1項の様式第9号の3の2から第9号の5までの対象で、それ以外の通常の建設事業は様式第9号/様式第9号の2を使います。
- 2
協定の当事者を確認・選出する
過半数組合がない事業場では、労働者の過半数を代表する者を選びます。過半数代表者は、労働基準法41条2号の管理監督者でないこと、協定をする者を選出することを明らかにして実施される投票・挙手等の手続で選ばれた者であること、使用者の意向に基づいて選出された者でないことが必要です(施行規則6条の2第1項)。これらを満たさない場合は有効な協定になりません。
- 3
協定事項を決めて締結する
労働者の範囲、対象期間(1年間)、時間外・休日労働をさせることができる場合、1日・1か月・1年それぞれについて延長できる時間または労働させられる休日の日数を定めます(労働基準法36条2項)。あわせて有効期間の定め、1年の起算日、1か月100時間未満・2〜6か月平均80時間以内の要件を満たすことも定めます(施行規則17条1項1号〜3号)。特別条項を置く場合は、限度時間を超えて労働させる場合、健康及び福祉を確保するための措置、割増賃金率、手続も定めます(同項4号〜7号)。
- 4
様式に記入し、チェックボックスを入れる
事業の種類・名称・所在地、業務の種類、労働者数(満18歳以上の者)、延長できる時間数、起算日、協定の成立年月日、労働者側当事者の職名・氏名と選出方法を記入します。1か月100時間未満かつ2〜6か月平均80時間を超えない旨のチェックボックスは、入れないと有効な協定になりません(記載心得7。この「2〜6か月」は起算日をまたぐ場合も含む連続した期間です)。労働者代表の適格性のチェックは、要件を満たしていても入れ忘れると届出の形式上の要件に適合しません(記載心得8)。
- 5
所轄労働基準監督署長へ届け出る
事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長あてに提出します(施行規則16条1項)。窓口持参・郵送のほか、e-Gov電子申請や労働条件ポータルサイト「確かめよう労働条件」の作成支援ツールからの電子申請が使えます。届出部数は1部で、控えが必要な場合は原本と控え(写)の2部です。郵送で控えの返送を受けるときは、返送用の切手と封筒、送付状を同封します。
- 6
労働者に周知し、書類を保存する
労働基準法36条1項の協定は、同法106条1項の周知義務の対象です。掲示・備付け、書面の交付、電子計算機のファイルに記録して常時確認できる機器を設置する方法などで周知します(施行規則52条の2)。労働関係に関する重要な書類は5年(労働基準法109条。ただし附則により当分の間3年)保存します。特別条項の健康・福祉確保措置の実施状況の記録は有効期間中と満了後5年間の保存が定められ(施行規則17条2項)、同規則71条により当分の間3年間に読み替えられています。
主な必要書類
- 時間外労働・休日労働に関する協定届(様式第9号。特別条項を置く場合は様式第9号の2)(厚生労働省「主要様式ダウンロードコーナー」でWord版を入手できます。様式第9号の2は2枚組です。)
- 36協定(協定書)(様式そのものを協定とする場合も、労使双方の合意が協定上明らかとなる方法で締結します(記載心得9)。)
- 郵送で控えの返送を受ける場合の同封物(原本及び控え(写)、返送用の切手・封筒、送付状。)
- 一括届出事業場一覧作成ツールで作成したCSVファイル(電子申請で本社一括届出を行う場合に添付します。)
- 委員会の委員数・委員の氏名等を記入した用紙(労使委員会の決議として届け出る場合に別途提出します(様式第9号 備考2)。)
※ 機関設計や事案により必要書類は増減します。
費用(実費)
届出そのものに手数料はかかりません。厚生労働省の主要様式ダウンロードコーナーや労働局の36協定届の案内に届出手数料の記載はなく、様式にも収入印紙を貼る欄はありません。郵送で届け出て控えの返送を受ける場合は、返送用の切手・封筒の実費がかかります。
提出先・提出方法
事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長(労働基準法施行規則16条1項)。窓口持参・郵送のほか、e-Gov電子申請、および労働条件ポータルサイト「確かめよう労働条件」の電子申請様式作成支援ツールからの電子申請ができます。複数の事業場がある場合は事業場ごとに所轄署へ届け出るのが原則ですが、労働保険番号・事業の種類・事業の名称・事業の所在地(電話番号)・労働者数(満18歳以上の者)・協定成立年月日・(労働者側)協定当事者の7項目以外の協定内容が同一であれば、本社の所轄署への一括届出も可能です(電子申請の場合に限り、労働者代表が事業場ごとに異なっていても一括届出ができます)。
つまずきやすいポイント
- 協定を結んだだけでは足りません。労働基準法36条1項は「協定をし、…行政官庁に届け出た場合においては」時間外・休日労働をさせることができると定めており、締結と届出は別の手続です。届出をしないまま法定時間外労働や法定休日労働を行わせると労働基準法違反になります。
- チェックボックスの入れ忘れが典型的なつまずきです。1か月100時間未満・2〜6か月平均80時間以内を守る旨のチェックがないと有効な協定になりません(記載心得7)。労働者代表の適格性のチェックがない場合は、要件自体を満たしていても届出の形式上の要件に適合しないとされています(記載心得8)。
- 過半数代表者の選び方も要注意です。管理監督者を代表者にしたり、使用者側が指名したりすると、施行規則6条の2第1項の要件を欠き、有効な協定になりません。
- 協定で定めた時間の範囲内であっても、時間外労働と休日労働の合計が1か月について100時間以上になった場合、または2〜6か月の平均で80時間を超えた場合は労働基準法36条6項違反となり、同法119条1号により6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象になります。
- 36協定の作成や労働基準監督署への提出代行、労務管理に関する個別のご相談は社会保険労務士の業務範囲です。本ページは公表されている法令・厚生労働省資料に基づく手続の解説であり、個別事案の判断は社会保険労務士または所轄労働基準監督署にご確認ください。
よくある質問
様式第9号と様式第9号の2は、どう使い分けますか。
1か月45時間・1年360時間(対象期間が3か月を超える1年単位の変形労働時間制の労働者は1か月42時間・1年320時間)という限度時間の範囲内で協定するなら様式第9号です。臨時的に限度時間を超えて労働させる定めを置く場合は様式第9号の2を使います(労働基準法施行規則16条1項)。様式第9号の2は、限度時間内の内容を書く1枚目と、限度時間を超える部分を書く2枚目の2枚組です。
特別条項を結んだ場合でも守らなければならない上限はありますか。
1か月の時間外労働と休日労働の合計は100時間未満、1年の時間外労働は720時間以内で、限度時間を超えられる月数は1年について6か月以内です(労働基準法36条5項)。加えて、複数月の平均でも80時間を超えないことが必要です(同条6項)。坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務は、1日について延長できる時間が2時間を超えないこととされ(同項1号)、対象業務は施行規則18条に限定列挙されています(多量の高熱物体を取り扱う業務、著しく寒冷な場所における業務、有害放射線にさらされる業務、異常気圧下における業務など)。
毎年届け出る必要がありますか。
協定の対象期間は1年間に限られるため(労働基準法36条2項2号)、引き続き時間外・休日労働をさせるには改めて協定を結んで届け出るのが基本です。なお、協定を更新しようとするときは、その旨の協定を所轄労働基準監督署長に届け出ることで、様式による届出に代えることができます(施行規則16条3項)。
押印や署名は必要ですか。
厚生労働省の案内によると、令和3年4月1日以降は使用者の押印および署名が不要になり、代わりに協定の当事者である労働者代表が適格に選出されているかについてのチェックボックスが設けられました。ただし、様式そのものを協定として使う場合は、労使双方の合意があることが協定上明らかとなるような方法で締結するよう留意することとされています(様式第9号 記載心得9)。
出典・公式様式の入手先
様式ファイルは発行元(厚労省・労働局)の公式ページで配布されています。当サイトでは様式ファイルをホスティングしていません。最新版を必ず公式ページでご確認ください。本ページの記載は下記の公式情報に基づきます(最終確認 2026-07-30)。
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