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1年単位/1か月単位の変形労働時間制に関する協定届

労使協定で定めた変形労働時間制を、事業場を所轄する労働基準監督署長に届け出るための書式です。1か月単位は労働基準法32条の2が根拠です。1年単位は別の条が根拠で、両者は導入方法も様式も別々です。1か月単位は様式第3号の2、1年単位は様式第4号を使います。届出義務が生じているのにこれを怠った場合は、裁判所から30万円以下の罰金に処される可能性があります(労働基準法120条1号)。1か月単位を就業規則その他これに準ずるものだけで導入した場合は、この協定届の義務自体が生じません。

1年単位/1か月単位の変形労働時間制に関する協定届の要点。
届出者変形労働時間制を採用する事業場の使用者
期限条文上の日数なし(対象期間の開始前に届出)
費用手数料の定めなし
提出先事業場を所轄する労働基準監督署長
様式1か月単位は様式第3号の2、1年単位は様式第4号
全国統一様式発行:厚生労働省(所轄労基署)最終確認:2026-09-19

誰が・どんなときに必要?

届け出るのは、変形労働時間制を採用する事業場の使用者です。1か月単位は書面による労使協定でも就業規則その他これに準ずるものでも導入できますが、届出の対象は労使協定です(労働基準法32条の2第2項)。1年単位は書面による労使協定のみで導入し、届出が必要です。届出期限の日数は条文に置かれていませんが、届出そのものは義務づけられ、届出をしないこと自体が罰則の対象です。対象期間の開始前に提出できるよう日程を組みます。具体的な提出時期の取扱いの確認先は、所轄労働基準監督署です。

手続きの流れ

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    制度を確定する

    1か月以内の一定の期間を平均して1週間当たりの労働時間を法定内に収めるなら1か月単位、1か月を超え1年以内の対象期間を平均するなら1年単位です。1年単位には就業規則による導入方法が条文になく、書面による労使協定が必須です。様式も1か月単位が様式第3号の2、1年単位が様式第4号と分かれるため、最初に制度を確定してから記入します。

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    代表者を選ぶ

    締結相手は、労働者の過半数で組織する労働組合があればその労働組合、なければ労働者の過半数を代表する者です。過半数代表者は、監督又は管理の地位にある者でないことが必要です。協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票・挙手等の方法で選出され、使用者の意向に基づき選出されたものでないことも必要です。要件を欠くと、有効な協定になりません。

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    協定事項をそろえる

    1年単位では、対象労働者の範囲、対象期間、特定期間、対象期間における労働日および労働日ごとの労働時間、有効期間の定めが必要です。1か月単位の労使協定にも、労働協約による場合を除き有効期間の定めをします。いずれの制度でも、協定や就業規則で期間の起算日を明らかにします。

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    上限を検算する

    1年単位は、1日10時間・1週52時間が限度です。対象期間が3か月を超えるときは、労働日数が対象期間について1年当たり280日以内であること(旧協定がある場合の減算特則あり)が必要です。48時間を超える週が連続する場合の週数が3以下であること、初日から3か月ごとに区分した各期間で48時間超の週の初日の数が3以下であることも必要です。連続労働日数は6日、特定期間は1週間に1日の休日が確保できる日数が限度です。

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    様式を作って届け出る

    様式第4号の記載心得は、「対象期間中の各日及び各週の労働時間並びに所定休日」を別紙に記載して添付することを求めています。過半数代表に関する2つのチェックボックスは、要件を満たしていてもチェックがないと届出の形式上の要件に適合しません。提出先は事業場を所轄する労働基準監督署長で、窓口・郵送のほか、厚生労働省は電子申請(e-Gov)の活用を案内しています。

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    届出後に周知する

    協定は、掲示・備付け・書面交付その他省令で定める方法で労働者に周知させます。1年単位で対象期間を1か月以上ごとに区分し、最初の期間を除く各期間について労働日数と総労働時間だけを定めた場合は、追加の手当てが要ります。各期間の初日の少なくとも30日前に過半数代表等の同意を得て、労働日と労働日ごとの労働時間を書面で定めます。

主な必要書類

  • 1年単位の変形労働時間制に関する協定届(様式第4号)(施行規則の様式です。厚生労働省の主要様式ダウンロードコーナーからWord版を入手できます。)
  • 1箇月単位の変形労働時間制に関する協定届(様式第3号の2)(1か月単位の労使協定で導入する場合に使う様式です。)
  • 労使協定書(任意の書式)(福井労働局の案内は、協定届とは別に労使協定書を添えるよう求めています。様式をもって協定とする場合も、労使双方の合意が明らかとなる方法で締結します。)
  • 対象期間中の各日・各週の労働時間および所定休日を示した別紙(年間カレンダー等)(様式第4号の記載心得が別紙の添付を求めています。福井労働局は、各日・各週の労働時間と所定休日が分かる資料を挙げています。)
  • 旧協定の内容が分かる控え(対象期間が3か月を超える場合、様式第4号の「旧協定の対象期間」等の欄に前回届け出た内容を転記するため手元に必要です。)
  • 返送用の切手・封筒および送付状(郵送で届け出る場合に、福井労働局の案内によります。記録付き郵便の利用も案内されています。)
  • 就業規則と過半数代表等の意見を記した書面(就業規則で1か月単位を導入する場合など、常時10人以上を使用する事業場が就業規則を届け出るときに必要です。)

※ 機関設計や事案により必要書類は増減します。

費用(実費)

労働基準法および労働基準法施行規則には、この協定届の提出について手数料を納める旨の定めは置かれていません。登録免許税法別表第一にも、協定届に対応する項はありません。提出先は国の機関である労働基準監督署長のため、都道府県の条例で定める手数料の論点も生じません。郵送で届け出る場合の郵便料金や返送用切手などの実費は自己負担です。

提出先・提出方法

事業場の所在地を所轄する労働基準監督署長です。窓口持参・郵送のほか、厚生労働省は届出等にあたって電子申請(e-Gov)を活用するよう案内しています。福井労働局の案内では、窓口の場合は協定届・労使協定書・年間カレンダーを正副2部提出し、副本が会社控えとして返されます。管轄の監督署は、厚生労働省サイトの全国労働局・労働基準監督署の所在地一覧に掲載されています。

つまずきやすいポイント

  • 1か月単位と1年単位で届出義務の生じ方が違います。1か月単位は就業規則だけで導入すると、労働基準法32条の2第2項の協定届は生じません。1年単位は書面による労使協定のみで導入し、32条の4第4項が32条の2第2項を準用するため届出が必要です。
  • 労働日数280日は「対象期間が3か月を超える場合」の限度です。3か月以内の対象期間には適用されないため、「1年単位は常に280日」と覚えると誤ります。一方、1日10時間・1週52時間は対象期間の長さを問わず限度です。
  • 様式のチェックボックス2つは、要件を満たしていてもチェックがないと届出の形式上の要件に適合しない、と記載心得が明記しています。過半数代表者が管理監督者であったり、使用者の意向で選ばれたりした場合は、そもそも有効な協定になりません。
  • 常時使用する労働者数が10人未満の商業、映画・演劇業(映画の製作の事業を除く)、保健衛生業、接客娯楽業には週44時間の特例があります。この特例は1か月単位では使えますが、1年単位には適用されません。1年単位は週40時間で計算します。
  • 適用できない労働者がいます。満18歳未満には原則適用できません(満15歳以上満18歳未満は、1週48時間以下・1日8時間以内の範囲で可)。妊産婦が請求した場合は、法定労働時間を超えて労働させられません。育児・介護等を行う者への配慮義務もあります。

よくある質問

就業規則で1か月単位の変形労働時間制を導入した場合も、協定届は必要ですか。

労働基準法32条の2第2項が届出の対象としているのは「前項の協定」、つまり書面による労使協定です。就業規則その他これに準ずるものだけで導入した場合、この協定届は生じません。ただし常時10人以上の労働者を使用する使用者には就業規則の作成・届出義務があり、所轄労働基準監督署長へ届け出ます。その届出には、過半数代表等の意見を記した書面を添付します。

届出をしなかった場合、罰則はありますか。

労働基準法120条1号は、32条の2第2項(32条の4第4項において準用する場合を含む)に違反した者を罰則の対象としています。1か月単位・1年単位のいずれの協定届も射程に入ります。違反すると、裁判所から30万円以下の罰金に処される可能性があります。周知義務違反も120条1号の対象です。違反行為をした者が事業主のために行為した代理人・使用人その他の従業者である場合、事業主にも罰金刑が科されます。ただし、事業主が違反の防止に必要な措置をした場合はこの限りではありません。

労使協定の有効期間はどのくらいにすればよいですか。

条文は有効期間の定めをすることを求めるだけで、長さの上限は書かれていません。厚生労働省のリーフレット「1か月単位の変形労働時間制」は、有効期間は対象期間より長い期間とする必要があるとしています。そのうえで、適切に運用するには3年以内程度を目安としています。1年単位について山口労働局の記入例は、様式第4号の有効期間欄に1年以内の有効期間を記入し、協定の成立年月日は有効期間の初日以前とするよう案内しています。

1年単位で、対象期間の途中に入社・退社した人の賃金はどうなりますか。

労働基準法32条の4の2は、対象期間中に労働させた期間が対象期間より短い労働者について定めています。その労働させた期間を平均して1週間当たり40時間を超えて労働させた場合、その超えた時間について割増賃金を支払わなければなりません。時間外・休日労働として延長し、又は休日に労働させた時間は除きます。山口労働局の協定例も、「賃金の清算」の条項を置いています。

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