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資本金の額の計上に関する証明書(現物出資・M&A等の例1〜9)
資本金の額の計上に関する証明書は、登記される資本金の額が会社法と会社計算規則のとおりに計算されていることを、会社の代表者が証明する添付書面です。商業登記規則61条9項は、設立の登記と資本金の額の増加又は減少による変更の登記の申請書に、この書面を添付しなければならないと定めています。法務局は、設立・募集株式発行・新株予約権の行使・吸収合併・吸収分割・株式交換・新設合併・新設分割・株式移転の9類型について記載例を公開しています。
誰が・どんなときに必要?
作成するのは、登記を申請する会社の代表者です。記載例は、証明の文言のあとに日付・本店・商号・代表取締役名を置く形になっています。出すのは登記申請のときで、設立の登記は発起設立なら会社法911条1項、募集設立なら同条2項が定める日(創立総会の終結の日など)のいずれか遅い日から2週間以内です。資本金の額の変更は同法915条1項により2週間以内が原則ですが、募集株式の発行で払込期間(会社法199条1項4号の期間)を定めた場合は同条2項によりその期間の末日現在で当該末日から2週間以内、新株予約権の行使による変更は同条3項1号により毎月末日現在で当該末日から2週間以内にすれば足りるとされています。
手続きの流れ
- 1
どの登記に使う証明書かを確かめる
法務局の様式ページの項番1-29には、設立・募集株式発行・新株予約権の行使・吸収合併・吸収分割・株式交換・新設合併・新設分割・株式移転の9つの記載例が並んでいます。類型ごとに引用する会社計算規則の条文が違いますので、まず自社の登記がどれに当たるかを確かめ、その記載例をダウンロードします。
- 2
自己株式の処分を伴うかどうかを確認する
募集株式発行と新株予約権の行使は、自己株式の処分を伴う場合と伴わない場合で様式が分かれます。伴う場合の記載例には、株式発行割合(発行する株式の数÷(発行する株式の数+処分する自己株式の数))と自己株式処分差損(募集株式発行は会社計算規則14条1項4号、新株予約権の行使は同規則17条1項5号)の欄が加わり、資本金等増加限度額の計算が一段細かくなります。
- 3
組織再編は分岐が細かいので様式を選び違えない
吸収合併・吸収分割は、相手方の株主資本を引き継ぐ場合とそれ以外とで引用する条文が変わります(吸収合併は会社計算規則35条・36条、吸収分割は37条・38条)。新設合併は支配取得の場合(45条)と共通支配下の場合(46条)に分かれ、株主資本を引き継ぐときは45条3項・47条により、記載例も7-1から7-4の4種類です。新設分割も単独新設分割(49条)・株主資本の引継ぎ(50条)・共同新設分割(51条)の3種類があります。
- 4
会社計算規則の条文どおりに金額を積み上げる
設立の記載例は、①払込みを受けた金銭の額(会社計算規則43条1項1号)、②給付を受けた金銭以外の財産の給付があった日における当該財産の価額(同項2号)、③①+②、という順に金額を並べます。出資をした者における帳簿価額を計上すべき場合には帳簿価額を書く、と注記されています。
- 5
資本準備金に回す分がある場合の追記をする
会社法445条2項は、払込み又は給付に係る額の2分の1を超えない額は資本金として計上しないことができるとし、3項はその額を資本準備金として計上しなければならないとしています。この扱いをするときは、記載例の注のとおり、その旨を証明書に書き、定款や募集事項に定めがある場合を除いて、額を決定したことを証する書面も添えます。
- 6
証明文言をまとめ、申請書の添付書類欄に書く
記載例は「…会社法第445条及び会社計算規則第○条の規定に従って計上されたことに相違ないことを証明する。」という文言のあとに、日付・本店・商号・代表取締役名を置く形です。仕上げたら登記申請書の添付書類欄に名称と通数を書きます。法務局は、添付書面の不足や記載の誤りがあるときは登記所から申請人又は代理人に連絡し、その連絡に従って対応する必要がある(これを補正という)と案内していますので、日中つながる電話番号を申請書に書いておきます。
主な必要書類
- 払込みがあったことを証する書面(募集株式発行の記載例で、この証明書と並んで挙げられています。)
- 募集株式の引受けの申込みを証する書面(株式申込証)(銀行等の株式申込取扱証明書を用いることもできるとされています。)
- 株主総会議事録(議事録の要否と様式は法務局の別表と様式A〜Cを参照します。)
- 株主の氏名又は名称、住所及び議決権数等を証する書面(株主リスト)(合併では存続会社・消滅会社それぞれについて添付します。)
- 取締役会議事録又は取締役決定書(資本金に計上しない額を決めた場合の決定書面にもなります。)
- 発起人の同意書(設立で資本金及び資本準備金の額が定款にないときに必要とされています。)
- 合併契約書(吸収合併・新設合併の申請書の添付書類です。)
- 登録免許税法施行規則第12条第5項(新設合併の場合は同条第3項)の規定に関する証明書(吸収合併による増資は同規則12条5項、新設合併による設立は同条3項の書面です(法務局の記載例1-23は3項と表記)。)
- 委任状(代理人に登記申請を委任した場合のみ必要です。)
※ 機関設計や事案により必要書類は増減します。
費用(実費)
証明書そのものに手数料はかかりません。かかるのは登記の登録免許税です。登録免許税法別表第一24号(一)では、株式会社の設立の登記は資本金の額の1000分の7(これによって計算した税額が15万円に満たないときは1件15万円。イ)、合同会社の設立は1000分の7(6万円に満たないときは1件6万円。ハ)、株式会社又は合同会社の資本金の増加の登記は増加した資本金の額の1000分の7(3万円に満たないときは1件3万円。ニ。募集株式発行・新株予約権の行使・株式交換による増資はここに当たります)、新設合併による株式会社又は合同会社の設立は資本金の額の1000分の1.5(消滅会社の合併直前の資本金の額として財務省令で定めるものを超える部分は1000分の7、3万円に満たないときは1件3万円。ホ)、吸収合併による資本金の増加は増加した資本金の額の1000分の1.5(同じく超える部分は1000分の7、3万円に満たないときは1件3万円。ヘ)、新設分割による設立は資本金の額の1000分の7(3万円に満たないときは1件3万円。ト)、吸収分割による資本金の増加は増加した資本金の額の1000分の7(3万円に満たないときは1件3万円。チ)とされています。株式移転による設立は、ホ・トのいずれにも当たらないため株式会社の設立の登記(イ)の区分になります。また、吸収合併・新設合併では、存続会社の変更登記又は設立会社の設立登記とは別に、消滅会社について合併による解散の登記が必要です。法務局の記載例(項番1-24 株式会社合併による解散登記申請書)は、この解散登記の登録免許税を「金3万円」としています(同表24号(一)レ)。合併の費用を見積もるときは、消滅会社1社につきこの3万円も合わせて考えてください。資本金の額の減少による変更の登記は、別表第一24号(一)ツ(イからソまでに掲げるもの以外の登記事項の変更)に当たり、申請件数1件につき3万円です(法務局の記載例1-25も登録免許税を金3万円としています)。なお法務局の申請書記載例の注では、課税標準金額は1000円未満、登録免許税額は100円未満の端数を切り捨てるとされ、納付は収入印紙又は領収証書によります。
提出先・提出方法
本店の所在地を管轄する法務局(登記所)です。この証明書だけを単独で出すものではなく、登記申請書の添付書面として一緒に提出します。申請方法には、書面申請のほか、オンライン申請とQRコード(二次元バーコード)付き書面申請があります。登記の申請は代理人によることも認められており、その場合は委任状が必要です。ただし、登記の申請手続について報酬を得て代理することを業として行えるのは、司法書士及び弁護士に限られます(司法書士法3条1項1号・73条1項)。
つまずきやすいポイント
- 類型ごとに引用する条文が違います。設立は会社計算規則43条、募集株式発行は14条、新株予約権の行使は17条、吸収合併は35条・36条というように、他の記載例の文面をそのまま流用すると条文番号が合わなくなります。
- 準備金や剰余金を資本に組み入れて増資する場合は、法務局が別に「準備金・剰余金の額に関する証明書の例」(項番1-30)を用意しています。項番1-29の9つの様式とは別物ですので、取り違えないようにします。
- 吸収合併の申請書記載例では、この証明書のほかに「登録免許税法施行規則第12条第5項の規定に関する証明書」も、合併により資本金の額が増加する場合の添付書類として挙げられています。どちらか一方だけにならないよう確かめます。
- 吸収合併で存続会社が消滅会社の株主資本を引き継ぐ場合、証明書の額は登記されている消滅会社の資本金の額と一致している必要があるとされ、吸収型再編対価が存しない場合には資本金の額を増加させることはできないと注記されています(会社計算規則36条2項)。
- 商業登記規則61条9項は資本金の額の減少による変更の登記も対象としていますが、項番1-29に減資の記載例はなく、資本金の額の減少の申請書記載例(項番1-25)の添付書類欄にもこの証明書は挙げられていません。減資での要否は管轄の登記所に確認してください。
よくある質問
出資が金銭だけの株式会社設立でも、この証明書は必要ですか。
法務局の記載例1-29の例1の注1は「設立に際して出資される財産が金銭のみの場合は,資本金の額の計上に関する証明書を添付する必要はない。」としています。設立登記申請書の記載例でも、添付書類欄に「資本金の額の計上に関する設立時代表取締役の証明書」が掲げられている一方、同じ記載例に載っている証明書の例の注1に同じ趣旨が明記されています。つまり添付書類欄の一覧は現物出資がある場合を含めたもので、出資される財産が金銭のみであれば添付は要りません。現物出資があるときは、給付を受けた財産の価額(会社計算規則43条1項2号)の欄も記載したうえで添付します。
合同会社でも同じ書面が必要ですか。
商業登記規則92条は「第六十一条第九項及び第六節(第八十六条を除く。)の規定は、合同会社について準用する。」と定めていますので、合同会社の設立や資本金の額の増加・減少の登記でも、資本金の額が会社法及び会社計算規則に従って計上されたことを証する書面が問題になります。合同会社の設立については、法務局が項番3-1「合同会社設立登記申請書」の記載例の中に「資本金の額の計上に関する代表社員の証明書の例」を載せており、引用する条文は持分会社の設立時の社員資本を定める会社計算規則44条、作成名義は代表社員です。項番1-29の記載例は株式会社の類型ですので、そのまま流用しないでください。
払込額の一部を資本準備金にしたいのですが、証明書には何を書きますか。
会社法445条2項は、払込み又は給付に係る額の2分の1を超えない額は資本金として計上しないことができるとし、3項はその額を資本準備金として計上しなければならないとしています。記載例の注では、この扱いをする場合はその旨を証明書に記載するとともに、定款や募集事項に定めがあるときを除き、額を決定したことを証する書面(発起人全員の一致があったことを証する書面、取締役会議事録等)の添付を要するとされています。
登記の期限を過ぎてしまいました。もう申請できませんか。
法務局は「登記すべき期間内に登記を怠り、その後に登記申請をする場合であっても、そのことだけをもって申請が却下されることはありませんが、会社・法人の代表者に対して、裁判所から100万円以下の過料に処される可能性があります。」と案内しています(会社法976条1号)。期限を過ぎても申請自体はできますので、そのままにせず準備を進めてください。
出典・公式様式の入手先
様式ファイルは発行元(法務局・公証役場)の公式ページで配布されています。当サイトでは様式ファイルをホスティングしていません。最新版を必ず公式ページでご確認ください。本ページの記載は下記の公式情報に基づきます(最終確認 2026-07-31)。
法務局・公証役場の他の書式
- 株式会社設立登記申請書(発起設立・取締役会設置あり/なし)
- 株式会社設立登記申請書(募集設立)
- 株式会社変更登記申請書(商号の変更)
- 株式会社変更登記申請書(目的の変更)
- 株式会社本店移転登記申請書(管轄内/管轄外)
- 株式会社役員変更登記申請書(就任・辞任・重任・住所氏名変更 各様式)
- 株式会社変更登記申請書(募集株式発行=増資)
- 株式会社変更登記申請書(資本金の額の減少=減資)
- 株式会社変更登記申請書(公告方法の変更)
- 株式会社解散及び清算人選任登記申請書
- 株式会社清算結了登記申請書
- 株式会社会社継続登記申請書(みなし解散対応含む)
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※ 本ページは一般的な情報提供であり、個別の法律判断ではありません。掲載内容は法務局・公証役場が公開する公式情報に基づく概要です。様式・要件は改版される場合がありますので、必ず公式ページで最新版をご確認ください。当サイトは様式ファイルをホスティングしていません。