LEGAL AFFAIRS BUREAU
表明保証書(実質的支配者申告の付随書類)
表明保証書は、株式会社・一般社団法人・一般財団法人の定款認証を受けるときに、公証役場へ提出する「実質的支配者となるべき者の申告書」の「暴力団員等該当性」欄の記入に代えて添付できる書面です。実質的支配者となるべき者本人が、暴力団員・国際テロリスト・大量破壊兵器関連計画等関係者のいずれにも該当しないことを表明する形をとります。法令が求めているのは公証人法施行規則46条1項の「申告」であり、「表明保証書」という名称や様式は法令に定めがなく、日本公証人連合会が記載例を示している運用上の書式です。
誰が・どんなときに必要?
対象は、公証人の定款認証を受ける株式会社・一般社団法人・一般財団法人です(会社法30条1項、一般社団・財団法13条・155条)。合名会社・合資会社・合同会社の定款は認証自体が不要なので対象外です。提出は必須ではなく、申告書の「暴力団員等該当性」欄に○を付ける方法でも差し支えないとされています。表明保証書を使う場合は、申告そのものと同じく定款認証の嘱託までに提出します。定款案の点検を公証人に依頼する際、申告書と併せて提出することがすすめられています。
手続きの流れ
- 1
申告書の該当性欄に○を付けるか、表明保証書を添付するかを決める
定款認証では、実質的支配者となるべき者が暴力団員等に該当するか否かの申告が求められます(公証人法施行規則46条1項2号)。通常は申告書の「暴力団員等該当性」欄で「該当」「非該当」を○で囲みますが、日本公証人連合会の申告書の注記では、これに代えて実質的支配者となるべき者が作成した表明保証書を提出することも可能とされています。どちらでも差し支えないので、先に方針を決めます。
- 2
実質的支配者となるべき者を特定する
実質的支配者は犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則11条2項で定義されています。日本公証人連合会の説明では、株式会社は①議決権の50%超を保有する個人→②25%超を保有する個人→③事業活動に支配的な影響力を持つ個人→④代表取締役の順、一般社団・一般財団法人は㋐支配的な影響力を持つ個人→㋑代表理事の順で判定します。ただし議決権の割合による判定には、その保有者が事業経営を実質的に支配する意思又は能力を有していないことが明らかな場合を除くという例外が定められています。間接保有がある場合の当てはめも含め、判定に迷うときは公証役場に相談すると確実です。
- 3
記載例を入手し、本人が作成する
日本公証人連合会のサイトに「実質的支配者となるべき者の表明保証書の例」が掲載されています(令和7年10月17日更新)。日付、認証担当公証人あての宛名、本人の住所・氏名、設立する会社・法人の名称を記入し、公証人法施行規則46条1項2号に規定する者のいずれにも該当しない旨を表明する内容です。作成するのは嘱託人や定款作成代理人ではなく、実質的支配者となるべき者本人です。
- 4
本人が署名する(押印は不要)
日本公証人連合会は、電子定款に関する書類の押印の取扱いを示した案内の中で、表明保証書は性質上、実質的支配者本人が作成することを要するため署名をお願いすることとし、この押印は不要としています。令和7年10月版の記載例には「記名押印でも可」との注記もあります。実印や印鑑登録証明書までは求められていませんが、取扱いが役場ごとに異なることもあるため、提出前に認証担当公証人に確認しておくと安心です。
- 5
申告書に添付して公証役場へ提出する
表明保証書は申告書に添付して提出します。申告書自体の提出が前提なので、表明保証書だけを出しても申告をしたことにはなりません。申告は定款認証の嘱託までに行う必要があり、日本公証人連合会は定款案の点検を依頼する際に併せて提出するよう案内しています。申告書の提出方法としてはメール・ファックス・郵送・持参などが案内されていますが、表明保証書の提出形式は公証役場にご確認ください。
- 6
該当する場合は公証人に説明する
実質的支配者となるべき者が暴力団員・国際テロリスト・大量破壊兵器関連計画等関係者に該当し、又は該当するおそれがあると公証人が認めるときは、嘱託人又はその実質的支配者となるべき者が公証人に必要な説明をすることになります(公証人法施行規則46条2項)。日本公証人連合会のQ&Aでは、説明があっても設立行為に違法性があると認められる場合には認証することができない、と説明されています。
主な必要書類
- 実質的支配者となるべき者の申告書(表明保証書はこの申告書に添付する書面です。株式会社用と一般社団・一般財団用で様式が分かれています)
- 実質的支配者となるべき者の本人特定事項が分かる資料(申告書の注記では、自然人は運転免許証・旅券・マイナンバーカード・在留カード等の写しなどが案内されています)
- 実質的支配者該当性の根拠資料(定款以外の資料で該当性を判断した場合は、その原本または写しを添付するよう申告書に注記されています)
- 認証を受ける定款(案)(定款案の点検を公証人に依頼する際に、申告書・表明保証書を併せて提出することがすすめられています)
※ 機関設計や事案により必要書類は増減します。
費用(実費)
表明保証書の提出それ自体について手数料を定めた規定は、公証人手数料令には見当たりません。手数料がかかるのは定款認証そのもので、株式会社・特定目的会社は資本金の額等が100万円未満なら3万円(発起人が全員自然人で3人以下・発起設立・取締役会非設置のいずれにも当たる株式会社は1万5,000円)、100万円以上300万円未満なら4万円、これら以外の場合(株式会社・特定目的会社で資本金の額等が300万円以上のとき、および一般社団法人・一般財団法人)は5万円と定められています(公証人手数料令35条1号〜3号)。紙の定款は、株式会社の場合に公証人が保存する原本1通につき収入印紙4万円が必要です(印紙税法別表第一第6号。課税物件は「会社(相互会社を含む。)の設立のときに作成される定款の原本」に限られ、株式会社の定款のうち公証人が保存するもの以外は非課税とされています)。一般社団法人・一般財団法人の定款は「会社」の定款ではないため、この印紙税はかかりません。電子定款ではこの印紙は不要ですが、電子証明書や対応ソフトの費用がかかります。総額は認証を受ける公証役場や日本公証人連合会の手数料の案内でご確認ください。
提出先・提出方法
定款認証を受ける公証役場の認証担当公証人あてに、実質的支配者となるべき者の申告書に添付して提出します。定款認証の事務は、法人の本店又は主たる事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局に所属する公証人が取り扱うと定められているため(公証人法57条)、役場はその範囲から選びます。公証人が職務を行える区域は所属する法務局・地方法務局の管轄区域とされているため(同法17条)、管轄外の公証役場では定款認証を受けられません。設立登記の添付書類ではないので、法務局に提出するものではありません。
つまずきやすいポイント
- 表明保証書は法令上の名称でも法定様式でもありません。公証人法施行規則が求めているのは46条1項の申告で、その申告方法のひとつとして日本公証人連合会が記載例を示しているものです。名称や様式が公証役場によって異なることがあります。
- 作成者を取り違えないようにします。申告書は嘱託人(定款作成代理人を含む)が提出しますが、表明保証書は性質上、実質的支配者となるべき者本人が作成する書面とされており、代理人が代わりに署名することは想定されていません。
- 表明保証書を出しても、申告書そのものは必要です。表明保証書が代わりになるのは申告書の「暴力団員等該当性」欄の記入だけで、氏名・住居・生年月日などは申告書に記載します。
- 古い記載例の使い回しに注意します。表明保証書の例は令和7年10月17日に更新され、公証人法施行規則46条1項2号を引用する内容になっています。パンフレット類には改正前の条番号(13条の4)のままの資料も残っています。
- 合名会社・合資会社・合同会社の定款は公証人の認証自体が不要なので、この書面も関係しません。株式会社・一般社団法人・一般財団法人の設立と取り違えないようにします。
よくある質問
表明保証書は必ず提出しなければなりませんか?
いいえ。日本公証人連合会の申告書の注記では、「暴力団員等該当性」欄の選択肢を○で囲むことに代えて、実質的支配者となるべき者が作成した表明保証書を提出することも可能とされています。令和3年7月から認められた取扱いで、欄に○を付ける方法だけで済ませることもできます。どちらの方法によるかは、認証を受ける公証役場にご相談ください。
誰が作成し、押印は必要ですか?
実質的支配者となるべき者本人が作成します。日本公証人連合会は、電子定款に関する書類の押印の取扱いを示した案内の中で、表明保証書は嘱託人(定款作成代理人)以外の者の作成であり、性質上、実質的支配者本人が作成することを要するため署名をお願いすることとし、この押印は不要としています。令和7年10月版の記載例には「記名押印でも可」との注記もあります。
実質的支配者となるべき者が複数いる場合はどうしますか?
日本公証人連合会の記載例は1名が「私は…」と表明する形式で、複数名いる場合の通数や書き方について、法令にも記載例にも定めは見当たりません。申告書には該当者全員を記載することとされているため、人数分の表明保証書が必要かどうかを含め、認証担当公証人にご確認ください。
表明保証書を出さないと定款は認証されませんか?
表明保証書自体は任意の書面です。もっとも公証人法施行規則46条1項の申告は必要とされており、日本公証人連合会のQ&Aでは、申告がない場合や必要な説明自体がない場合、また説明があっても設立行為に違法性があると認められる場合には認証することができない、と説明されています。個別の取扱いは公証役場にご確認ください。
出典・公式様式の入手先
様式ファイルは発行元(法務局・公証役場)の公式ページで配布されています。当サイトでは様式ファイルをホスティングしていません。最新版を必ず公式ページでご確認ください。本ページの記載は下記の公式情報に基づきます(最終確認 2026-08-07)。
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※ 本ページは一般的な情報提供であり、個別の法律判断ではありません。掲載内容は法務局・公証役場が公開する公式情報に基づく概要です。様式・要件は改版される場合がありますので、必ず公式ページで最新版をご確認ください。当サイトは様式ファイルをホスティングしていません。