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特例有限会社の商号変更による株式会社設立登記申請書
特例有限会社は、定款を変更して商号中に「株式会社」という文字を用いる商号変更をすることができます(整備法45条1項)。この定款変更は、本店所在地における移行の登記をすることによって効力を生じ(整備法45条2項)、通常の株式会社に移行します。登記は1件では終わらず、特例有限会社については解散の登記を、商号変更後の株式会社については設立の登記をします(整備法46条)。法務局の記載例も、この2件の申請は同時に行う必要があるとしています。会社が消滅するのではなく、同じ法人がそのまま続く手続です。
誰が・どんなときに必要?
申請するのは、移行後の株式会社を代表することになる代表取締役です(代理人に委任することもできます。ただし、登記の申請手続について報酬を得て代理することを業として行えるのは、司法書士及び弁護士に限られます=司法書士法3条1項1号・73条1項)。期限は、定款変更をする株主総会の決議をした日から2週間以内で、この場合に会社法915条1項は適用されません(整備法46条)。決議要件は、特例有限会社では会社法309条2項が読み替えられ、総株主の半数以上(これを上回る割合を定款で定めた場合はその割合以上)であって、当該株主の議決権の4分の3(これを上回る割合を定款で定めた場合はその割合)以上です(整備法14条3項)。
手続きの流れ
- 1
同一商号・同一本店の会社がないか調べる
商号の登記は、その商号が他人の既に登記した商号と同一であり、かつ本店の所在場所も同一であるときはすることができません(商業登記法27条)。法務局の記載例も、商号及び本店が同一の会社が既に存在する場合は商号変更による設立の登記ができないとして、そのような会社の有無を必ず確認するよう求めています。記載例では、この調査は無料でできると案内されています。
- 2
移行後の株式会社の定款を作成する
商号中に「株式会社」の文字を用いた定款を新たに作成します。法務局の記載例では「公証人の認証は不要です」と明記されており、通常の株式会社の設立とはこの点が異なります。記載例の定款は、附則で「商号変更が効力を生じた日からこれを施行するものとする」と定める形です。移行と同時に取締役会を設置するかどうかで使う様式が変わり、設置する場合は様式2-10になります。
- 3
株主総会で定款変更を決議する
決議要件は整備法14条3項の読替えにより、総株主の半数以上であって当該株主の議決権の4分の3以上です(いずれもこれを上回る割合を定款で定めた場合はその割合以上です)。役員が商号変更と同時に任期満了で退任する場合や辞任する場合は、同じ株主総会で新しい役員の選任議案も併せて決議します。この議事録は設立側の申請書の添付書類になります。
- 4
2通の申請書と添付書類をそろえる
設立側の申請書には、定款、株主総会議事録、株主リストのほか、新たに役員を選任した場合の就任承諾書・印鑑証明書・本人確認証明書、辞任した役員がいる場合の辞任届、代理人によるときは委任状を添付し、書面申請で代表取締役が押印するときは移行後の株式会社の印鑑届書も同時に提出します。解散側の申請書について、記載例では添付書類は不要とされています。記載例の解散側は、同じ書面の中で「商号」欄に変更前の商号を、「申請人」欄に商号変更後の新商号を記載する形が示されており、旧商号と新商号を書き分けます。
- 5
登録免許税を計算し、収入印紙を貼る
設立分と解散分をそれぞれ計算します(内訳は手数料の欄をご覧ください)。設立側の申請書には、登録免許税の額の前に「課税標準金額」として資本金の額を記載します(記載例は金300万円)。解散側の申請書に課税標準金額の欄はなく、登録免許税3万円のみを記載します。収入印紙貼付台紙は設立分・解散分それぞれの申請書に付け、まとめずに分けて貼ります。記載例では割印をしないで貼るよう案内されています。
- 6
本店所在地の登記所へ2通を同時に提出する
整備法46条は「その本店の所在地において」解散の登記と設立の登記をすると定めており、解散分と設立分は同じ登記所に同時に提出します。申請方法は、オンライン申請、QRコード(二次元バーコード)付き書面申請、通常の書面申請から選べますが、法務局の案内では、オンライン申請は電子証明書をお持ちの場合、QRコード付き書面申請はお持ちでない場合の方法とされています。代表取締役が申請書または委任状に印鑑を押印する場合は、登記所に提出した印鑑を押す必要があり、その提出は印鑑届書により行います。
主な必要書類
- 特例有限会社の商号変更による株式会社設立登記申請書(法務局様式2-9。移行と同時に取締役会を設置する場合は様式2-10を使います。)
- 特例有限会社の商号変更による解散登記申請書(設立分と同時に提出します。記載例では添付書類は不要。「商号」欄は変更前の商号、「申請人」欄は商号変更後の新商号を記載します。)
- 定款(1通。記載例では公証人の認証は不要とされています。)
- 株主総会議事録(1通。定款変更の決議を記載したもの。)
- 株主の氏名又は名称、住所及び議決権数等を証する書面(株主リスト)(1通。商業登記規則61条2項・3項に基づく書面です。)
- 就任承諾書(商号変更と同時に新たに役員を選任した場合に添付します。)
- 印鑑証明書・本人確認証明書(取締役会を設置しない場合は新たに選任した取締役、設置する場合は新たに就任した代表取締役につき、就任承諾書の押印についての印鑑証明書(発行後3か月以内)。それ以外の新任役員は本人確認証明書。再任の場合は不要です。)
- 辞任届(商号変更と同時に辞任した役員がいる場合に添付します。)
- 収入印紙貼付台紙(設立分・解散分の申請書それぞれに付け、税額分の収入印紙を分けて貼ります。)
- 印鑑届書(商号変更後の株式会社の代表取締役が印鑑を提出します。法務局も当該様式のページに印鑑届書を併載しています。)
※ 機関設計や事案により必要書類は増減します。
費用(実費)
登録免許税は、設立分と解散分の両方がかかります。設立分は、登録免許税法17条の3により整備法46条の規定による株式会社の設立の登記が別表第一24号(一)ホの組織変更による株式会社の設立の登記とみなされるため、資本金の額の1000分の1.5(商号変更前の特例有限会社の資本金の額を超える部分については1000分の7)で、これによって計算した税額が3万円に満たないときは申請件数1件につき3万円です。移行と同時に増資をしない場合(商号変更前の資本金の額をそのまま引き継ぐ場合)は、資本金の額が2,000万円以下であれば設立分は3万円になります(法務局の記載例も資本金300万円の例で3万円としています)。移行と同時に増資をするときは、商号変更前の資本金の額を超える部分に1000分の7が適用されるため、資本金の額が2,000万円以下であっても3万円を超えることがあります。解散分は別表第一24号(一)レの解散の登記として、申請件数1件につき3万円です。したがって内訳は「設立分3万円〜+解散分3万円」で、合計は最低6万円となります。納付は収入印紙または領収証書によります。
提出先・提出方法
本店の所在地を管轄する法務局(登記所)です。整備法46条は「その本店の所在地において」解散の登記と設立の登記をしなければならないと定めており、解散側の申請書と設立側の申請書は同じ登記所に同時に提出します。申請方法は、オンライン申請、QRコード(二次元バーコード)付き書面申請、通常の書面申請から選べますが、法務局の案内では、オンライン申請は電子証明書をお持ちの場合、QRコード付き書面申請はお持ちでない場合の方法とされています。
つまずきやすいポイント
- 登記も登録免許税も1件ではなく2件です。設立分(資本金の額の1000分の1.5、最低3万円)と解散分(1件3万円)を別々に計算し、合計は最低6万円になります。収入印紙は2通の申請書それぞれの台紙に分けて貼ります。
- 移行と同時に増資をすると税額の計算が変わります。別表第一24号(一)ホは、商号変更前の特例有限会社の資本金の額を超える部分については1000分の7で計算すると定めており、資本金の額が2,000万円以下でも3万円を超えることがあります。
- 同一商号・同一本店の会社があると、移行による設立の登記ができません(商業登記法27条)。法務局の記載例も事前に必ず確認するよう求めています。定款や議事録を作る前に調べておくと手戻りがありません。
- 移行後は役員に任期が生じます。整備法18条による会社法332条等の適用除外は、特例有限会社についてのものだからです。移行後は取締役が選任後2年以内(非公開会社は定款で10年以内まで伸長可)、監査役が選任後4年以内(同10年以内まで伸長可)に終了する事業年度の定時株主総会終結時までとなり、その都度の役員変更登記が必要です。この「選任後」は移行前の選任から数えるため、移行時に任期満了となる役員は同じ株主総会で選任し直す必要があります。
- 移行後は決算公告と休眠会社のみなし解散の対象になります。整備法28条・32条が会社法440条・472条を特例有限会社には適用しないと定めているためです。会社法472条1項は、登記が最後にあった日から12年を経過した株式会社を休眠会社としています。
よくある質問
移行の効力はいつ発生しますか。申請書に書く日付はどれですか。
整備法45条2項により、定款変更は本店所在地における移行の登記をすることによって効力を生じます。法務局の記載例では、解散側について解散年月日は登記申請日となるとされ、郵送申請では登記申請日を特定できないため解散の年月日は記載しないと案内されています。一方、設立側の「登記の事由」に書く日付については、記載例に「決議日を記載します」との注記があります。
2週間の期限を過ぎてしまった場合はどうなりますか。
整備法46条は、株主総会の決議をしたときは2週間以内に登記をしなければならないと定めています。法務局は、登記すべき期間内に登記を怠り、その後に登記申請をする場合であっても、そのことだけをもって申請が却下されることはないとしていますが、あわせて「会社・法人の代表者に対して、裁判所から100万円以下の過料に処される可能性があります」と案内しています。過料に処されるかどうか、またその額は裁判所が判断するもので、事前に見通すことはできません。期限内に申請してください。
会社の設立年月日は移行の日に変わりますか。
法務局の記載例では、設立登記の「登記すべき事項」に「会社成立の年月日」として従前の日付を記載する形が示されています。会社が新しく作られるのではなく、同じ法人が続くという整理です。申請書には会社法人等番号も記載します。
定款に公証人の認証は必要ですか。
法務局の記載例には「公証人の認証は不要です」と明記されています。通常の株式会社の設立とはこの点が異なります。記載例の定款は附則で、商号変更が効力を生じた日から施行する旨を定める形になっています。
出典・公式様式の入手先
様式ファイルは発行元(法務局・公証役場)の公式ページで配布されています。当サイトでは様式ファイルをホスティングしていません。最新版を必ず公式ページでご確認ください。本ページの記載は下記の公式情報に基づきます(最終確認 2026-07-31)。
法務局・公証役場の他の書式
- 株式会社設立登記申請書(発起設立・取締役会設置あり/なし)
- 株式会社設立登記申請書(募集設立)
- 株式会社変更登記申請書(商号の変更)
- 株式会社変更登記申請書(目的の変更)
- 株式会社本店移転登記申請書(管轄内/管轄外)
- 株式会社役員変更登記申請書(就任・辞任・重任・住所氏名変更 各様式)
- 株式会社変更登記申請書(募集株式発行=増資)
- 株式会社変更登記申請書(資本金の額の減少=減資)
- 株式会社変更登記申請書(公告方法の変更)
- 株式会社解散及び清算人選任登記申請書
- 株式会社清算結了登記申請書
- 株式会社会社継続登記申請書(みなし解散対応含む)
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※ 本ページは一般的な情報提供であり、個別の法律判断ではありません。掲載内容は法務局・公証役場が公開する公式情報に基づく概要です。様式・要件は改版される場合がありますので、必ず公式ページで最新版をご確認ください。当サイトは様式ファイルをホスティングしていません。