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定款認証嘱託委任状
定款認証嘱託委任状は、株式会社や一般社団法人などの定款について、公証人の認証を受ける手続(嘱託)を代理人に任せるための書面です。定款の作成そのものを代理人に委任する形も案内されています(書面の定款・電子定款のいずれについても)。公証人法32条1項は「公正証書の作成の嘱託は、代理人によってすることができる」と定め、この規定は書面の定款には58条4項、電子定款には59条2項によって準用されます。条文上の呼び名は「代理人の権限を証する書面又は電磁的記録」で、「委任状」という語も様式も法令にはなく、日本公証人連合会や各公証役場が記載例を用意しています。
誰が・どんなときに必要?
定款の認証が必要な法人(株式会社、一般社団法人、一般財団法人など)を設立するときに、発起人・設立時社員・設立者の全員がそろって公証役場に出向くのでない場合に使います。1人でも出向かない人がいれば、その人から代理人への委任状が必要になります。発起人の一人が他の発起人を代理することも、全員が第三者に代理を嘱託することもできます。作成の時期は、認証の嘱託までです。認証の嘱託だけを委任するときは定款の内容が固まった後に作成しますが、定款の作成そのものを代理人に委任するときは、代理人が定款を作成する前に委任状が必要になります。合同会社などの持分会社は定款認証自体が不要なため、この委任状は使いません。
手続きの流れ
- 1
認証を受ける公証役場を決める
定款認証の事務は、法人の本店又は主たる事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局に所属する公証人が取り扱います(公証人法57条)。まず本店所在地から役場を選びます。公証人が職務を行える区域は所属する法務局・地方法務局の管轄区域とされているため(同法17条)、管轄外の公証役場では定款認証を受けられません。委任状の書式についても、日本公証人連合会は「認証を予定している公証役場にお問い合わせください」と案内しているため、早めに確認しておくと安心です。
- 2
委任する人と代理人を決める
定款認証の嘱託は代理人によってすることができます(公証人法32条1項。書面の定款は58条4項、電子定款は59条2項が準用)。日本公証人連合会は、発起人の一人が他の発起人の代理人となる場合も、全員が第三者に代理を嘱託する場合もあると案内しています。定款の作成自体を代理人に依頼した場合は、さらにその代理人から公証役場に出向く人への委任状が必要になることがあります。
- 3
委任する内容を具体的に書く
日本公証人連合会は、代理人によって公正証書を作成する場合の委任状について「委任状には、委任内容が記載されていることが必要です。白紙委任状は認められません」と説明しています。委任する内容は、認証の嘱託だけとは限りません。同会は、ウェブ会議による電子定款の認証について、発起人等が「定款作成代理人(士業者)」に紙の委任状で定款作成を委任し、その代理人が電子定款に電子署名をする取扱いを案内しており、この場合の委任状は「定款の作成」を委任する内容になります。なお、報酬を得て業として他人の依頼を受け、定款の作成やその代理を行うことができる者は、行政書士・司法書士・弁護士など法律で認められた者に限られます(行政書士法1条の3・19条など)。どの範囲を委任するのかを含め、書き方は記載例を見たうえで公証役場にご確認ください。
- 4
実印と印鑑登録証明書(署名に関する証明書等でも可)をそろえる
公証人法32条3項は、代理人の権限を証する書面が私署証書の認証を受けていないものであるときは、公証人は「官公署の作成した印鑑若しくは署名に関する証明書又は署名用電子証明書等」を提供させなければならないと定めます。ただし、その書面が真正であることが公証人の保存する書面等から明らかなときはこの限りでない、という例外も置かれています。
- 5
嘱託の際に代理人が提出する
代理により嘱託をするときは、代理人は公証人に対し、代理人の権限を証する書面又は電磁的記録の提供その他の方法によって代理人の権限を証明しなければなりません(公証人法施行規則37条6項)。あわせて代理人自身についても、印鑑登録証明書と実印、運転免許証と認印などの本人確認資料が必要です(公証人法28条、施行規則37条3項・5項)。ただし、公証人が嘱託人の氏名を知り、かつ面識がある場合において、公証人がその旨を適宜の方法により確認したときの例外も置かれています(同条3項ただし書)。必要な資料は公証役場にご確認ください。
主な必要書類
- 委任した発起人等全員の印鑑登録証明書(公証人法32条3項の「官公署の作成した印鑑若しくは署名に関する証明書」にあたるものです。日本公証人連合会は発行後3か月以内のものに限られると案内しています。印鑑登録をしていない在外邦人や外国人の場合は、大使館・領事館等が作成した署名(サイン)証明などによることがあるため、認証を予定している公証役場にご確認ください。)
- 発起人が法人の場合の登記事項証明書(登記簿謄本)又は代表者の資格証明書と、代表者印の印鑑証明書(委任状には代表者印を押印するとされています。いずれも発行3か月以内のものに限られると案内されています。)
- 代理人自身の本人確認資料(印鑑登録証明書と実印/運転免許証と認印/マイナンバーカードと認印/パスポート・身体障害者手帳・在留カードと認印のいずれか、と案内されています。)
- 認証を受ける定款(書面の定款の認証の嘱託は定款2通を提出してします(公証人法58条1項)。日本公証人連合会は、設立登記用の分も入れて通常は3通を提出すると案内しています。)
- (委任状に記載しきれない場合)委任内容を特定する別紙(日本公証人連合会の必要書類の列挙にはない運用上の書面です。白紙委任状は認められないと案内されているため、委任事項が分かる形にします。定款(案)との結び付け方は公証役場にご確認ください。)
- 実質的支配者となるべき者の申告書(定款認証の際に嘱託人が申告するものです(公証人法施行規則46条)。委任状とは別に用意する書面です。)
※ 機関設計や事案により必要書類は増減します。
費用(実費)
ご自身で作成して提出する委任状そのものには、公証人手数料令に手数料の定めがありません(同令18条の8,000円は、公証人に委任状を公正証書として作成してもらう場合の手数料です)。定款認証の手数料は同令35条により、株式会社・特定目的会社とも、資本金の額等が100万円未満で3万円、100万円以上300万円未満で4万円、それ以外は5万円です。このうち1万5,000円となるのは株式会社についての定めで、資本金の額等が100万円未満であることに加え、①定款に記載された発起人の全員が自然人でその数が3人以下、②発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける旨の記載がある、③取締役会を置く旨の記載がない、のいずれにも該当する場合に限られます(特定目的会社には適用がありません)。一般社団法人・一般財団法人は「それ以外」の区分にあたり5万円です。このほか、書面(紙)で作成した定款の認証を受けるときは、株式会社の場合、公証人が保存する原本1通につき収入印紙4万円が必要です(印紙税法別表第一第6号。課税されるのは会社の設立のときに作成される定款の原本に限られ、株式会社の定款のうち公証人が保存するもの以外は非課税とされています)。一般社団法人・一般財団法人の定款は「会社」の定款ではないため、この印紙税はかかりません。電子定款ではこの印紙は不要ですが、電子証明書や対応ソフトの費用がかかります。謄本の交付など付随する費用もあるため、総額は認証を受ける公証役場でご確認ください。
提出先・提出方法
定款認証を受ける公証役場(公証人)です。法務局に提出するものではありません。公証人法57条により、定款認証の事務は法人の本店又は主たる事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局に所属する公証人が取り扱います。日本公証人連合会は、電子定款をウェブ会議で認証する場合に、発起人等から定款作成代理人への紙の委任状と印鑑登録証明書等を公証役場に郵送する取扱いも案内しています。実際の提出方法は、認証を予定している公証役場にご確認ください。
つまずきやすいポイント
- 日本公証人連合会は、代理人によって公正証書を作成する場合の委任状について「委任状には、委任内容が記載されていることが必要です。白紙委任状は認められません」と説明しています。定款認証の委任状でも、委任する内容が分かるように具体的に書いておきます。定款との結び付け方や契印の要否は条文に定めがなく取扱いが分かれるため、書き方に迷うときは認証を予定している公証役場にご確認ください。
- 日本公証人連合会は、印鑑登録証明書は発行後3か月以内のものに限られると案内しています。委任する発起人等の全員分が必要で、1名でも期限切れがあると当日に手続が進まないことがあります。
- 委任状の様式は法令で定められていません。公証人法にも施行規則にも「委任状」という語はなく、条文上は「代理人の権限を証する書面又は電磁的記録」です。記載例は参考であり、取扱いが役場ごとに異なることがあります。
- 定款認証の委任状と、設立登記の委任状は別の手続の書面です。登記を代理人によって申請する場合は、申請書に代理権限を証する書面を添付します(商業登記法18条)。定款認証の委任状は公証役場に提出するものなので、登記申請用の委任状は別に用意しておくのが通常です。1通で兼ねられるかどうかは、認証を予定している公証役場と登記の提出先にご確認ください。
- 私署証書の宣誓認証(公証人法53条)の嘱託は、同条3項により代理人によってすることができません。定款認証は代理できますが、宣誓認証は扱いが異なる点に注意してください。
よくある質問
発起人全員が公証役場に行く必要がありますか?
定款認証の嘱託は代理人によってすることができます(公証人法32条1項。書面の定款は58条4項、電子定款は59条2項が同条を準用しています)。日本公証人連合会も、発起人の一人が他の発起人の代理人となる場合や、発起人全員が他の第三者に代理を嘱託することもできると案内しています。この場合は委任状のほか、委任する発起人全員の印鑑登録証明書を提出することになります。
なぜ委任状に実印と印鑑証明書が必要なのですか?
実務の慣行ではなく、条文に根拠があります。公証人法32条3項は、代理人の権限を証する書面が私署証書の認証を受けていないものであるときは、公証人は印鑑や署名に関する官公署の証明書などを提供させなければならないと定めています。ただし、その書面が真正であることが公証人の保存する書面等から明らかであるときはこの限りでない、という例外も置かれています。
電子定款の場合も委任状は必要ですか?
電子定款の認証にも公証人法32条が準用されます(59条2項)ので、代理人によって嘱託するのであれば代理権を証するものが必要です。32条2項は「代理人の権限を証する書面又は電磁的記録」を提供すると定めており、紙・電磁的記録のいずれもあり得ます。日本公証人連合会は、発起人等が定款の作成を代理人に委任し、その紙の委任状を公証役場に郵送してウェブ会議で認証を受ける取扱いも案内しています。具体的な方法は公証役場にご確認ください。
委任状のひな形はどこにありますか?
日本公証人連合会が「委任状の記載例」として、公正証書の委任状・私署証書認証の委任状・定款認証の委任状の3種類を公開しています。ただしこれは法定の様式ではなく、同会も委任状の書式等については認証を予定している公証役場に問い合わせるよう案内していますので、記載例をそのまま使えるかは事前に確認してください。
出典・公式様式の入手先
様式ファイルは発行元(法務局・公証役場)の公式ページで配布されています。当サイトでは様式ファイルをホスティングしていません。最新版を必ず公式ページでご確認ください。本ページの記載は下記の公式情報に基づきます(最終確認 2026-08-07)。
この書式は、提出先の自治体・都道府県によって様式や必要書類が異なる場合があります。実際の提出前に、提出先の窓口または公式ページで最新の様式・要件をご確認ください。
法務局・公証役場の他の書式
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※ 本ページは一般的な情報提供であり、個別の法律判断ではありません。掲載内容は法務局・公証役場が公開する公式情報に基づく概要です。様式・要件は改版される場合がありますので、必ず公式ページで最新版をご確認ください。当サイトは様式ファイルをホスティングしていません。