LEGAL AFFAIRS BUREAU
同一情報の提供申出書(電子定款の謄本請求用紙)
「同一情報の提供申出書」は、電子定款(電磁的記録として作成した定款)の認証に際して保存された情報の提供、すなわち実務でいう定款の謄本にあたる書面(紙)の交付を公証役場に求めるための請求書です。法令上の名称は「同一の情報の提供の請求」で、根拠は公証人法60条3項2号・同条4項です。書面(紙)で交付を受けたい場合、公証役場の窓口に書面を出して請求できるのは認証と同時のときに限られ(公証人法施行規則51条2項)、認証のあとに請求するときは電子情報処理組織を使用する方法によります(同51条1項)。日本公証人連合会は「同一の情報の提供の請求書」と案内しており、書式や呼び方は公証役場ごとに異なることがあります。
誰が・どんなときに必要?
請求できるのは、嘱託人・その承継人・利害関係を有する第三者です(公証人法60条3項)。ただし対象は「保存された電磁的記録に記録された情報」に限られ、その保存の請求は「認証の嘱託又は日付情報の付与の請求と共にしなければならない」とされています(公証人法施行規則49条2項)。さらに、書面の交付による請求を公証役場の窓口で書面ですることができるのは、電磁的記録の認証を受けるのと同時にする場合に限られます(同51条2項)。
手続きの流れ
- 1
電子定款の認証と同時に「電磁的記録の保存」を請求する
同一の情報の提供の対象は「前項の規定により保存された電磁的記録に記録された情報」です(公証人法60条3項2号)。その保存の請求は認証の嘱託と共にしなければならないと定められているため(公証人法施行規則49条2項)、認証の段階で保存を請求しておかないと、後から同一の情報の提供を請求できません。保存の手数料は300円です(公証人手数料令41条の2)。
- 2
窓口で書面により請求するか、後日に電子的に請求するかを認証の前に決める
書面の交付による情報の提供の請求を、指定公証人の役場等において書面ですることができるのは、電磁的記録の認証を受けるのと同時にする場合に限られます(公証人法施行規則51条2項)。日本公証人連合会は、ウェブ会議で定款認証を受ける場合について、事前打合せの際に同一の情報の提供の請求書を郵送するよう案内しています。
- 3
請求の方法と登簿管理番号を確かめる
請求は、原則として電子情報処理組織を使用する方法により、指定公証人に登簿管理番号を明示して行います(公証人法施行規則51条1項が準用する50条1項)。登簿管理番号は、認証の際に嘱託を識別するために付される番号です(同49条1項・47条3項4号)。もっとも、認証と同時に窓口で書面により請求する場合はこの原則によらないとされており(同51条2項)、番号は認証の際に付されます。
- 4
本人確認・代理権限などの資料をそろえる
請求には、本人であることを明らかにする方法と、代理人による請求の方法が準用されています(公証人法60条5項が準用する28条・32条1項2項)。承継人は承継の事実を証する書面等を、第三者は利害関係を証する書面等を提供します(同項が準用する42条3項・4項)。記載された自然人は、住所が明らかにされることで生命・身体に危害を及ぼすおそれがある場合や、これに準ずるものとして法務省令で定める場合に、申出により住所を明らかにしない措置を求めることができます(同42条5項)。
- 5
手数料を納める
手数料は700円で、電磁的記録の内容を証する書面の交付をもって情報の提供をするときは、用紙1枚ごとに20円が加算されます(公証人手数料令41条の4)。前提となる電磁的記録の保存は300円です(同41条の2)。日本公証人連合会は、手数料の予納が必要になる場合があるとして、請求する公証役場への事前の連絡を求めています。
- 6
交付された書面を受け取り、記載を確認する
書面の交付による情報の提供は、指定公証人が請求に係る情報を出力して書面を作成し、当該書面に押印してするものとされ、数枚にわたるときは毎葉のつづり目に職印で契印されます(公証人法施行規則52条1項)。書面には、同一の情報である旨の表示・年月日・指定公証人の氏名等・登簿管理番号が記載されます(同条2項・51条3項)。ウェブ会議で認証を受けた場合は、返信用のレターパックで返送されると案内されています。
主な必要書類
- 同一の情報の提供の請求書(法令上の様式は定められていません。書式・名称は公証役場によって異なることがあります)
- 登簿管理番号が分かる資料(後日、電子情報処理組織を使用して請求する場合)(登簿管理番号は電磁的記録の認証の際に嘱託を識別するために付される番号です(公証人法施行規則49条1項・47条3項4号)。電子情報処理組織を使用して請求するときに明示します(同51条1項)。認証と同時に書面で請求する場合は、番号は認証の際に付されます)
- 本人であることを明らかにするための資料(官公署の作成した印鑑に関する証明書又は署名用電子証明書等)(公証人法60条5項が準用する28条・公証人法施行規則37条3項。公証人が氏名を知り面識がある場合の例外も定められています)
- 代理人が請求するときは、代理人の権限を証する書面又は電磁的記録(公証人法60条5項が準用する32条2項)
- 承継人が請求するときは、承継の事実を証する書面又は電磁的記録(公証人法60条5項が準用する42条3項)
- 利害関係を有する第三者が請求するときは、利害関係を有することを証する書面又は電磁的記録(公証人法60条5項が準用する42条4項)
- 返信用のレターパック(郵送での返送を希望する場合)(日本公証人連合会が案内している運用上の取扱いです。条文に定めはありません)
※ 機関設計や事案により必要書類は増減します。
費用(実費)
同一の情報の提供の手数料は700円です。ただし、電磁的記録の内容を証する書面の交付をもって情報の提供をするときは、用紙1枚ごとに20円が加算されます(公証人手数料令41条の4)。前提となる電磁的記録の保存は300円(同41条の2)、情報の同一性に関する証明は700円(同41条の3)です。定款の認証そのものの手数料は別で、株式会社と特定目的会社は資本金の額等が100万円未満なら3万円、100万円以上300万円未満なら4万円、それ以外は5万円です。このうち株式会社については、資本金の額等が100万円未満で、かつ①定款に記載・記録された発起人の全員が自然人でその数が3人以下、②発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける旨の記載・記録がある、③取締役会を置く旨の記載・記録がない、のいずれにも該当する場合に限り1万5,000円になります(この特例は株式会社についての定めで、特定目的会社には適用がありません)。一般社団法人・一般財団法人などはこれら以外の場合として5万円です(公証人手数料令35条)。定款の認証に登録免許税はかかりません。総額は、請求先の公証役場や日本公証人連合会の手数料表でご確認ください。
提出先・提出方法
認証を受けた電子定款を取り扱った指定公証人(公証役場)です。法務局ではありません。定款の認証の事務は、法人の本店又は主たる事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局に所属する公証人が取り扱います(公証人法57条)。電子公証を取り扱えるのは法務大臣が指定した指定公証人で、電子情報処理組織を使用して請求するときは、登簿管理番号を明示してその指定公証人に対して行います(公証人法施行規則51条1項)。
つまずきやすいポイント
- 認証のときに電磁的記録の保存を請求していないと、あとから同一の情報の提供を請求することはできないとされています。提供の対象が「保存された電磁的記録に記録された情報」に限られ(公証人法60条3項2号)、保存の請求は認証の嘱託と共にする必要があるためです(同法施行規則49条2項)。保存を請求しないまま認証を受けてしまったときの取扱いは、認証を受けた公証役場にご確認ください。
- 「情報の同一性に関する証明」(公証人法60条3項1号)と「同一の情報の提供」(同項2号)は別の制度です。前者は、指定公証人が認証の際に請求の有無にかかわらず保存する「同一性を確認するに足りる情報」と手元の電子ファイルを比べる証明で(同条1項、同法施行規則49条1項・50条2項)、保存を請求していなくても請求できます。後者は、請求により保存された情報そのものの提供です(同条2項・3項2号)。
- 書面の交付による請求を公証役場の窓口で書面ですることができるのは、認証を受けるのと同時にする場合に限られます(公証人法施行規則51条2項)。紙の定款が必要かどうかは、認証を受ける前に決めておくと手続がスムーズです。
- 書面で作成した定款の認証には、この制度は使いません。書面の定款は2通提出し、公証人が1通を保存して他の1通を嘱託人に還付する仕組みだからです(公証人法58条1項・3項)。電子定款か書面の定款かで、紙の入手方法が変わります。
- 「同一情報の提供申出書」は法令上の名称ではありません。法令上は「同一の情報の提供の請求」、日本公証人連合会の案内では「同一の情報の提供の請求書」と呼ばれています。書式・名称は公証役場ごとに異なることがあるため、請求先の公証役場にご確認ください。
よくある質問
手数料はいくらかかりますか。
同一の情報の提供の手数料は700円です。ただし、電磁的記録の内容を証する書面の交付をもって情報の提供をするときは、用紙1枚ごとに20円が加算されます(公証人手数料令41条の4)。前提となる電磁的記録の保存は300円(同41条の2)、情報の同一性に関する証明は700円(同41条の3)です。定款の認証そのものの手数料は別に必要で、区分により1万5,000円から5万円です(同35条)。予納をお願いされる場合があるため、請求先の公証役場に事前にご連絡ください。
設立の登記には紙の定款が必要ですか。
株式会社の設立の登記の申請書には定款を添付します(商業登記法47条2項1号。一般社団法人・一般財団法人の設立の登記の添付書面は別の法令で定められています)。定款が電磁的記録で作られているときは、その情報の内容を記録した電磁的記録を添付するものとされています(同法19条の2)。日本公証人連合会は、法務局には電子文書の形で受け付けてもらえるとしたうえで、銀行等で紙の定款を求める運用もあるため、謄本を請求する場合(同一の情報の提供)は必ず書面で交付を受けてくださいと案内しています。提出先にもご確認ください。
代理人が請求することはできますか。
請求については、公証人法28条(本人であることを明らかにすること)と32条1項・2項(代理人による嘱託、代理人の権限を証する書面又は電磁的記録の提供)が準用されています(同法60条5項)。したがって代理人による請求ができます。承継人は承継の事実を証する書面等を、利害関係を有する第三者は利害関係を有することを証する書面等を提供します(同項が準用する42条3項・4項)。必要な書類の具体的な形は公証役場にご確認ください。
認証のあとで追加の書面が必要になったら、どうすればよいですか。
認証と同時に電磁的記録の保存を請求していれば、その後に同一の情報の提供を請求することができます(公証人法60条2項・3項2号)。ただし、窓口で書面により請求できるのは認証と同時のときに限られるため(同法施行規則51条2項)、後日の請求は、請求に係る情報に電子署名を行い、電子証明書を付した上で電子情報処理組織により指定公証人に提供する方法によります(同51条1項が準用する50条1項)。電子署名を行える環境が必要ですので、紙が必要かは認証の前に決めておくと確実です。なお、公証人が保存すべき情報の保存期間は20年です(同規則70条1項1号。起算は当該年度の翌年からです。同条2項)。
出典・公式様式の入手先
様式ファイルは発行元(法務局・公証役場)の公式ページで配布されています。当サイトでは様式ファイルをホスティングしていません。最新版を必ず公式ページでご確認ください。本ページの記載は下記の公式情報に基づきます(最終確認 2026-08-07)。
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※ 本ページは一般的な情報提供であり、個別の法律判断ではありません。掲載内容は法務局・公証役場が公開する公式情報に基づく概要です。様式・要件は改版される場合がありますので、必ず公式ページで最新版をご確認ください。当サイトは様式ファイルをホスティングしていません。