LEGAL AFFAIRS BUREAU
供託書(営業保証供託:宅建業・旅行業・資金決済法等の業法別)
営業保証供託は、宅地建物取引業法・旅行業法・資金決済に関する法律などの業法が求める保証金を、供託所に預ける手続です。営業保証の金銭供託には、供託規則の第三号様式「営業保証金の金銭供託の供託書」(OCR用紙)を使い、法令条項欄に根拠となる業法の条文を書きます。供託すべき額・供託所・供託後の届出先は業法ごとに異なり、多くの業法では届出をした後でなければ事業を開始できない仕組みになっています。
誰が・どんなときに必要?
対象は、業法により供託を義務づけられた事業者です。宅地建物取引業者は営業保証金を主たる事務所のもよりの供託所に供託し、供託書の写しを添えて免許権者へ届け出た後でなければ事業を開始できません(宅建業法25条1項・4項・5項)。旅行業者は主たる営業所の最寄りの供託所に供託し、届出後でなければ事業を開始できません(旅行業法8条7項・7条2項・3項)。届出先は観光庁長官ですが、本邦外の募集型企画旅行を実施しない旅行業(第二種・第三種・地域限定)では都道府県知事が行います(同法67条・施行令5条1項)。
手続きの流れ
- 1
根拠となる業法の条項と供託すべき額を確かめる
はじめに、どの業法のどの条項に基づく供託かを特定します。宅地建物取引業の営業保証金は、主たる事務所につき1,000万円、その他の事務所ごとに500万円の合計額です(宅建業法施行令2条の4)。旅行業は業務範囲・取引額に応じて国土交通省令で算定します。資金決済法の発行保証金は、前払式支払手段発行者の基準日未使用残高が基準額(1,000万円・同法施行令6条)を超えるときに、その2分の1以上の額を供託します(同法14条1項)。算定方法は業法ごとに違うため、所管官庁の案内も確認します。
- 2
供託すべき供託所を確かめる
供託所は、法務局若しくは地方法務局若しくはこれらの支局又は法務大臣の指定する出張所です(供託法1条)。法務省の「供託を申請する際の一般的注意事項」では、どこの供託所に供託するかについて一般的な定めはないものの、特定の供託については供託すべき供託所が定められている場合があるとされています。宅地建物取引業は主たる事務所のもよりの供託所、旅行業は主たる営業所の最寄りの供託所と業法に定めがあります。
- 3
第三号様式の供託書を専用用紙に記載する
供託書は専用のOCR用紙で、最寄りの供託所に備え付けられています。営業保証の金銭供託には第三号様式(供託規則13条1項関係)を使います。太枠内に、供託者の住所・名称・代表者の資格及び氏名、供託金額、供託所の表示、法令条項、供託の原因たる事実、官庁及び件名等を記載します。記載は黒色又は青色のボールペンで行い、法務省の「供託を申請する際の一般的注意事項」では鉛筆で記載すると受理されないとされています。
- 4
資格証明・代理権限の書面をそろえる
供託規則14条1項は、登記された法人が供託しようとするときは代表者の資格を証する登記事項証明書を提示しなければならず、その記載された代表者の資格につき登記官の確認を受けた供託書を提出して提示に代えることもできると定めています。登記された法人以外の法人は同条2項により資格証明書を添付し、代理人によるときは同条4項により権限を証する書面を提示します。これらのうち、登記事項証明書その他の官庁又は公署が作成した証明書面は、作成後3か月以内のものが必要です(供託規則9条)。
- 5
供託書を提出し、供託金を納入して供託書正本を受け取る
供託書を供託所に提出します。供託官が受理すべきものと認めるときは、供託書正本と保管金払込書が交付され、納入期日までに日本銀行(代理店を含みます)へ供託金を納入します。期日までに納入しないと受理の決定は効力を失います(供託規則18条)。供託金の受入れを取り扱う供託所では、供託書とともに供託金を提出し、受理されると供託金を受領した旨を記載した供託書正本が交付されます(同規則20条)。受理すべきでないと認めるときは却下決定書が交付されることがあります(同規則21条の7)。
- 6
免許権者等へ届け出てから事業を開始する
宅地建物取引業者は、供託物受入れの記載のある供託書の写しを添えて、免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出ます(宅建業法25条4項)。旅行業者の届出先は観光庁長官ですが(旅行業法7条2項)、本邦外の募集型企画旅行を実施しない旅行業(第二種・第三種・地域限定)では、主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事が行うこととされています(同法67条・施行令5条1項)。いずれも届出をした後でなければ事業を開始してはならないとされています。
主な必要書類
- 供託書(第三号様式・OCR用紙)(営業保証金の金銭供託用。供託所備付けの専用用紙を使います(供託規則13条1項)。)
- 供託金(受入れを取り扱う供託所では供託書とともに提出(供託規則20条1項)。それ以外では保管金払込書により納入期日までに日本銀行へ納入します(同規則18条)。)
- 代表者の資格を証する登記事項証明書(登記された法人が提示。登記官の確認を受けた供託書での代替も可(供託規則14条1項)。)
- 代表者の資格を証する書面(登記された法人以外の法人は供託書に添付します(供託規則14条2項)。)
- 定款又は寄附行為及び代表者・管理人の資格を証する書面(法人でない社団・財団が供託する場合に添付します(供託規則14条3項)。)
- 代理人の権限を証する書面(委任状等)(代理人により供託する場合に提示します(供託規則14条4項)。)
- 連絡先電話番号を記載した書面(法務省の案内で任意の提供が求められています。)
- 供託物受入れの記載のある供託書の写し(供託後、免許権者等への届出に添えます。)
- (共通)資格証明書面の有効期間(登記事項証明書その他の官庁又は公署が作成した書面、及び法人でない社団・財団の代表者・管理人の資格を証する書面は、作成後3か月以内のものが必要です(法務省「供託を申請する際の一般的注意事項」)。)
※ 機関設計や事案により必要書類は増減します。
費用(実費)
法務局の「供託書等の記載例」の案内では、供託の申請について「手数料は不要です。」とされています。供託規則にも手数料の定めは置かれていません。ただし、代供託又は附属供託を請求する場合において、供託有価証券が国債以外の記名式のものであるときは、償還金・利息・配当金の取立てのための日本銀行あて委任状の添付が必要とされ、その取立ての費用は請求者の負担とされています(供託規則21条2項・3項)。取扱いの詳細は提出先の供託所にご確認ください。
提出先・提出方法
供託所(法務局若しくは地方法務局若しくはこれらの支局又は法務大臣の指定する一部の出張所)です。宅地建物取引業は主たる事務所のもよりの供託所、旅行業は主たる営業所の最寄りの供託所と業法に定めがあります。金銭又は振替国債の供託は、法務大臣が定める条件に適合すれば電子情報処理組織を使用してすることもできます(供託規則38条1項)。供託後の届出先は、免許・登録をした行政庁(宅地建物取引業は国土交通大臣又は都道府県知事、旅行業は観光庁長官。ただし本邦外の募集型企画旅行を実施しない旅行業は、旅行業法67条・同法施行令5条1項により主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事)です。
つまずきやすいポイント
- 届出前に事業を開始しないでください。宅地建物取引業法25条5項に違反した者は、六月以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科するとされています(同法81条1号)。旅行業法7条3項に違反して事業を開始した者は、百万円以下の罰金に処するとされています(同法77条)。
- 法務省の「供託を申請する際の一般的注意事項」では、供託金額又は有価証券の枚数及び総額面の訂正はできないとされています。それ以外を訂正するときは、文字に二線を引いて消し、近接箇所に正しい文字を書き、「1字加入2字削除」のように字数を所定欄に記載します。訂正・削除した文字はなお読めるようにしておきます。
- 宅地建物取引業では免許の日から3月以内に届出がないと催告がされ、催告到達日から1月以内に届出がないと免許を取り消されることがあります(宅建業法25条6項・7項)。旅行業は起算日・期間が異なり、登録の通知を受けた日から14日以内に届出がないと7日以上の期間を定めた催告がされ、その期間内に届出がないと登録を取り消されることがあります(旅行業法7条4項・5項)。
- 一度供託すれば終わりではありません。宅地建物取引業では、事業開始後に事務所を新設したときは当該事務所につき政令で定める額を供託し(宅建業法26条1項)、還付により不足したときは省令で定める日から2週間以内に不足額を供託します(同法28条1項)。旅行業でも毎事業年度終了後の追加供託が定められています。
- 資格証明の要否は事前に供託所へご確認ください。供託規則14条1項は登記された法人に登記事項証明書の提示を求めていますが、法務省の「供託を申請する際の一般的注意事項」では登記申請中で登記が完了していないときに提示するよう案内されており、記述の粒度が異なります。
よくある質問
手数料はかかりますか。
法務局の「供託書等の記載例」の案内では、供託の申請について「手数料は不要です。」とされています。供託規則にも手数料の定めは置かれていません。ただし、代供託又は附属供託の請求で、供託有価証券が国債以外の記名式のものであるときは、償還金・利息・配当金の取立てのための日本銀行あて委任状を添付し、その取立ての費用は請求者の負担とされています(供託規則21条2項・3項)。実際の取扱いは提出先の供託所にご確認ください。
金銭以外で供託できますか。
業法に定めがあれば有価証券を充てられます。宅地建物取引業法25条3項は、営業保証金を国土交通省令の定めるところにより国債証券、地方債証券その他の国土交通省令で定める有価証券(振替債を含みます)をもって充てることができると定めています。旅行業法8条6項、資金決済に関する法律14条3項にも同様の定めがあります。振替国債の供託には第三号様式ではなく別の様式が用意されています(供託規則13条3項)。
オンラインで申請できますか。
供託規則38条1項1号は、金銭又は振替国債の供託を、情報通信技術活用法6条1項に規定する電子情報処理組織を使用してすることができると定めています。ただし、当該供託等は法務大臣が定める条件に適合するものでなければならないとされています。法務省の「供託書等の記載例」には、営業上の保証供託についてもオンライン申請の入力例が掲載されています。
記載例はどこで見られますか。
法務省の「供託書等の記載例」の「第4 保証供託」の「2 営業上の保証供託」に、宅地建物取引業法・旅行業法・割賦販売法・特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律・資金決済に関する法律・関税法・家畜商法・金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律に基づく供託の記載例が、ExcelとPDFで掲載されています。オンライン申請の入力例も併せて掲載されています。
出典・公式様式の入手先
様式ファイルは発行元(法務局・公証役場)の公式ページで配布されています。当サイトでは様式ファイルをホスティングしていません。最新版を必ず公式ページでご確認ください。本ページの記載は下記の公式情報に基づきます(最終確認 2026-08-05)。
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※ 本ページは一般的な情報提供であり、個別の法律判断ではありません。掲載内容は法務局・公証役場が公開する公式情報に基づく概要です。様式・要件は改版される場合がありますので、必ず公式ページで最新版をご確認ください。当サイトは様式ファイルをホスティングしていません。