株主名簿の読み方と権利者管理

株主台帳、株主リスト、株主一覧表、株式名簿 とも呼ばれます。

株主名簿は、株式会社が作成して株主と株式数を管理する法定帳簿で、株主総会の通知、配当、議決権数の出発点になります。株式の譲渡は、名簿に記載又は記録しなければ会社その他の第三者に対抗できません。株券発行会社では、名簿は会社に対する対抗要件です(会社法130条)。

株主名簿の読み方と権利者管理の要点。
書面の要否紙限定ではない法定帳簿です
作成主体株式会社です
備置場所本店(名簿管理人があればその営業所)
閲覧者株主と債権者(親会社社員は裁判所の許可で)
過料記載漏れや虚偽の記載は取締役等に100万円以下
閲覧拒絶4つの拒絶事由がなければ拒めません

最終確認日:

どんなときに必要か

株主総会の招集通知、配当、議決権数を決めるときに使います。株式譲渡、相続、募集株式の発行、基準日の設定、閲覧又は謄写請求への対応でも見ます。株主が別の通知先を会社に知らせたときは、その場所又は連絡先が宛先です(会社法126条)。

書面にする必要はあるか

紙の書面は法律上の要件ではありません。株主名簿は紙でも電磁的記録でも作れます。作成は株式会社の法定の義務で、本店(株主名簿管理人があるときはその営業所)に備え置きます(会社法121条、125条)。

必ず入れる事項

  • 株主の氏名又は名称と住所

    通知、催告、権利者管理の基礎です。株主が別の通知先を会社に知らせたときは、その場所又は連絡先を使います(会社法126条)。届出を受けた住所変更を反映していない場合は、評価が変わります。

  • 株式数と種類

    株主ごとの議決権や配当の前提です。種類株式発行会社では、株式の種類と種類ごとの数まで分けます(会社法121条)。

  • 株式の取得日

    株式を取得した日は記載事項です(会社法121条)。基準日、譲渡、相続の前後関係をたどる手がかりになります。

  • 株券番号

    株券発行会社で、株券が発行されている株式だけに置く項目です。株券不発行会社の株式や、株券がまだ発行されていない株式には生じません(会社法121条)。

  • 備置場所

    本店に備え置きます。株主名簿管理人があるときは、その営業所が備置場所です(会社法125条)。

  • 閲覧請求の記録

    株主と債権者は、理由を明らかにして、営業時間内に閲覧又は謄写を請求できます(会社法125条)。受付時に請求者と理由を控えると、拒絶事由を検討できます。

  • 名義書換の履歴

    いつ、誰から誰へ、どの原因で移ったかを残します。譲渡では、名簿への記載又は記録が会社に対する対抗関係の基礎です(会社法130条)。

  • 書換請求の資料

    名義書換は、取得者と名簿上の株主又はその一般承継人が共同で請求するのが原則です(会社法133条)。単独で請求できる場合は、会社法施行規則が定める資料を残します。

無効・効力が否定されやすい条項

古い雛形をそのまま使うと、次の点でつまずくことがあります。

  • 連絡先一覧だけで運用し、株式数や取得日を入れない扱いです。記載又は記録すべき事項を欠いたり、虚偽の記載又は記録をしたりすると、取締役等が100万円以下の過料の対象です(会社法976条)。

  • 株式譲渡契約書を交わしただけで、会社との関係でも当然に株主として扱われると考えることです。取得者の氏名又は名称と住所を名簿に記載又は記録しなければ、会社に対抗できません(会社法130条)。

  • 株券発行会社で、株主名簿を第三者への対抗要件と説明する扱いです。株券発行会社の株主名簿は会社に対する対抗要件で、譲渡は自己株式の処分を除き、株券を交付しなければ効力を生じません(会社法128条・130条)。

  • 譲渡制限株式の取得者が、承認なしに名義書換だけを求める扱いです。会社の承認を受けた場合、指定買取人である場合、相続その他の一般承継の場合を除き、名義書換を請求できません(会社法134条)。

  • 株主や債権者からの閲覧請求を、社内資料という理由だけで一律に断る扱いです。拒めるのは、権利の確保又は行使に関する調査以外の目的での請求など4つの場合に限られます(会社法125条)。正当な理由なく拒むと過料の対象です。

  • 登記添付用の株主リストと株主名簿を同じ書類として扱うことです。株主総会の決議を要する登記の株主リストは、議決権割合の上位10名と、多い順に3分の2に達するまでの人数のうち少ない方を載せます(商業登記規則61条3項)。

  • 株券発行会社でも、株主名簿記載事項を記載した書面の交付に応じる義務があると考えることです。株主による交付請求の規定は、株券発行会社には適用されません(会社法122条)。

作成の流れ

  1. 1

    前提を見る

    株券発行会社か、種類株式発行会社か、譲渡制限株式があるかを定款と登記で見ます。株券番号欄や対抗関係の整理が変わります。

  2. 2

    項目をそろえる

    氏名又は名称、住所、株式数、取得日を並べます。種類株式発行会社では種類と種類ごとの数も分けます。株券発行会社では、発行済み株券の番号も入れます(会社法121条)。

  3. 3

    異動を追う

    譲渡、相続その他の一般承継、募集株式の発行を時系列に並べます。募集株式の発行では、会社が請求を待たずに記載又は記録します(会社法132条)。

  4. 4

    資料を合わせる

    名義書換請求が共同請求か単独請求かを分けます(会社法133条)。譲渡制限株式では承認関係の書面も見ます。株券発行会社では株券提示の有無も見ます。

  5. 5

    備置きを決める

    本店(株主名簿管理人があるときはその営業所)に最新版を備え置きます(会社法125条)。電磁的記録なら、紙面又は映像面に表示できる状態にします。

  6. 6

    基準日に使う

    基準日を定めるときは、基準日から3か月以内に行使する権利の内容を決め、基準日の2週間前までに公告します(会社法124条)。定款に基準日と権利の内容を定めているときは、公告は要りません。

この書式だけでは足りない場面

登記事項証明書の請求先と登記申請の提出先は法務局です。商業・法人登記の申請の代理を他人の依頼を受けて業として行えるのは、司法書士・司法書士法人と弁護士・弁護士法人に限られます。

よくある質問

株主名簿は紙で作るものですか。
紙限定ではありません。電磁的記録でも作れます。
株式譲渡契約書だけで株主名簿の更新は要りませんか。
要ります。取得者と名簿上の株主(又はその一般承継人)が共同で請求するのが原則です(会社法133条)。契約とは別の手続です。
株券発行会社では名簿に載れば第三者に対抗できますか。
株券発行会社の株主名簿は、会社に対する対抗要件です。譲渡は、自己株式の処分を除き、株券を交付しなければ効力を生じません(会社法128条1項・130条2項)。
外部に株主名簿の事務を任せられますか。
定款で株主名簿管理人を置く旨を定めると委託できます。
古い住所に通知して届かないと無効ですか。
名簿上の住所(別の通知先の届出があればその場所)へ発すれば足り、通常到達すべき時に到達したとみなされます(会社法126条)。

出典

最終確認日: 2026-09-26

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