株主総会招集通知の記載事項と発送期限

株主総会通知、総会招集通知、招集通知書、株主総会開催通知 とも呼ばれます。

株主総会招集通知は、株主に総会の日時、場所、議題を知らせる通知です。取締役が招集事項を決め、株主へ発します。手続が法令や定款に違反すると、決議取消しの訴えの対象になります(会社法831条1項1号)。

株主総会招集通知の記載事項と発送期限の要点。
書面の要否取締役会設置会社と書面・電子投票を定めた場合
発送期限原則は総会日の2週間前まで
非公開会社書面・電子投票なしなら総会日の1週間前まで
省略条件株主全員の同意(書面・電子投票を定めた場合を除く)
取消期間決議の日から3か月以内
過料通知懈怠は100万円以下の過料

最終確認日:

どんなときに必要か

定時株主総会、臨時株主総会、株主の請求による総会で使います。役員選任、定款変更、計算書類の承認などの前に、株主へ出席と議決権行使の機会を与えます。

書面にする必要はあるか

書面が法律上必要なのは、取締役会設置会社と、書面投票・電子投票を定めた場合です(会社法299条2項)。どちらにも当たらない取締役会非設置会社は、口頭でも足ります。株主の承諾を得れば、電磁的方法で通知できます。

必ず入れる事項

  • 株主総会の日時

    日時は招集で決め、通知に記載する事項です(会社法298条1項・299条4項)。欠けると株主が出席や議決権行使を準備できず、招集手続の瑕疵として争われる余地があります。

  • 株主総会の場所

    総会の開催場所を特定します。過去の総会と著しく離れた場所では、定款に定めがある場合と欠席株主全員の同意がある場合を除き、理由も決定事項です(会社法施行規則63条2号)。

  • 目的である事項

    決議や報告の対象となる議題です。取締役会設置会社では、通知にない目的事項は原則として決議できません(会社法309条5項)。

  • 書面投票の有無

    出席しない株主が書面で議決権を行使できるかを書きます。議決権を行使できる株主が千人以上の場合は、法務省令で定める上場会社を除き、この定めを置きます(会社法298条2項)。

  • 電子投票の有無

    出席しない株主が電磁的方法で議決権を行使できるかを書きます。この定めを置くと書面通知が必要になり、通知に際して株主総会参考書類を交付します(会社法299条2項・302条)。

  • 議案の概要

    書面投票や電子投票を採らない場合も、会社法施行規則が列挙する議題では概要を決めます。例は役員等の選任・報酬等、定款の変更、合併、事業譲渡等です。未確定ならその旨を書きます(会社法施行規則63条7号)。

  • 議決権行使期限

    書面または電磁的方法による議決権行使の期限を定める場合の事項です。期限は、総会の日時以前で、通知を発した日から2週間を経過した日以後の時です(会社法施行規則63条3号ロ・ハ)。

  • 発出日と宛先株主

    通知は期限までに株主へ発します。基準日を定めた場合は、基準日株主を宛先にします(会社法299条1項・124条1項)。

無効・効力が否定されやすい条項

古い雛形をそのまま使うと、次の点でつまずくことがあります。

  • 発送期限を一律に2週間前とすると、非公開会社の原則を見落とします。書面投票や電子投票を定めない非公開会社は1週間前までで、取締役会非設置会社は定款でさらに短縮できます。書面投票や電子投票を定めた場合は、非公開会社でも2週間前までです(会社法299条1項)。

  • 電子提供措置をとる会社で、非公開会社の1週間や定款短縮を前提にすると期限を過ぎます。電子提供措置をとる場合は2週間前までに発し、通知には電子提供措置をとっている旨も記載します(会社法325条の4第1項・2項)。

  • 取締役会設置会社が口頭や電話だけで招集すると、書面通知の要件に反します。招集手続の法令違反として、決議の日から3か月以内に決議取消しの訴えの対象になります(会社法831条1項1号)。

  • メール送信について口頭の同意だけで進めると、電磁的方法の承諾要件を欠きます。会社は方法の種類と内容を示し、書面または電磁的方法で承諾を得ます。拒否の申出後は、再承諾がある場合を除き送れません(会社法施行令2条1項・2項)。

  • 株主全員が身内でも、全員の同意なしに招集手続は省略できません。全員の同意がある場合でも、書面投票や電子投票を定めた総会は省略の対象外です。省略できるのは招集手続で、決議そのものではありません(会社法300条)。

  • 基準日を新たに定めたのに公告しないと、議決権を行使できる株主の確定が揺らぎます。定款に基準日と権利の内容を定めている場合を除き、基準日の2週間前までに公告します(会社法124条3項)。

  • 宛先から株主を落とすと、通知を怠った取締役等は100万円以下の過料の対象です(会社法976条2号)。通知が要らないのは、総会で決議できる事項の全部に議決権を持たない株主と、5年以上継続して通知が届かない株主です。取締役会設置会社では、その総会の目的事項の全部に議決権を持たない株主です。

作成の流れ

  1. 1

    事項を決める

    日時、場所、目的事項、書面投票や電子投票の有無を決めます。取締役会設置会社は取締役会、非設置会社で取締役が2人以上なら定款に別段の定めがない限り過半数で決めます。この決定は一人の取締役に委任できません(会社法348条2項・3項)。

  2. 2

    名簿を固める

    基準日を定める場合は、基準日株主が行使できる権利を定めます。権利行使は基準日から3か月以内のものに限られます。定款に基準日と権利の内容を定めていなければ、基準日の2週間前までに公告します(会社法124条2項・124条3項)。

  3. 3

    期限を逆算する

    総会日から発送期限を逆算します。書面投票や電子投票を定めない非公開会社は1週間前まで(取締役会非設置会社は、定款でこれより短くできます)、それ以外は2週間前までです。電子提供措置をとる場合は2週間前までです(会社法299条1項・325条の4第1項)。

  4. 4

    資料を整える

    通知には招集事項を記載または記録します。書面投票を定めたときは、株主総会参考書類と議決権行使書面を交付します。取締役会設置会社の定時株主総会では、計算書類と事業報告も提供します(会社法301条1項・437条)。

  5. 5

    通知を発する

    期限までに株主へ通知を発します。期限は到達ではなく発出で見ます(会社法299条1項)。郵送日、送信日時、宛先一覧、電磁的方法の承諾記録を残します。

この書式だけでは足りない場面

登記の申請先は法務局です。決議取消しの訴えは、本店所在地を管轄する地方裁判所に提起します。商業・法人登記の申請の代理を他人の依頼を受けて業として行えるのは、司法書士・司法書士法人と弁護士・弁護士法人に限られます。

よくある質問

招集通知はいつまでに送りますか。
原則は総会日の2週間前までです。書面投票や電子投票を定めない非公開会社は1週間前までです(会社法299条1項)。
メールで招集通知を送れますか。
送れます。株主へ方法の種類と内容を示し、書面または電磁的方法で承諾を得た場合です(会社法施行令2条1項)。
全員が家族なら通知を省けますか。
株主全員の同意があれば省けます。ただし書面投票や電子投票を定めた場合は省けません(会社法300条)。
通知にない議題を当日決議できますか。
取締役会設置会社では原則としてできません(会社法309条5項)。非設置会社に条文上の制限はありませんが、争われる余地があります。
1人に通知し忘れたらどうなりますか。
決議取消しの訴えの対象になり得ます。違反が重大でなく決議に影響しないときは、裁判所が請求を棄却できます(会社法831条1項1号・2項)。

出典

最終確認日: 2026-09-26

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