株主総会議事録

定時株主総会議事録、臨時株主総会議事録、株主総会議事録書面 とも呼ばれます。

株主総会で扱った議案、審議の経過、決議の結果を会社の正式な記録として残す文書です。会社法318条1項は「株主総会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成しなければならない」と定めており、その法務省令である会社法施行規則72条が、開催日時・場所、議事の経過の要領とその結果、出席役員等の記載事項を列挙しています。役員変更などの登記では添付書面にもなるため、記載の正確さがそのまま登記手続に影響します。

株主総会議事録の要点。一般的な情報提供であり、個別の事案についての法律判断ではありません。
書面の要否法定の作成義務あり。会社法318条1項が議事録の作成を義務づけています。
記載事項開催日時・場所、議事の経過の要領と結果、出席役員等、議長、作成した取締役の氏名(会社法施行規則72条3項)。
備置き本店に10年、支店に写しを5年。電磁的記録で閲覧等に応じられるときは支店は不要です(会社法318条2項・3項)。
決議要件普通決議は会社法309条1項、定款変更などの特別決議は同条2項によります。
登記に使うとき商業登記規則61条3項の株主リストの添付が必要になります。
備置きを怠ると会社法976条8号が過料の対象として掲げています。

最終確認日: 一般的な情報提供であり、個別の事案についての法律判断ではありません。

どんなときに必要か

定時・臨時を問わず株主総会を開催したときに作成します。会社法319条1項により株主全員の同意で決議を省略した場合(みなし決議)も、会社法施行規則72条4項1号が定める事項を内容とする議事録が必要です。役員変更、定款変更、募集株式の発行、組織再編など登記すべき決議がある場合は、登記添付書面としての記載・押印の要件も併せて確認します。

書面にする必要はあるか

法定の作成義務があります。会社法318条1項が議事録の作成を義務づけ、会社法施行規則72条2項は「株主総会の議事録は、書面又は電磁的記録をもって作成しなければならない」と定めています。備置きも義務で、会社法318条2項は「株式会社は、株主総会の日から十年間、前項の議事録をその本店に備え置かなければならない」とし、同条3項により支店には写しを5年間備え置きます(電磁的記録で作成し、支店での閲覧等の請求に応じられる法務省令で定める措置をとっている場合は不要です)。備置きを怠ったときは、会社法976条8号により100万円以下の過料の対象として掲げられています。

必ず入れる事項

記載事項は、会社法318条1項を受けた会社法施行規則72条3項が号ごとに列挙しています。開催日時・場所、議事の経過の要領とその結果、法定の意見・発言の概要、出席した役員等の氏名、議長の氏名、議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名の6つが柱です。

  • 開催日時・場所と、会場外からの出席方法

    会社法施行規則72条3項1号は「株主総会が開催された日時及び場所」を記載事項とし、括弧書きで、その場所に存しない取締役、執行役、会計参与、監査役、会計監査人又は株主が出席した場合における「当該出席の方法」を含むとしています。オンライン出席者がいた総会では出席方法まで記載します。

  • 議事の経過の要領とその結果

    会社法施行規則72条3項2号は「株主総会の議事の経過の要領及びその結果」を記載事項としています。議案ごとに、提案の内容、質疑や動議の要旨、採決の方法、可決・否決の結果が対応して読み取れる形で記録しないと、決議の成立を示す記録になりません。

  • 法定の意見・発言があったときは、その内容の概要

    会社法施行規則72条3項3号は、会社法345条1項(会計参与等の意見陳述)や会社法384条(監査役の報告)など列挙された規定により株主総会で述べられた意見又は発言があるときは、その内容の概要を記載事項としています。該当があるのに落とすと記載漏れになります。

  • 出席した役員等の氏名又は名称

    会社法施行規則72条3項4号は「株主総会に出席した取締役、執行役、会計参与、監査役又は会計監査人の氏名又は名称」を記載事項としています。誰が出席していたかは、決議の効力や役員の責任が問題になったときの事実関係の出発点になります。

  • 議長の氏名と、議事録作成職務を行った取締役の氏名

    会社法施行規則72条3項5号は議長が存するときの議長の氏名を、同項6号は「議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名」を記載事項としています。作成者の記載がない議事録は、誰の職務として作成されたのかを特定できません。

  • 定款・会社法に適合する決議要件の充足が読み取れる記載

    会社法309条1項は「株主総会の決議は、定款に別段の定めがある場合を除き、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行う」と定め、定款変更などには会社法309条2項の特別決議(出席した当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数。定足数は議決権を行使することができる株主の議決権の過半数で、定款で3分の1まで引き下げられます)が必要です。議案ごとに要件を照合できる記載にします。

  • 登記に使う決議事項の正確な表示

    役員の氏名、商号、本店、目的、効力発生日などの決議内容は、登記申請書の記載と照合される部分です。商業登記規則61条3項により、登記すべき事項につき株主総会の決議を要する場合は、議決権数上位の株主に関する証明書面(いわゆる株主リスト)の添付も必要になります。

無効・効力が否定されやすい条項

誤りが集中するのは、結果だけを書いて経過を落とす形と、決議要件を定款と照合せずに流用する形です。会社法309条1項の普通決議は定款に別段の定めがある場合を除くという留保付きの原則で、定款変更などは同条2項の特別決議によります。

  • 議案名と「可決」の一言だけを並べ、審議の経過を書かない雛形。会社法施行規則72条3項2号は「株主総会の議事の経過の要領及びその結果」を記載事項としており、結果だけでは足りません。提案の内容、質疑の要旨、採決の方法が抜けた議事録は、決議の成立が後日争われたときに経過を裏付ける記録として機能しません。

  • どの議案も出席株主の過半数で可決できると書く雛形。会社法309条1項の普通決議は「定款に別段の定めがある場合を除き」という留保付きの原則で、定款変更や解散などは会社法309条2項により、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(3分の1以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数で決議する必要があります。定足数・多数決要件を定款と照合せずに流用すると、決議要件を満たしたことを示せない記録になります。

  • 「株主総会議事録には出席取締役全員が署名押印しなければ無効」という説明。署名又は記名押印を法律が求めているのは取締役会議事録で、会社法369条3項は、議事録が書面で作成されているときは「出席した取締役及び監査役は、これに署名し、又は記名押印しなければならない」と定めますが、株主総会議事録については会社法318条にも会社法施行規則72条にも一般的な押印要件はありません。ただし定款の定めがある場合や、登記添付の場面で商業登記規則61条6項が押印を前提とする場合は別に確認が必要です。

  • 役員変更などの登記は議事録さえ添付すれば通るという理解。商業登記規則61条3項は、登記すべき事項につき株主総会の決議を要する場合に、議決権数上位の株主の氏名・住所・株式数・議決権数等を証する書面(いわゆる株主リスト)の添付を求めており、就任承諾書や印鑑証明書が必要になる場面もあります。議事録は添付書面の一つにすぎません。

  • 株主総会の決議で代表取締役を定めたのに、押印のない議事録を変更登記に使おうとする形。商業登記規則61条6項1号は、この場合の添付書面として「議長及び出席した取締役が株主総会又は種類株主総会の議事録に押印した印鑑」につき市町村長が作成した証明書を求めています(同項ただし書により、その印鑑が変更前の代表取締役等が登記所に提出している印鑑と同一であるときは添付不要です)。

  • 株主全員の書面同意で決議を省略したから議事録は不要という扱い。会社法319条1項により株主総会の決議があったものとみなされた場合でも、会社法施行規則72条4項1号は、決議があったものとみなされた事項の内容、提案をした者の氏名又は名称、みなされた日、議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名を内容とする議事録の作成を求めています。

作成の流れ

流れは、招集資料と決議要件の準備、当日の事実の記録、議事録の確定と登記添付要件との照合、本店・支店への備置きの4段階です。登記に使う場合は、決議の文言を登記申請書と一致させ、商業登記規則61条3項の株主リストの要否まで確認します。

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    招集資料と決議要件を準備する

    議案と提案理由、定款、株主名簿をそろえ、議決権を行使できる株主とその議決権数を確定します。会社法309条1項の普通決議で足りる議案か、定款変更・組織再編など会社法309条2項の特別決議(出席した当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数)が必要な議案かを区別し、定款に定足数や決議要件の別段の定めがないかも確認します。

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    総会当日の事実を記録する

    会社法施行規則72条3項に沿って、開催日時・場所(会場に存しない役員や株主が出席した場合はその出席方法を含む)、出席した役員等の氏名又は名称、議長の氏名、議案ごとの提案・質疑の要領・採決方法と結果を、進行に対応させて記録します。監査役の意見陳述など法定の意見・発言があったときは、その内容の概要も落とさず書き留めます。

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    議事録を確定し、登記添付の要件と照合する

    議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名を記載して内容を確定します。登記すべき決議があるときは、決議の文言を登記申請書と一致させ、商業登記規則61条3項の株主リスト、就任承諾書、同条6項の押印・印鑑証明書の要否を法務局の様式案内で確認します。株主総会の決議で代表取締役を定めた場合は、議長及び出席した取締役の議事録への押印が登記添付の前提になることがあります。

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    本店・支店に備え置く

    会社法318条2項により本店には株主総会の日から10年間備え置きます。支店には会社法318条3項により写しを5年間備え置きますが、同項ただし書により、電磁的記録で作成し支店での閲覧等の請求に応じられる法務省令で定める措置をとっているときは不要です。会社法318条4項により株主及び債権者は営業時間内いつでも閲覧・謄写を請求できるため、すぐに取り出せる状態で保管します。

専門家に相談したほうがよい場面

決議要件を満たしたかどうかが微妙な総会、決議の取消しや無効が争われるおそれのある総会、種類株主総会や組織再編を伴う案件は、議事録の書き方以前に手続の設計の問題になるため、開催前に会社法分野を扱う弁護士に相談してください。役員変更など登記申請書類の作成や申請代理を依頼する場合の相談先は司法書士です。当サイトは資格者を擁しておらず、議事録の作成代行も個別の事案についての法的判断も行いません。条文と公的機関の案内に基づく一般的な情報の提供にとどまります。

よくある質問

議事録には必ず会社実印や出席取締役全員の押印が要りますか。
会社法318条にも会社法施行規則72条にも、株主総会議事録一般についての署名・押印の要件はありません。署名又は記名押印が法律で義務づけられているのは取締役会議事録で、会社法369条3項が、議事録が書面で作成されているときは「出席した取締役及び監査役は、これに署名し、又は記名押印しなければならない」と定めています。もっとも、定款で押印を定めている会社はそれに従います。また、株主総会の決議で代表取締役を定めた場合の変更登記では、商業登記規則61条6項1号により、議長及び出席した取締役が議事録に押印した印鑑についての市町村長作成の証明書の添付が求められることがあります。
オンラインで出席した役員や株主についても記載が必要ですか。
必要です。会社法施行規則72条3項1号は「株主総会が開催された日時及び場所」を記載事項とし、括弧書きで、その場所に存しない取締役、執行役、会計参与、監査役、会計監査人又は株主が株主総会に出席をした場合における「当該出席の方法」を含むとしています。ウェブ会議システムを用いた場合は、出席の方法として、音声や映像により出席・審議・議決権行使ができた状況が分かる形で記載します。
株主全員の同意で決議を省略した場合も議事録を作りますか。
作ります。会社法319条1項は「取締役又は株主が株主総会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき株主(当該事項について議決権を行使することができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなす」と定めています。この場合の議事録は、会社法施行規則72条4項1号により、決議があったものとみなされた事項の内容、提案をした者の氏名又は名称、みなされた日、議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名を内容とします。同意の書面又は電磁的記録そのものも、会社法319条2項によりみなし決議の日から10年間本店に備え置きます。
議事録は誰が閲覧でき、何年保管しますか。
会社法318条2項により本店に株主総会の日から10年間、会社法318条3項により支店に写しを5年間備え置きます(電磁的記録で作成し法務省令で定める措置をとっている場合のただし書があります)。閲覧については、会社法318条4項が「株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる」として書面の閲覧・謄写等を挙げ、親会社の社員も同条5項により、権利を行使するため必要があるときは裁判所の許可を得て請求できます。備え置かなかったときは会社法976条8号により100万円以下の過料の対象として掲げられています。

出典

最終確認日: 2026-08-12

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