MHLW

雇用契約書(労働条件通知書兼用モデル様式)

「雇用契約書」は、労働者を雇い入れるときに使用者と労働者が取り交わす書面です。労働基準法が使用者に義務づけているのは労働条件の「明示」で(同法15条1項)、契約期間・就業の場所と業務・労働時間・賃金・退職に関する事項などは書面の交付による明示が必要です(労働基準法施行規則5条3項・4項)。契約書という名称の書面をつくること自体は労働基準法上の義務として規定されていませんが、労働契約法4条2項は労使双方に、契約内容をできる限り書面で確認するよう求めています。行政機関に提出する書類ではなく、労働者本人に交付します。

全国統一様式発行:厚生労働省最終確認:2026-07-30

誰が・どんなときに必要?

明示が必要になるのは、使用者が労働契約を締結するときです(労働基準法15条1項)。有期労働契約の更新は新たな労働契約の締結にあたるため、厚生労働省のQ&Aは、契約更新の際にも新しい明示ルールに則った明示が必要としています。パートタイム労働者・有期雇用労働者については、雇い入れたときに速やかに、昇給の有無など4つの「特定事項」を文書の交付等で明示する義務が別にあります(パートタイム・有期雇用労働法6条1項、同施行規則2条1項)。

手続きの流れ

  1. 1

    明示する労働条件を洗い出す

    労働基準法施行規則5条1項が明示事項を定めています。契約期間、有期契約で更新の可能性がある場合の更新の基準(通算契約期間や更新回数の上限があるときはその上限を含む)、就業の場所と従事すべき業務(変更の範囲を含む)、始業・終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間・休日・休暇、賃金、退職(解雇の事由を含む)などが対象です。退職手当・賞与・安全衛生・表彰と制裁などは、そうした定めを置く場合に明示します。

  2. 2

    書面の交付が必須の事項を切り分ける

    同規則5条3項により、書面で明示しなければならないのは1項1号から4号まで(昇給に関する事項を除く)です。契約期間、更新の基準、就業の場所と業務およびその変更の範囲、労働時間関係、賃金(昇給を除く)、退職に関する事項が対象です。それ以外は労働基準法上は書面交付まで求められません。ただし無期転換申込権が発生する有期契約では同規則5条6項により追加事項も書面明示の対象になり、パート・有期雇用労働者の「特定事項」は別途文書の交付等が必要です。

  3. 3

    有期契約なら無期転換に関する追加事項を確認する

    通算契約期間が5年を超えると、労働者の申込みにより無期労働契約に転換します(労働契約法18条1項)。その申込みができることとなる有期労働契約を結ぶときは、無期転換申込みに関する事項と無期転換後の労働条件の明示も必要です(労働基準法施行規則5条5項・6項)。あわせて、無期転換後の労働条件を決めるに当たっては、就業の実態に応じて正社員等とのバランスを考慮した事項を有期契約労働者に説明するよう努めることとされています。

  4. 4

    パート・有期雇用なら特定事項を書き加える

    パートタイム・有期雇用労働法6条1項は、雇い入れたときに速やかに「特定事項」を文書の交付等により明示するよう義務づけています。特定事項は、昇給の有無、退職手当の有無、賞与の有無、雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口の4つです(同施行規則2条1項)。この明示を怠った者は10万円以下の過料に処されます(同法31条)。

  5. 5

    書面を作成して労働者に交付する

    書面の名称や様式は法令で定められていません。厚生労働省の「主要様式ダウンロードコーナー」に、一般労働者用・短時間労働者用・派遣労働者用・建設労働者用・林業労働者用のモデル労働条件通知書がWordとPDFで公開されています(常用・有期雇用型は全類型、日雇型は短時間労働者用を除く各類型)。同コーナーでは令和8年9月30日まで使用できる様式と令和8年10月1日以降に使用する様式が別々に掲載されているため、締結時期に応じて使い分けます。

  6. 6

    交付後の保存と就業規則の周知を行う

    交付した書面は、雇入れに関する書類として労働基準法109条の保存義務の対象になります。保存期間は5年間が原則ですが、同法附則143条1項により当分の間は3年間です。起算日は書面を交付した日ではなく、労働基準法施行規則56条1項3号により当該労働者の退職または死亡の日です。就業規則は、各作業場の見やすい場所への掲示・備付け、書面の交付、常時確認できる機器の設置のいずれかの方法で周知します(同法106条1項、同施行規則52条の2)。

主な必要書類

  • (行政機関への添付書類はありません)届出書類ではないため、役所に添える書類はありません。以下は作成時に手元にそろえると確認しやすい関連書類です。
  • モデル労働条件通知書(厚生労働省)主要様式ダウンロードコーナーからWord・PDFで入手できます。法定様式ではなく、必要に応じて事業場で使用するものです。
  • 就業規則常時10人以上の労働者を使用する使用者は作成し行政官庁に届け出ます(労働基準法89条)。通知書には確認できる場所や方法を記載する欄があります。
  • 労働者名簿各事業場ごとに調製し、氏名・生年月日・履歴などを記入します(労働基準法107条)。厚生労働省が様式を公開しています。
  • 賃金台帳各事業場ごとに調製し、賃金支払の都度、賃金計算の基礎となる事項と賃金額を遅滞なく記入します(労働基準法108条)。

※ 機関設計や事案により必要書類は増減します。

費用(実費)

行政機関に提出する手続ではないため、手数料はかかりません。厚生労働省のモデル労働条件通知書は同省ウェブサイトで公開されており、ダウンロードして使えます。

提出先・提出方法

行政機関に提出する手続ではありません。作成した書面は労働者本人に交付します(労働基準法施行規則5条4項)。労働者が希望した場合に限り、ファクシミリや電子メール等の送信による明示も認められます。なお、常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成して行政官庁(労働基準監督署)に届け出る必要があり(同法89条)、その際は過半数労働組合または過半数代表者の意見を記した書面の添付が必要です(同法90条)。

つまずきやすいポイント

  • 書面交付が必要な事項の漏れに注意してください。労働基準法施行規則5条3項が定める1号から4号まで(昇給に関する事項を除く)は書面での明示が必須で、労働基準法15条1項に違反した者は30万円以下の罰金に処されます(同法120条1号)。
  • 有期労働契約は更新のたびに明示が必要です(更新は新たな労働契約の締結にあたります)。さらに厚生労働省のリーフレットは、最初の契約締結より後に更新上限を新たに設ける場合や、当初の更新上限を短縮する場合は、その理由を新設・短縮の前にあらかじめ有期契約労働者へ説明することが必要になると案内しています。
  • 電子メールでの明示は労働者本人が希望した場合に限られ、しかも受信した労働者が記録を出力して書面を作成できるものに限られます(労働基準法施行規則5条4項ただし書)。希望がないまま書面を交付しないと、明示義務を果たしたことになりません。
  • 求人時に示した条件と異なる条件で契約する場合は、契約前の変更明示が必要です。職業安定法5条の3第3項は、募集時に明示した業務の内容・賃金・労働時間などを変更して労働契約を締結しようとするときは、相手方となろうとする者に変更内容を明示しなければならないと定めています。
  • 令和8年10月1日から、パート・有期雇用労働者への雇い入れ時の明示事項に「待遇の相違の内容・理由等に関する説明を求めることができる」旨が加わり、違反した者は10万円以下の過料に処されると厚生労働省が案内しています。同日以降に使うモデル様式も別に掲載されています。

よくある質問

雇用契約書を作らないと違法になりますか。

労働基準法15条1項が使用者に義務づけているのは労働条件の明示で、施行規則5条3項・4項に定める事項は書面の交付による明示が必要です。書面の名称や様式は法令で定められていないため、「労働条件通知書」でも、労使双方が署名する契約書の形でも、必要な事項が明らかとなる書面であれば明示の要件を満たします。なお労働契約法4条2項は、労働者と使用者は労働契約の内容についてできる限り書面により確認するものとしています。

電子メールやPDFで渡してもよいですか。

労働者が希望した場合に限り、ファクシミリの送信または電子メール等の送信による明示が認められます(労働基準法施行規則5条4項ただし書)。電子メール等については、受信した労働者が記録を出力して書面を作成できるものに限られます。労働者からの希望がない場合は、書面の交付が原則です。

明示した労働条件が実際と違っていた場合はどうなりますか。

明示された労働条件が事実と相違する場合、労働者は即時に労働契約を解除することができます(労働基準法15条2項)。この場合において、就業のために住居を変更した労働者が契約解除の日から14日以内に帰郷するときは、使用者が必要な旅費を負担しなければなりません(同条3項)。また使用者は、明示すべき労働条件を事実と異なるものとしてはならないとされています(同法施行規則5条2項)。

作成した書面はいつまで保存すればよいですか。

使用者は、労働者名簿、賃金台帳および雇入れ・解雇・災害補償・賃金その他労働関係に関する重要な書類を5年間保存しなければなりません(労働基準法109条)。ただし同法附則143条1項により、当分の間は「3年間」と読み替えられます。この期間の起算日は労働基準法施行規則56条1項に定められており、雇入れに関する書類については労働者の退職または死亡の日が起算日です(書面を交付した日ではありません)。

出典・公式様式の入手先

様式ファイルは発行元(厚労省・労働局)の公式ページで配布されています。当サイトでは様式ファイルをホスティングしていません。最新版を必ず公式ページでご確認ください。本ページの記載は下記の公式情報に基づきます(最終確認 2026-07-30)。

厚労省・労働局の他の書式

厚労省・労働局の書式一覧をすべて見る

書類作成でお困りですか?

様式を集めても、書くのは大変。フォーム入力だけで、必要書類を自動作成できます。

このページの様式は各官公庁の公式ページから入手できます。作成そのものでつまずいたら、 ソロイ がフォームの案内に沿って登記書類・契約書を自動で作成します。

※ 本ページは一般的な情報提供であり、個別の法律判断ではありません。掲載内容は厚労省・労働局が公開する公式情報に基づく概要です。様式・要件は改版される場合がありますので、必ず公式ページで最新版をご確認ください。当サイトは様式ファイルをホスティングしていません。