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労働者死傷病報告
労働者死傷病報告は、労働者が労働災害等により死亡し、又は休業したときに、事業者が所轄労働基準監督署長へ提出する報告です。根拠は労働安全衛生規則97条(労働安全衛生法100条1項の委任)で、「死亡・休業4日以上」は遅滞なく、「休業4日未満」は四半期ごとにまとめて報告する二本立てになっています。令和7年1月1日施行の改正により電子情報処理組織(電子申請)による報告が原則となりましたが、改正省令の附則により、当分の間は書面による報告もできます。
誰が・どんなときに必要?
報告義務を負うのは事業者です。労働災害その他就業中又は事業場内若しくはその附属建設物内における負傷・窒息・急性中毒により労働者が死亡し、又は休業したときが対象です。死亡と休業4日以上は「遅滞なく」報告します。休業日数が4日に満たないときは、1〜3月、4〜6月、7〜9月、10〜12月の各期間分を、それぞれの期間における最後の月の翌月末日まで(4月末日、7月末日、10月末日、翌年1月末日)に報告します。派遣労働者が被災した場合は、派遣先の事業者と派遣元事業主の双方が報告します。
手続きの流れ
- 1
対象になるか、二つの区分のどちらかを確かめる
まず、労働災害その他就業中又は事業場内若しくはその附属建設物内での負傷、窒息、急性中毒により死亡又は休業したかを確認します。次に「死亡・休業4日以上」か「休業4日未満」かで区分します。前者は遅滞なく、後者は四半期ごとの報告で、報告事項も異なります。なお、事業の附属寄宿舎内での被災については、労働基準法施行規則57条1項3号が別に報告を定めています。
- 2
規則97条1項各号の報告事項をそろえる
報告事項は労働保険番号(建設工事の請負人の労働者の被災は元方事業者のもの・1号)、事業の種類と事業場名・所在地・電話番号、常時使用労働者数、建設工事に従事する労働者の被災は工事名(4号)、事業場の構内で作業する請負人の労働者の被災は当該事業場の名称(5号)、建設工事に従事する請負人の労働者の被災は元方事業者の事業場の名称(6号)、派遣の別と派遣先の事業場名・郵便番号、被災者の氏名・生年月日・年齢・性別・職種・経験期間・傷病名と部位、休業見込期間又は死亡日時(9号)、外国人の国籍・地域と在留資格、災害の発生日時・場所・状況・略図・原因、報告年月日と事業者・報告者の職氏名です。
- 3
電子情報処理組織を使用して報告する
原則は電子情報処理組織を使用した報告です。厚生労働省の「労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス」から、e-Govを介して直接電子申請することができます。事業の種類、被災者の職種、傷病名と部位、国籍・地域と在留資格はコードから選択する方式です。災害発生状況の略図は、手書きで作成したものを携帯電話等で撮影したデータを添付することもできます。
- 4
電子申請が難しいときは書面で報告する
改正省令の附則3条・4条により、事業者は当分の間、電子情報処理組織による報告に代えて、その事項を記載した書面により報告することができます。厚生労働省も、パソコン端末を所持していない等の事情で電子申請が困難な場合は当分の間書面による報告も可能と案内しています。書面の場合は厚生労働省のページから令和7年1月1日以降に報告する用の様式をダウンロードし、所轄の労働基準監督署へ提出します。
- 5
派遣・請負のときの追加対応を行う
派遣労働者が被災したときは、派遣先の事業者と派遣元事業主の双方が所轄労働基準監督署長へ報告し、派遣先の事業を行う者は遅滞なくその内容を派遣元の事業の事業者に報告します(労働者派遣法施行規則42条)。建設工事の作業に従事する労働者が被災したときは、請負人の労働者かどうかを問わず当該工事の名称(規則97条1項4号)が報告事項になります。その労働者が請負人の労働者である場合は、労働保険番号が自社ではなく元方事業者(安衛法15条1項)のものに置き換わり(同1号)、元方事業者の事業場の名称(同6号)も加わります。
- 6
報告後は原因分析と再発防止に取り組む
労働者死傷病報告は労働災害統計の作成などに活用され、提出された報告をもとに災害原因の分析が行われます。報告後は、災害の原因を分析して再発防止対策を策定し、実施することが重要です。労働基準監督署から労働災害再発防止書等の作成・提出を求められることがあり、厚生労働省は様式例を公表しています。
主な必要書類
- 災害発生状況及び原因の略図(データ)(労働安全衛生規則97条に添付書類の定めはなく、電子申請で実際にデータとして添付するのは同条1項11号の略図だけです。略図は手書き等で作成後、携帯電話等で撮影したデータを添付することもできます。これ以降の項目は提出書類ではなく、報告事項を記入するために手元へ用意しておく情報です。)
- 労働保険番号が確認できる控えなど((提出書類ではなく、記入に使う情報です。)規則97条1項1号。建設工事の作業に従事する請負人の労働者が被災した場合は、自社ではなく元方事業者の労働保険番号を報告します。)
- 建設工事の名称((提出書類ではなく、記入に使う情報です。)規則97条1項4号。建設工事の作業に従事する労働者が被災した場合の報告事項で、請負人の労働者に限られません。元方事業者や単独で施工する事業者が自社の労働者の被災を報告するときも記載します。)
- 元方事業者の事業場の名称・構内の事業場の名称((提出書類ではなく、記入に使う情報です。)規則97条1項6号は建設工事の作業に従事する請負人の労働者が被災した場合の元方事業者の事業場の名称、同5号は事業場の構内において作業に従事する請負人の労働者が被災した場合の当該事業場の名称です。)
- 被災労働者の氏名・生年月日・職種などが分かる情報((提出書類ではなく、記入に使う情報です。)規則97条1項8号。職種のほか、当該職種における経験期間、傷病の名称と部位も報告します。)
- 休業見込期間又は死亡日時が分かる情報((提出書類ではなく、記入に使う情報です。)規則97条1項9号。休業4日未満の四半期報告では、9号に代えて休業日数を報告します。)
- 外国人の国籍・地域と在留資格が確認できる情報((提出書類ではなく、記入に使う情報です。)規則97条1項10号。外交又は公用の在留資格をもって在留する者と特別永住者は除かれます。)
- 派遣先の事業場の名称・郵便番号((提出書類ではなく、記入に使う情報です。)規則97条1項7号。派遣労働者の場合に、報告を行う事業者が派遣先・派遣元事業主のいずれに該当するかの別とあわせて報告します。)
※ 機関設計や事案により必要書類は増減します。
費用(実費)
労働安全衛生法及び労働安全衛生規則には、この報告の提出について手数料を納める旨の定めは置かれていません。登録免許税法別表第一にも該当する項がないため、登録免許税も課されません。郵送で報告する場合の郵便料金などの実費は自己負担になります。
提出先・提出方法
所轄労働基準監督署長(事業場の所在地を管轄する労働基準監督署)です。原則は電子情報処理組織を使用した報告で、厚生労働省の入力支援サービスからe-Govを介して申請できます。書面による場合は所轄の労働基準監督署へ提出します。派遣労働者の被災では、派遣先・派遣元それぞれの所轄署に提出します。
つまずきやすいポイント
- 「令和7年1月から完全に電子申請のみで紙は不可」は誤りです。改正省令の附則3条・4条により、事業者は当分の間、書面により報告できます。ただし厚生労働省は、令和7年1月1日以降は従前の労働安全衛生規則様式第23号及び同第24号を使用しないよう案内しています。
- 建設工事の作業に従事する労働者が被災したときは、請負人の労働者かどうかを問わず当該工事の名称(規則97条1項4号)が報告事項です。一方、労働保険番号を自社ではなく元方事業者のものに置き換えるのは(同1号)、元方事業者の事業場の名称を加えるのは(同6号)、いずれも被災者が請負人の労働者である場合です。下請の事業者が自社の労働保険番号を書く誤りが起きやすい箇所です。
- 休業4日未満の報告を忘れがちです。1〜3月分は4月末日、4〜6月分は7月末日、7〜9月分は10月末日、10〜12月分は翌年1月末日までにまとめて報告します。報告事項は1項各号のうち9号(休業見込期間又は死亡日時)を除いたものと休業日数です。
- 派遣労働者の被災で、派遣先か派遣元のどちらか一方だけが報告するのは足りません。双方に報告義務があり、さらに派遣先の事業を行う者は、規則97条1項の報告をしたときは遅滞なくその内容を派遣元の事業の事業者に報告する必要があります(労働者派遣法施行規則42条)。
- 報告をせず、又は虚偽の報告をしたときは、労働安全衛生法120条5号により50万円以下の罰金に処するとされています。30万円ではありません。法人の従業者等が違反した場合は、行為者のほか法人にも罰金刑が科されることがあります(同法122条)。
よくある質問
休業が1日だけの軽いケガでも報告は必要ですか。
必要です。労働安全衛生規則97条2項により、休業の日数が4日に満たないときも報告します。ただし提出時期が異なり、1〜3月、4〜6月、7〜9月、10〜12月の各期間分を、それぞれの期間における最後の月の翌月末日まで(4月末日、7月末日、10月末日、翌年1月末日)にまとめて報告します。報告事項は同条1項各号のうち9号(休業見込期間又は死亡日時)を除いたものと、休業日数です。
紙の様式で提出することはできますか。
令和7年1月1日施行の改正で電子情報処理組織を使用した報告が原則となりましたが、同改正省令の附則3条・4条により、事業者は当分の間、書面により報告することができます。厚生労働省も、パソコン端末を所持していない等の事情により電子申請が困難な場合には当分の間書面による報告も可能と案内しています。書面の場合は厚生労働省のページから令和7年1月1日以降に報告する用の様式をダウンロードし、所轄の労働基準監督署へ提出します。
下請の労働者が工事現場でケガをしたとき、労働保険番号は自社のものを書きますか。
いいえ。規則97条1項1号は、建設工事の作業に従事する請負人の労働者が労働災害等により死亡し、又は休業した場合の労働保険番号を、労働安全衛生法15条1項の元方事業者の労働保険番号と定めています。この場合は自社の番号ではなく元方事業者のものに置き換わり、元方事業者の事業場の名称(同6号)も加わります。なお、工事の名称(同4号)は建設工事の作業に従事する労働者が被災した場合の報告事項で、請負人の労働者に限られません。元方事業者や単独で施工する事業者が自社の労働者の被災を報告するときも記載します。
派遣労働者がケガをしたとき、どちらが報告するのですか。
派遣先の事業者と派遣元事業主の双方に報告義務があります。労働者派遣法45条15項が労働安全衛生法100条などの「事業者」を「事業者(派遣先の事業者を含む。)」と読み替えるためで、規則97条1項7号でも、報告を行う事業者が派遣先・派遣元事業主のいずれに該当するかの別と派遣先の事業場の名称・郵便番号を報告することとされています。さらに派遣先の事業を行う者は、規則97条1項の報告をしたときは、遅滞なくその内容を派遣元の事業の事業者に報告しなければなりません(労働者派遣法施行規則42条)。
出典・公式様式の入手先
様式ファイルは発行元(厚労省・労働局)の公式ページで配布されています。当サイトでは様式ファイルをホスティングしていません。最新版を必ず公式ページでご確認ください。本ページの記載は下記の公式情報に基づきます(最終確認 2026-08-06)。
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