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労働者名簿/賃金台帳/出勤簿(法定三帳簿)
労働者名簿・賃金台帳・出勤簿等は、労働者を雇う使用者が事業場ごとに備える帳簿です。労働者名簿は労働基準法107条、賃金台帳は同法108条に根拠があります。出勤簿に法定の様式はありませんが、賃金台帳に労働日数・労働時間数を記入する義務(同法施行規則54条1項)と、厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29年1月20日策定)が実務の拠りどころになります。行政庁へ届け出る書類ではなく、事業場に備え付けて保存する書類です。
誰が・どんなときに必要?
労働者を使用する使用者が対象です。ただし、同居の親族のみを使用する事業及び家事使用人については労働基準法は適用されません(同法116条2項)。労働者名簿は各労働者(日日雇い入れられる者を除く)について調製し、記入すべき事項に変更があった場合は遅滞なく訂正します(同法107条)。賃金台帳は賃金支払の都度、遅滞なく記入します(同法108条)。労働時間は、ガイドラインにより労働日ごとの始業・終業時刻を確認して記録します。
手続きの流れ
- 1
事業場ごとに労働者名簿を調製する
使用者は各事業場ごとに、各労働者(日日雇い入れられる者を除く)について労働者名簿を調製します(労働基準法107条1項)。記入事項は氏名・生年月日・履歴のほか、性別、住所、従事する業務の種類、雇入の年月日、退職の年月日及びその事由(解雇の場合はその理由を含む)、死亡の年月日及びその原因です(施行規則53条1項)。様式は様式第19号です。常時30人未満の労働者を使用する事業では、従事する業務の種類の記入は要しません(同条2項)。
- 2
労働日ごとの始業・終業時刻を記録する(出勤簿・タイムカード等)
出勤簿に法定の様式はありません。ガイドラインは労働日ごとの始業・終業時刻を確認して記録することとし、原則的な方法として自ら現認するか、タイムカード・ICカード・パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎とすることを挙げています。対象からは労働基準法41条に定める者とみなし労働時間制が適用される労働者(事業場外労働は、みなし労働時間制が適用される時間に限る)が除かれますが、同ガイドラインは適用されない労働者にも使用者が適正な労働時間管理を行う責務があるとしています。
- 3
賃金支払の都度、賃金台帳に記入する
各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金支払の都度、遅滞なく記入します(労働基準法108条)。記入事項は氏名、性別、賃金計算期間、労働日数、労働時間数、時間外・休日・深夜の労働時間数、賃金の種類ごとの額と控除額です(施行規則54条1項)。様式は常時使用される労働者が様式第20号、日々雇い入れられる者が第21号です(同55条)。同法41条各号該当者と41条の2第1項の対象労働者は、労働時間数(5号)と時間外・休日・深夜の労働時間数(6号)の記入を要しません(同54条5項)。
- 4
変更が生じたら遅滞なく訂正する
労働者名簿は、記入すべき事項に変更があった場合、遅滞なく訂正しなければなりません(労働基準法107条2項)。住所や従事する業務の種類が変わったとき、退職や解雇があったときが典型的な場面です。なお、年次有給休暇管理簿は、労働者名簿または賃金台帳とあわせて調製することができます(施行規則55条の2)。
- 5
保存し、事業場に備え付ける
労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類は5年間保存しなければなりませんが、附則143条1項により当分の間は3年間と読み替えられます(労働基準法109条)。起算日は、労働者名簿が労働者の死亡・退職または解雇の日、賃金台帳が最後の記入をした日です(施行規則56条1項)。提出先はなく事業場に備え付けるもので、労働基準監督官は臨検して帳簿及び書類の提出を求めることができます(同法101条1項)。
主な必要書類
- 労働者名簿(様式第19号)(労働基準法107条・施行規則53条。厚生労働省の主要様式ダウンロードコーナーに掲載。)
- 賃金台帳(様式第20号/常時使用される労働者)(労働基準法108条・施行規則55条。1か月を超えて引き続き使用される日雇の者を含みます。)
- 賃金台帳(様式第21号/日々雇い入れられる者)(1か月を超えて引き続き使用される者は除かれます(施行規則55条)。)
- 出勤簿・タイムカード等の労働時間の記録(法定の様式はありません。自ら現認するか客観的な記録を基礎とします。)
- 年次有給休暇管理簿(該当する場合)(労働者名簿または賃金台帳とあわせて調製できます(施行規則55条の2)。)
※ 機関設計や事案により必要書類は増減します。
費用(実費)
届出・申請の手続ではないため、行政に納付する手数料はありません。労働者名簿と賃金台帳の様式は、厚生労働省の主要様式ダウンロードコーナーから無料で入手できます。
提出先・提出方法
提出先・届出先はありません。労働基準法107条・108条は各事業場ごとに「調製」し「記入」することを定めるもので、行政庁への届出を求める規定は置かれていません。作成した帳簿は事業場に備え付け、労働基準監督官の臨検の際に提出を求められることがあります(同法101条1項)。
つまずきやすいポイント
- 保存期間は「5年」と「当分の間3年」の二段構えです。労働基準法109条の条文は「五年間」ですが、附則143条1項が「当分の間、同条中『五年間』とあるのは、『三年間』とする」と読み替えを定めています。条文だけを見ると食い違いが生じやすい箇所です。
- 単位は「会社ごと」ではなく「事業場ごと」です。107条・108条はいずれも「各事業場ごとに」と定めています。支店や営業所がある場合、本社でまとめて管理していても、事業場単位での備付けが前提になります。
- 出勤簿に法定の様式がないことと、記録が不要であることは別です。賃金台帳には労働日数・労働時間数・時間外・休日・深夜の労働時間数を記入することとされ(施行規則54条1項4号〜6号)、ガイドラインは出勤簿やタイムカード等の労働時間の記録に関する書類も労働基準法109条に基づく保存の対象としています。
- 労働基準法41条各号のいずれかに該当する労働者および同法41条の2第1項により労働させる労働者は、賃金台帳の労働時間数(5号)と時間外・休日・深夜の労働時間数(6号)の記入を要しません(施行規則54条5項)。この場合も労働日数(4号)の記入は必要です。
- 記録がまったく不要になるわけではありません。労働安全衛生法66条の8の3による労働時間の状況の把握は、高度プロフェッショナル制度の対象労働者を除く労働者が対象とされ、管理監督者やみなし労働時間制が適用される労働者も含まれます。
よくある質問
労働者名簿や賃金台帳は労働基準監督署に届け出る必要がありますか。
届出を求める規定は労働基準法107条・108条には置かれていません。これらは各事業場ごとに帳簿を調製し記入することを定めるもので、事業場に備え付けて保存します。ただし、労働基準監督官は事業場に臨検し、帳簿及び書類の提出を求めることができるとされています(同法101条1項)。
保存期間は5年ですか、3年ですか。
労働基準法109条の条文は「五年間保存しなければならない」と定めていますが、同法附則143条1項により、当分の間は「三年間」と読み替えられます。起算日は施行規則56条に定めがあり、労働者名簿は労働者の死亡・退職または解雇の日、賃金台帳は最後の記入をした日です。賃金の支払期日がこれらの日より遅い場合は、その支払期日が起算日になります(同条2項)。
パートやアルバイト、日雇いの人も対象になりますか。
パート・アルバイトも労働基準法上の労働者ですから、日日雇い入れられる者に当たらない限り労働者名簿の対象になり、賃金台帳は雇用形態を問わず全ての労働者について調製します。労働者名簿は「各労働者(日日雇い入れられる者を除く。)」について調製することとされています(同法107条1項)。賃金台帳は、日々雇い入れられる者についても様式第21号により調製します(施行規則55条)。なお、日々雇い入れられる者(1か月を超えて引き続き使用される者を除く)は、賃金計算期間の記入を要しません(同規則54条4項)。
労働者名簿や賃金台帳をパソコン・クラウド上のデータで作成・保存してもよいですか。
厚生労働省のFAQは、労務関係の書類をパソコン上で作成して保存する場合、(1)法令で定められた要件を具備し、かつそれを画面上に表示し印字することができること、(2)労働基準監督官の臨検時等、直ちに必要事項が明らかにされ、提出し得るシステムとなっていること、(3)誤って消去されないこと、(4)長期にわたって保存できること、などの要件を満たす必要があるとしています。保存期間は前述のとおり労働基準法109条および同法附則143条1項によります。
出典・公式様式の入手先
様式ファイルは発行元(厚労省・労働局)の公式ページで配布されています。当サイトでは様式ファイルをホスティングしていません。最新版を必ず公式ページでご確認ください。本ページの記載は下記の公式情報に基づきます(最終確認 2026-07-30)。
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