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下請代金支払遅延等防止法 第3条書面(発注書面)参考例/第5条書類 記載事項

下請法3条書面・5条書類と呼ばれてきた書面は、改正後の法律では発注時の明示と取引記録に当たります。現行法は「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」(略称・取適法、旧称・下請代金支払遅延等防止法)です。発注時の書面は取適法4条の「明示」、取引記録は7条の「書類等の作成及び保存」です。「親事業者」は「委託事業者」、「下請事業者」は「中小受託事業者」に改められました。様式の指定はなく、規則の定める事項を満たせば自社の注文書や契約書を使えます。

下請代金支払遅延等防止法 第3条書面(発注書面)参考例/第5条書類 記載事項の要点。
対象中小受託事業者へ製造委託等をした委託事業者
期限明示は発注のつど直ちに。記録は事実発生のつど速やかに
費用申請手数料・登録免許税なし
提出先行政庁に提出しない(受託者へ交付・自社で保存)
様式指定なし
保存期間全部を記録した日から2年間
全国統一様式発行:公正取引委員会(中小企業庁と共管)最終確認:2026-09-19

誰が・どんなときに必要?

委託事業者が中小受託事業者へ製造委託・修理委託・情報成果物作成委託・役務提供委託・特定運送委託をした場合に義務が生じます。発注時の明示は発注のつど直ちに行います。取引記録は、該当する事実が生じ、または明らかになったつど速やかに記載・記録します。対象かどうかは資本金の額または出資の総額で判定します。資本金基準が適用されない場合は、従業員基準(製造委託等は300人、情報成果物作成委託・役務提供委託は100人)で判定します。

手続きの流れ

  1. 1

    対象取引を判定する

    物品の製造・修理・特定運送の委託と、政令で定める情報成果物(プログラム)・役務(運送、倉庫保管、情報処理)の委託が第一の区分です。第一の区分は、資本金3億円超対3億円以下、または1千万円超3億円以下対1千万円以下の組合せです。それ以外の情報成果物作成委託・役務提供委託は、5千万円超対5千万円以下、または1千万円超5千万円以下対1千万円以下です。資本金基準が適用されない場合は、従業員基準で判定します。

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    従業員数を数える

    常時使用する従業員の数は、賃金台帳の調製対象となる労働者の数で算定し、契約社員・パートタイマー・アルバイトも含みます。判定時点は個々の製造委託等をした時点です。資本金1千万円超または従業員100人超の事業者から役員の任免等について支配を受け、受けた委託の全部または相当部分を再委託する場合は、みなし適用があります。

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    明示事項をそろえる

    明示規則は、当事者双方の商号等、委託日、給付の内容、受領期日と場所、検査完了期日、代金の額と支払期日を定めています。一括決済方式や電子記録債権による支払の事項、有償支給原材料等の品名等、未定事項の理由と予定期日も明示事項です。代金は具体的な金額が原則ですが、やむを得ない事情があるときは算定方法の明示で足ります。

  4. 4

    直ちに明示する

    明示は、書面の交付、電子メール等の送信、記録媒体の交付で行います。契約書が明示事項をすべて網羅していれば契約書の交付で足りますが、締結まで時間がかかる場合は契約書とは別に明示します。内容が定められないことに正当な理由がある事項は、定まった後に直ちに補充の明示をします。

  5. 5

    共通事項を結び付ける

    支払方法や検査期間など一定期間共通の事項は、あらかじめ書面または電磁的方法で明示しておけば、その期間内は発注のつど明示する必要がなくなります。この場合も、発注のつど「支払方法等については現行の書面による」旨を明示し、個々の発注との関連性を明らかにします。共通事項の書面等には有効である期間を明記します。

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    取引記録を保存する

    記録規則は、給付の内容と受領日、検査完了日と結果、変更ややり直しの内容と理由を定めています。代金の額・支払期日・増減額と理由、支払額・支払日・支払方法、遅延利息なども記載事項です。事実が生じ、または明らかになったときに速やかに、中小受託事業者別に記載します。保存期間は、記載・記録をすべき事項の全部を記載または記録した日から2年間です。

主な必要書類

  • 注文書・発注書(発注時明示の本体)(様式は自由です。明示規則の事項をすべて満たせば既存の注文書も使えます。)
  • 仕様書・図面・検査基準(給付の内容を別紙で交付する場合は、本体の書面にその旨を付記します。)
  • 単価表など代金の算定方法を示す別添(具体的な金額の明示が困難なやむを得ない事情がある場合に使います。)
  • 共通事項を定めた書面(「支払方法等について」等)(有効である期間の明記と、発注のつどの関連性の明示が必要です。)
  • 有償支給原材料等に関する明示事項の書面(品名・数量・対価・引渡しの期日・決済の期日および方法を記載します。)
  • 取引記録用の帳票または電磁的記録(中小受託事業者別に記録規則の事項を記載・記録します。)

※ 機関設計や事案により必要書類は増減します。

費用(実費)

行政庁への申請・登録・許可の手続ではないため、申請手数料や登録免許税は生じません。公正取引委員会のテキストは、参考例の発注書は一方的に取引条件等を通知する文書で、課税文書に当たらないと整理しています。中小受託事業者が署名・押印して返送する請書は課税文書となり、中小受託事業者が納税義務者になるとしています。個別の課税判断の確認先は所轄税務署です。

提出先・提出方法

行政庁に提出する書類ではありません。発注時の明示は中小受託事業者に交付または提供し、取引記録は委託事業者が自社で作成・保存します。所管は公正取引委員会で、中小企業庁長官と事業所管大臣にも指導・助言、報告徴収、立入検査の権限があります。

つまずきやすいポイント

  • 旧法の条文番号のまま書面を運用すると、根拠がずれます。発注時の書面は3条ではなく4条、取引記録は5条ではなく7条が根拠で、法律名も「下請代金支払遅延等防止法」から現行名に変わりました。社内テンプレートの条文引用と用語(親事業者・下請事業者)も現行法に合わせます。
  • 共通事項をあらかじめ明示しても、発注のつどの明示が丸ごと不要にはなりません。発注のつど共通事項の書面による旨を明示し、個々の発注との関連性を明らかにします。関連性の記載を落とすと、発注内容の明示義務に違反します。
  • パート・アルバイトを除いて従業員数を数えると、対象判定を誤ります。従業員基準は賃金台帳の調製対象となる労働者の数で算定し、契約社員・パートタイマー・アルバイトも含みます。判定は個々の製造委託等をした時点で行います。
  • 発注時明示の写しを保存するだけでは、取引記録にはなりません。公正取引委員会のQ&Aは、写しを記録の一部にできるとしつつ、取引開始時の事項だけでは記録事項を満たせず作成・保存義務違反になるとしています。受領日・検査結果・実際の支払額も記録します。
  • 保存期間の起算点は、取引日や支払日ではありません。記録規則の2年間は、記載または記録をすべき事項の全部を記載・記録した日から数えます。取引が長期にわたる場合、起算点は最後の事項を記録した日です。

よくある質問

決まった様式やひな形はありますか。

法令上、様式の指定はありません。公正取引委員会のテキストは、様式に特に制約はなく、各委託事業者が自社の取引内容に即したものを作成できるとしています。同テキストには、汎用・製造委託・役務提供委託向けの書式例が参考例として掲載されています。

メールやEDIで明示できますか。

できます。明示規則は、電子メールその他の受信者を特定して情報を伝達する電気通信の送信と、電磁的記録を記録した記録媒体の交付を挙げています。明示事項が相手方の画面に文字等で明確に表示される必要があります。明示規則4条が定める場合を除き、書面の交付を求められたときは遅滞なく交付します。

支払期日を「納品後30日以内」と書けますか。

公正取引委員会のテキストは、その書き方では支払期日が特定されないため認められないとしています。支払期日は、給付を受領した日から起算して60日の期間内で、かつできる限り短い期間内に定めます。「毎月末日納品締切、翌月末日支払」のように、日が特定できる書き方にします。

明示や記録を怠った場合の罰則はありますか。

明示をしなかったとき、求められた書面を交付しなかったとき、取引記録を作成・保存せず又は虚偽のものを作成したときが対象です。違反行為をした委託事業者の代表者、代理人、使用人その他の従業者は、裁判所から50万円以下の罰金に処される可能性があります。両罰規定により、法人または人にも罰金が科されます。

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