通勤経路届・通勤手当申請書
通勤手当申請書、通勤経路届、通勤手当支給申請書、通勤経路変更届、マイカー通勤許可申請書 とも呼ばれます。
通勤経路届・通勤手当申請書は、従業員が入社時や引っ越し・転居、最寄駅の変更などにより通勤経路が変わった際に、利用する交通機関、経路、定期券区間、運賃額などを会社に届け出て、通勤手当の支給を申請するための社内書類である。法律で様式が定められた法定書式ではなく、各社が就業規則や通勤手当支給規程に基づいて独自に整備する社内手続文書であり、支給額の算定根拠および賃金台帳への記載事項を裏付ける資料としての性格を持つ。もっとも、届け出た内容は、賃金としての通勤手当の額、所得税法上の非課税限度額のあてはめ、社会保険の標準報酬月額の算定という三つの計算に同時に波及するため、社内様式でありながら実務上の影響範囲は広い。
最終確認日:
どんなときに必要か
入社時の初回届出のほか、転居による最寄駅の変更、勤務先の異動、利用交通機関や経路の変更、定期券区間の変更、在宅勤務日数の変更など、通勤の実態が変わるたびに提出が必要になる。多くの会社では年に一度の定期的な確認や、通勤手当の定期券更新のタイミングでの再提出も求められる。なお、この届出は労働者災害補償保険法上の通勤災害の認定基準そのものではないが、会社が通勤の実態を把握している唯一の資料であることが多く、実態とずれたまま放置されると、事故時の事実確認や手当の精算で不利に働きやすい。
書面にする必要はあるか
通勤経路届・通勤手当申請書それ自体は、法令が交付や提出を義務付けた法定の要式書面ではない。この書類に法定の書面要件はなく、作成の目的は証拠目的、すなわち支給額の算定根拠を後から確認できる形で残すことにある。もっとも、会社が就業規則等で通勤手当を賃金の一部として支給すると定めている場合、労働基準法24条の賃金支払原則が及ぶため、支給額の算定根拠を書面で確認しておくことは重要である。加えて、支給額は賃金計算の基礎事項として同法108条に基づき賃金台帳に記載する必要があり、本書式はその記載内容を裏付ける証拠目的の社内資料として機能する。書面化が法令上求められるのは、むしろ会社側の別の書類である。常時十人以上の労働者を使用する使用者は、同法89条2号により「賃金(臨時の賃金等を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項」を就業規則に定めて行政官庁に届け出るものとされ、賃金台帳には労働基準法施行規則54条1項7号により「基本給、手当その他賃金の種類毎にその額」を記入するものとされている。
必ず入れる事項
届出日・氏名・所属部署
誰が、いつ、どの部署の所属者として届け出た内容かを特定する基本情報であり、通勤手当の支給決定と賃金台帳への記載の前提となる。記入漏れがあると、支給決定の根拠が後日確認できなくなるおそれがある。賃金台帳は労働基準法施行規則54条1項により労働者各人別に記入するものとされているため、氏名の特定が台帳との突合の起点になる。
通勤経路(最寄駅・乗換駅・利用交通機関)
自宅から勤務先までの具体的な経路と利用する電車・バス等の交通機関を明らかにする項目であり、多くの会社では就業規則上『最も経済的かつ合理的な経路』を基準に支給額を算定するため、経路の特定が支給額決定の出発点になる。この社内基準は、所得税法施行令20条の2第1号が非課税の範囲を「その者の通勤に係る運賃、時間、距離等の事情に照らし最も経済的かつ合理的と認められる通常の通勤の経路及び方法による運賃等の額(一月当たりの金額が十五万円を超えるときは、一月当たり十五万円)」と定めていることに合わせた運用であることが多い。
定期券区間・運賃額(実費の算出根拠)
支給額算定の直接の根拠となる定期券区間と運賃額を示す項目であり、通勤手当を賃金として扱う場合、労働基準法24条の全額払い原則により決定額どおりに支払う必要があるため、算出根拠を明確にしておく必要がある。就業規則等で支給条件が明確に定められた通勤手当は、同法11条が「この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。」と定める賃金に当たると解されるのが一般的である。
通勤方法の区分(電車・バス・自家用車・自転車等)
交通手段によって非課税限度額や支給基準が異なる場合があるため、区分を明確にする必要がある。特に自家用車・自転車通勤の場合は距離に応じた算定基準が就業規則で別途定められていることが多い。所得税法施行令20条の2は、交通機関または有料の道路を利用する者、自動車その他の交通用具を使用する者、両者を併用する者、駐車場等の料金を負担する者を号ごとに区分して限度額を定めており、区分を取り違えると非課税枠の計算がそのままずれる。
通勤距離(片道キロメートル数)
自家用車や自転車など交通用具を使う通勤では非課税限度額が片道距離の区分で決まるため、距離の記載が欠けると税額の計算ができない。所得税法施行令20条の2第2号は「その通勤の距離が片道二キロメートル未満である者」を対象から除いており、片道二キロメートル未満の交通用具通勤に支給する手当は全額が課税対象となる。片道十キロメートル未満は一月当たり四千二百円、片道九十五キロメートル以上は一月当たり六万六千四百円というように、距離区分ごとの月額が定められている。
経路・方法変更時の届出義務と届出期限
実際の通勤経路や方法が変わったにもかかわらず届出がされないと、支給額と実費の間にずれが生じ、過払い分の返還請求や不支給決定など後日のトラブルの原因になるため、変更時の届出ルールを明記しておく必要がある。届出期限は、変更が生じた日から起算した日数の形で定め、規程と様式の双方に書いておくと、精算の起点と責任の所在が明確になる。
虚偽申告があった場合の取扱い(返還・懲戒等)
実際より高額な経路を偽って届け出るなど虚偽申告が判明した場合の返還請求や懲戒処分の可能性を明記することは、不正受給の抑止と、発覚時の会社対応の根拠を明確にする意味を持つ。懲戒については、労働基準法89条9号が表彰及び制裁の定めをする場合の種類及び程度を就業規則の記載事項としているため、規程に定めのない処分は根拠を欠くことになる。
所属長・人事担当者の確認欄(承認欄)
届出内容が実態と合致しているかを上長や人事が確認したことを記録する欄であり、支給決定プロセスの適正性を担保し、賃金台帳への記載内容の正確性を裏付ける資料となる。承認の記録は、後日に過払いの精算や懲戒の可否が争われたときに、会社がどの時点でどの内容を前提に支給を決めたのかを示す資料にもなる。
個人番号(マイナンバー)等の機微情報を記載しないことの確認
通勤経路届は通勤手当の算定に必要な情報に限定すべき書類であり、マイナンバー等の記載を要求する必要はない。不要な機微情報の収集は個人情報保護の観点から避けるべきである。行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律20条は「何人も、前条各号のいずれかに該当する場合を除き、特定個人情報(他人の個人番号を含むものに限る。)を収集し、又は保管してはならない。」と定めており、通勤手当の算定そのものは個人番号を利用できる事務として定められたものではない。
無効・効力が否定されやすい条項
古い雛形をそのまま使うと、次の点でつまずくことがあります。
通勤経路や利用交通機関が変わったのに変更届を提出しないまま従前の届出内容で通勤手当を受け取り続けると、実費との間に差額が生じる。会社が事後にこれを発見した場合、就業規則の届出義務違反を理由に過払い分の返還を求めたり、悪質な場合は懲戒処分の対象とされたりする可能性があり、届出内容そのものの効力が否定されるわけではないが、支給決定が事後的に是正される点に注意が必要である。転居で定期券区間が短くなった場合の差額は支給の都度発生し続けるため、発覚が遅れるほど返還を求められる金額が膨らむ。
実際に利用している経路よりも運賃の高い経路を偽って届け出て通勤手当を余分に受け取っていた場合、これは会社に対する不正な金銭の取得であり、労働契約上の債務不履行または不法行為として返還請求の対象になるほか、就業規則の懲戒事由に該当し得る。懲戒として減給処分を行う場合でも、労働基準法91条により、一回の減給額は平均賃金の一日分の半額を、総額は一賃金支払期における賃金総額の十分の一を超えることができない。同条は「その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。」と定めており、この上限を超える減給は認められない。もっとも、減給の制裁の上限と、過払い分そのものの返還請求とは別の問題として整理されるのが一般的である。
通勤手当を就業規則や賃金規程で賃金の一部として支給すると定めている会社が、いったん決定した支給額を労働者の同意なく一方的に減額・不支給とすることは、労働基準法24条1項が定める「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。」という全額払いの原則に反するおそれがあり、就業規則の不利益変更のルールに従わない限り認められない。労働契約法9条は「使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。」と定めており、例外は、労働契約法10条が定める変更後の就業規則の周知と変更の合理性を満たす場合に限られる。
通勤手当の支給額や算定根拠となった通勤経路届の内容を賃金台帳に記載していない場合、労働基準法108条が求める「賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない。」という記載義務を欠くことになり、労働基準監督署の調査等で是正勧告の対象となり得る。この厚生労働省令に当たる労働基準法施行規則54条1項7号は「基本給、手当その他賃金の種類毎にその額」の記入を求めており、通勤手当を基本給と区別せずに一本の金額で記載する運用も、この求めを満たさないおそれがある。
所得税法上、通勤手当には一定の非課税限度額があり、これを超える部分は給与として課税対象になる。この超過分の課税処理を誤ると、会社側に源泉徴収漏れが生じ、後日の追徴課税や延滞税のリスクを招く。加えて、所得税法9条1項5号が非課税とするのは「通常の給与に加算して受ける通勤手当(これに類するものを含む。)のうち、一般の通勤者につき通常必要であると認められる部分として政令で定めるもの」であり、通勤費相当額を基本給に含めて支給し通勤手当として区分していない場合は、この加算という要件を満たさないおそれがある。もっとも、非課税限度額の具体的な計算や個別の税務判断は税理士の専門領域であり、当ガイドは一般的な留意点の説明にとどまる。
通勤手当が所得税法上は非課税であることをもって、社会保険料の計算からも外れると考えるのは正確ではない。健康保険法3条5項は報酬を「賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのものをいう。ただし、臨時に受けるもの及び三月を超える期間ごとに受けるものは、この限りでない。」と定義し、厚生年金保険法3条1項3号も同じただし書を置いている(三月を超える期間ごとに受けるものは、健康保険法3条6項・厚生年金保険法3条1項4号にいう「賞与」に当たる)。毎月支給される通勤手当は、このただし書が除く「臨時に受けるもの」にも「三月を超える期間ごとに受けるもの」にも当たらないため、報酬に含まれるものとして標準報酬月額の算定に算入する取扱いが実務上定着しており、通勤手当を除いて算定基礎届を提出すると標準報酬月額が過小となり、遡っての訂正と保険料の追加徴収につながるおそれがある。
会社に届け出た経路と実際に通った経路が違えば通勤災害にならない、という理解は正確ではない。労働者災害補償保険法7条2項は通勤を、労働者が就業に関し住居と就業の場所との間の往復等を「合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くものとする。」と定めており、判断の基準は社内の届出内容ではなく経路と方法の合理性である。他方で、経路の逸脱または移動の中断があった場合は、その間とその後の移動は原則として通勤に当たらない扱いとなり、例外は同条3項が「日常生活上必要な行為であつて厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合は、当該逸脱又は中断の間を除き、この限りでない。」と定める場合に限られる。
作成の流れ
- 1
支給規程・様式の確認
届出を作成する前に、自社の就業規則や通勤手当支給規程を確認し、支給対象となる交通手段の範囲、非課税限度額の社内取扱い、最短・最安経路の原則の有無など、会社ごとに異なる支給基準を把握しておく。通勤手当の決定・計算・支払の方法は、常時十人以上の労働者を使用する事業場では労働基準法89条2号により就業規則の記載事項とされているため、規程が見当たらない場合は人事・総務に所在を確認する。
- 2
通勤経路・交通機関の記入
自宅の最寄駅から勤務先までの通勤経路を、乗換駅を含めて具体的に記入し、利用する交通機関(鉄道・バス等)を明記する。複数の経路が考えられる場合は、就業規則上定める合理的経路の基準に沿って経路を選択する。自家用車や自転車を使う場合は、片道の距離をキロメートル単位で記入する。距離は非課税限度額の区分を決める要素であり、経路の記載だけでは代用できない。
- 3
運賃額・定期券区間の記入と根拠資料の添付
選択した経路に対応する定期券区間と運賃額を記入し、多くの会社では実際に購入する定期券の写しや運賃証明などの根拠資料の添付を求められる。虚偽の記載がないよう、実際に使用する経路と一致させる。定期券は一箇月・三箇月・六箇月で一箇月当たりの単価が変わるため、規程がどの単位を基準にしているかを確認したうえで金額を記入する。
- 4
非課税限度額の区分へのあてはめ確認
記入した通勤方法と金額を、所得税法施行令20条の2が号ごとに定める区分にあてはめ、非課税となる範囲を超えていないかを確認する。交通機関または有料の道路を利用する場合の限度額は一月当たり十五万円であり、交通用具を使用する場合は片道距離の区分ごとに月額が定められている。駐車場等の料金を負担する場合は、財務省令で定める金額を五千円を上限として距離区分の金額に加算する定めが置かれている。超過分がある場合は給与として課税対象になるため、給与計算の担当者に区分を伝える。
- 5
所属長・人事担当者への提出と確認
記入済みの届出書は、所属長を経由して人事・総務担当部署に提出し、記載内容が実際の通勤経路や利用交通機関と一致しているかを確認したうえで承認を受ける。承認された内容が、その後の通勤手当の支給決定額および賃金台帳への記載事項の基礎となる。承認を受ける前に、届け出た経路が実際に使う経路と一致しているかを本人がもう一度確認する。
- 6
変更時の再届出
転居や異動、利用交通機関の変更、定期券区間の変更など通勤の実態に変化が生じた場合は、速やかに変更後の内容で会社へ再度届け出る。届出を怠ると、支給額と実際にかかる費用との間にずれが生じ、後日の精算をめぐるトラブルにつながりやすい。すでに定期券を購入している場合は、払戻しの要否と精算方法もあわせて会社に相談する。
専門家に相談したほうがよい場面
当社は弁護士・社会保険労務士・税理士等の士業資格者を擁しておらず、書類作成の受託・代理は行っていない。本サービスは、利用者自身による編集・提出を前提とした支援ツールである。実際の通勤経路と異なる内容の届出書や、事実と異なる証明を目的とする書類の作成支援は行わない。本ガイドは通勤経路届・通勤手当申請書の一般的な記載事項と関連する法令の枠組みを説明するものであり、個別の従業員について支給の可否や金額を判断するものではない。非課税限度額を超える部分の具体的な課税処理や源泉徴収額の計算は税理士法が定める税務相談の領域に関わるため、税理士に確認することが望ましい。また、通勤手当の支給基準の設計や就業規則への位置づけ、虚偽申告があった場合の懲戒処分の可否など労務管理上の個別判断が必要な場面では、社会保険労務士や弁護士への相談を検討されたい。標準報酬月額への算入や算定基礎届の訂正の要否についても、社会保険労務士に確認するのが確実である。通勤災害に当たるかどうかの認定は所轄の労働基準監督署の判断事項であり、事故が起きた場合は自己判断せず、会社を通じて労働基準監督署に相談することが望ましい。
よくある質問
- 通勤手当は法律上必ず支給しなければならないものですか。
- 労働基準法には、通勤手当の支給自体を使用者に義務付ける規定はない。通勤手当は多くの会社が就業規則や賃金規程に基づき任意に設ける福利厚生的な手当であり、支給の有無や金額は会社ごとに異なる。もっとも、いったん就業規則や労働契約で支給内容が定められた場合、それは労働条件の一部となり、労働基準法24条の賃金支払原則に従って支払う必要がある。労働基準法11条は「この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。」と定めており、支給条件が明確に定められた通勤手当はこの賃金に当たると解されるのが一般的である。
- 通勤経路を偽って高い手当を受け取っていたことが後から分かった場合、どうなりますか。
- 実際より高額な経路を偽って届け出て通勤手当を余分に受け取っていた場合、会社は過大に支給した差額分の返還を求めることができるほか、就業規則の懲戒事由に該当すれば懲戒処分の対象となり得る。懲戒として減給を行う場合には、労働基準法91条により、一回の減給額は平均賃金の一日分の半額、総額は一賃金支払期における賃金総額の十分の一を超えてはならないという上限がある。この平均賃金は、労働基準法12条1項により、算定すべき事由の発生した日以前三箇月間に支払われた賃金の総額をその期間の総日数で除して求めるため、毎月支給されている通勤手当も原則として算定の基礎に含まれる。
- 通勤手当は所得税がかからないと聞きましたが本当ですか。
- 所得税法上、通勤手当には一定の非課税限度額が設けられており、その範囲内であれば所得税は課されないが、限度額を超える部分は給与として課税対象になる。所得税法施行令20条の2は、交通機関または有料の道路を利用する場合の限度額を一月当たり十五万円とし、自動車その他の交通用具を使用する場合は片道十キロメートル未満で一月当たり四千二百円、片道九十五キロメートル以上で一月当たり六万六千四百円というように、距離区分ごとの月額を定めている。片道二キロメートル未満の交通用具通勤には非課税の枠がなく、支給額は全額が課税対象になる。超過分の有無や具体的な課税額の判定は個別の事情によって異なるため、正確な取扱いは税理士等の専門家に確認することが望ましい。当ガイドは制度の概要説明にとどまる。
- 在宅勤務が多く出社日数が少ない従業員の通勤手当はどう扱えばよいですか。
- 通勤手当の算定方法自体は法律で定められておらず、実費相当額を月額で支給するか、出社日数に応じた実費精算とするかは会社の就業規則や賃金規程の定めによる。出社日数が大きく変動する場合、実態に合わない定額支給を続けると支給額の根拠を巡るトラブルにつながりやすいため、規程の見直しや出社実績に応じた精算方式への変更を検討する会社もある。ただし、いったん労働条件となった定額支給を引き下げることは労働条件の不利益変更に当たり得るため、労働者の同意を得るか、労働契約法10条が定める周知と変更の合理性の要件を満たす必要がある。
- 会社に届け出た経路と異なる道を通って帰宅する途中でけがをした場合、通勤災害として扱われますか。
- 通勤災害に当たるかどうかは、社内の届出内容ではなく、労働者災害補償保険法7条2項が定める「合理的な経路及び方法」に当たるかどうかで判断される。したがって、届出経路と違っていても、通勤のために通常用いられる経路であれば合理的な経路と認められる余地がある。もっとも、同条3項により、経路の逸脱や移動の中断があった間とその後の移動は原則として通勤に当たらない扱いとなり、例外は、日用品の購入や病院・診療所での診察など、労働者災害補償保険法施行規則8条が挙げる日常生活上必要な行為を、やむを得ない事由により最小限度の範囲で行った場合に限られる。届出と実態がずれている場合は、まず届出を実態に合わせて出し直しておくのが安全である。
出典
- 労働基準法(e-Gov法令検索)
- 所得税法施行令(e-Gov法令検索)
- 労働者災害補償保険法(e-Gov法令検索)
- 健康保険法(e-Gov法令検索)
- 厚生労働省 労働基準行政(賃金・労働条件関連)
- 国税庁 タックスアンサー No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当
- e-Gov法令検索 所得税法
最終確認日: 2026-08-20
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