育児休業取扱通知書

育休取扱通知書、育児休業通知書、育児休業申出に対する通知書、産後パパ育休取扱通知書 とも呼ばれます。

育児休業取扱通知書は、労働者から育児休業の申出を受けた事業主が、申出を受けた旨・育児休業開始予定日および育児休業終了予定日・申出を拒む場合はその旨と理由を労働者に知らせるために交付する社内文書です。育児介護休業法施行規則7条4項がこの通知を事業主の義務と定め、同条5項は通知方法を書面交付・ファクシミリ・電子メール等の三つに限っています。出生時育児休業(産後パパ育休)の申出にも育児介護休業法施行規則21条の2第2項によって準用されます。育児休業給付金の支給手続はハローワークの所管で、本書式はその申請書ではありません。

最終確認日:

どんなときに必要か

育児介護休業法5条1項は「労働者は、その養育する一歳に満たない子について、その事業主に申し出ることにより、育児休業」をすることができると定めます。この申出、または9条の2第1項の出生時育児休業申出を受けた事業主が、開始・終了予定日その他の取扱いを確定して回答する場面で用います。妊娠・出産等の申出を受けた段階で行う21条1項の制度周知・意向確認とは段階が異なり、実際の休業申出への回答として速やかに交付します。交付が必要なのは最初の申出時だけではありません。育児介護休業法施行規則13条2項と17条2項は同規則7条2項から6項まで(4項3号を除く)を準用し、出生時育児休業については同規則21条の8が13条を、21条の12が17条をそれぞれ準用します。そのため、育児介護休業法7条1項の開始予定日の変更申出や、7条3項の終了予定日の繰下げの変更申出を受けたときも、申出を受けた旨と予定日を速やかに通知しなければなりません(拒む旨と理由の通知=同規則7条4項3号は変更申出には準用されません)。

書面にする必要はあるか

育児介護休業法の本則に通知書の交付義務そのものを定めた条文はなく、育児介護休業法施行規則7条4項が、「育児休業申出を受けた旨」、開始予定日および終了予定日、「育児休業申出を拒む場合には、その旨及びその理由」を速やかに労働者へ通知する義務を事業主に課しています。通知方法は施行規則7条5項が「書面を交付する方法」・ファクシミリ・電子メール等の三つに限定し、後二者は労働者が希望する場合に限られるため、希望がなければ書面交付が原則です。復職後の賃金・配置その他の労働条件の明示は育児介護休業法21条の2第2項の努力義務にとどまり、証拠目的で通知書に併記する運用が一般的です。

必ず入れる事項

  • 育児休業申出を受けた旨と受理年月日

    育児介護休業法施行規則7条4項1号は通知事項として「育児休業申出を受けた旨」を挙げています。受理日は、事業主が開始予定日を指定する場合の通知期限の起算点にもなるため、記載を落とすと指定が期限内に行われたかを後から検証できなくなります。

  • 育児休業開始予定日および育児休業終了予定日(事業主が指定した場合は指定日)

    育児介護休業法施行規則7条4項2号は、開始予定日と終了予定日の通知を求め、育児介護休業法6条3項により事業主が開始予定日を指定した場合は指定する日を記載させます。休業期間の確定は賃金計算と社会保険料免除の対象月の判断に直結し、日付がずれると処理全体が連鎖してずれます。

  • 申出を拒む場合はその旨および具体的な理由

    育児介護休業法6条1項は事業主が育児休業申出を拒めないと定め、労使協定で除外対象と定められた労働者に該当する場合だけを例外とします。施行規則7条4項3号は「育児休業申出を拒む場合には、その旨及びその理由」の通知を求めており、理由を欠く拒否では例外に当たるかを労働者が検証できません。

  • 通常の育児休業か出生時育児休業(産後パパ育休)かの区分

    出生時育児休業は、育児介護休業法9条の2第1項により「子の出生の日から起算して八週間を経過する日の翌日まで」の期間内に四週間以内の期間を定めてする別枠の休業です。区分を書かないと、対象期間・分割回数・開始日指定の期限がいずれも通常の育児休業の基準で誤って処理されます。

  • 分割取得の回数と今回が何回目か(撤回した申出を含む)の記録

    通常の育児休業は育児介護休業法5条2項により一歳到達日までの期間内に二回まで、出生時育児休業は9条の2第2項1号により出生の日から八週間を経過する日の翌日までの期間内に二回までです。8条2項は撤回した申出も5条2項の適用については「当該申出に係る育児休業をしたものとみなす」と定め、9条の4が出生時育児休業に準用して「第九条の二第二項」と読み替えるため、撤回を除いた実休業回数だけで数えると次回申出時に残回数を誤ります。

  • 有期契約労働者の場合は申出要件の該当確認結果

    育児介護休業法5条1項ただし書は子が一歳六か月に達する日までに労働契約が満了することが明らかでない者に限り申出できるとし、9条の2第1項ただし書は出生の日から八週間を経過する日の翌日から六月を経過する日までを基準にします。基準が別なので、どちらで判断したかの記録が要ります。

  • 休業中の待遇と復職後の賃金・配置その他の労働条件

    育児介護休業法21条の2第1項は休業中の待遇と休業後の賃金・配置その他の労働条件をあらかじめ定めて周知するよう努めることを、21条の2第2項は申出をした労働者への取扱いの明示に努めることを求めます。記載を欠くと、復職時の配置をめぐる争いで会社側の説明根拠が残りません。

  • 復職後に利用できる所定労働時間の短縮措置等の案内

    育児介護休業法23条1項は「その三歳に満たない子を養育する労働者であって育児休業をしていないもの」に所定労働時間の短縮措置を講じる義務を事業主に課しています。復職後に使える制度を通知書で先に示しておくと、復職時期や勤務時間の調整で労使の前提がそろいます。

  • 会社名・作成年月日・通知担当者と通知方法の記録

    育児介護休業法施行規則7条5項は通知方法を書面交付・ファクシミリ・電子メール等に限り、後二者は労働者が希望する場合に限ります。いつ・誰が・どの方法で通知したかを残さないと、通知義務を果たした事実そのものを後日立証できません。

無効・効力が否定されやすい条項

古い雛形をそのまま使うと、次の点でつまずくことがあります。

  • 通知書に併記する制度説明で、子の看護等休暇を旧称の子の看護休暇のまま、対象も小学校就学前の子として書く例が目立ちます。育児介護休業法16条の2は「九歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にある子」を養育する労働者に「一の年度において五労働日」(子が二人以上なら十労働日)を限度として休暇を認めており、旧基準の記載は、本来取得できる労働者の申出を事実上抑える運用を通知書自体が固定してしまいます。

  • 通知を口頭の面談だけで済ませたり、労働者の希望を確認しないまま社内メールだけで送る運用は、育児介護休業法施行規則7条5項の求める方法を満たしません。同項は通知方法を「書面を交付する方法」・ファクシミリ・電子メール等の三つに限り、後二者は労働者が希望する場合に限ると定めています。方法を誤ると、通知事項が正しくても法定の通知を行ったとは評価されにくく、交付の証跡も残りません。

  • 労使協定で育児休業の対象から除外できる労働者は限られます。育児介護休業法6条1項1号は「当該事業主に引き続き雇用された期間が一年に満たない労働者」を挙げ、施行規則8条はこれに加え、申出の日から起算して一年(一歳以降の申出は六月)以内に雇用関係が終了することが明らかな労働者と、一週間の所定労働日数が著しく少ない労働者を定めるにとどまります。育休は正社員に限るといった条項を協定に置いて範囲を広げた拒否は、6条1項の例外に当たりません。

  • 事業主が育児休業開始予定日を指定できる範囲は、通常の育児休業と出生時育児休業(産後パパ育休)で別です。育児介護休業法6条3項は、通常の育児休業について申出があった日の翌日から起算して一月(一歳以降の一定の申出は二週間)を経過する日までとします。出生時育児休業は育児介護休業法9条の3第3項により「二週間を経過する日」までで、同条4項の1号(雇用環境の整備その他の厚生労働省令で定める措置の内容)と2号(事業主が指定できる期間。「二週間を超え一月以内の期間に限る」)をともに定めた書面による労使協定があるときだけ、その協定で定めた期間を経過する日まで延びます。指定の通知期限は、通常の育児休業が育児介護休業法施行規則12条、出生時育児休業が同規則21条の6の準用する12条で、開始予定日とされた日まで(その日が申出日の翌日から起算して三日を経過する日より後なら当該三日を経過する日まで)です。一月の枠を産後パパ育休にそのまま当てはめた指定は範囲を超え、また期限後の指定は要件を欠き、いずれも休業開始を不当に遅らせる取扱いと評価されかねません。

  • 有期契約労働者の申出資格を、出生時育児休業についても子が一歳六か月に達する日までという育児休業の基準で判定してしまう誤りがあります。育児介護休業法9条の2第1項ただし書の基準は、子の出生の日から起算して八週間を経過する日の翌日から六月を経過する日までに労働契約が満了することが明らかでないことで、通常の育児休業とは別です。誤った基準で該当なしと判断すると、拒めない申出を拒否したことになります。

  • 通知書に、休業期間を昇給・賞与の算定から一律に除外する、復職後は役職を外す、といった取扱いを書き込むと、育児介護休業法10条が禁じる不利益な取扱いと評価されるおそれがあります。10条は、労働者が育児休業申出等をし、若しくは育児休業をしたことを理由として「解雇その他不利益な取扱いをしてはならない」と定めます。有期契約者の更新拒絶も、労働契約法19条の雇止め法理により拒絶が認められない場合があります。

  • 出生時育児休業中の就業日を、通知書で会社側が一方的に指定する運用は手順を欠きます。育児介護休業法9条の5は、労働者からの就業可能日等の申出を受け、事業主がその範囲内で日時を提示し、開始予定日の前日までに労働者の同意を得た場合に限り就業させられる仕組みで、育児介護休業法施行規則21条の17は就業日数を出生時育児休業期間の所定労働日数の二分の一以下とするなどの上限を定めます。

作成の流れ

  1. 1

    申出内容と申出資格を確認する

    提出された育児休業申出書について、通常の育児休業(育児介護休業法5条1項)と出生時育児休業(9条の2第1項)のどちらの申出かをまず切り分けます。そのうえで子の年齢要件、分割回数の残り(育児介護休業法8条2項により撤回した申出も一回に算入されるため、撤回の履歴を含めて数えます)、有期契約労働者であれば契約満了の見込みが各条のただし書の基準に照らしてどう評価されるかを点検し、確認結果を社内記録に残します。

  2. 2

    労使協定による除外該当性と拒否の可否を確定する

    労使協定がある場合、当該労働者が協定で定められた除外対象に当たるかを、育児介護休業法6条1項1号と育児介護休業法施行規則8条が定める類型に照らして確認します。該当しなければ、6条1項により事業主は育児休業申出を拒めません。拒む場合は、協定のどの条項のどの類型に当たるかを特定して通知書に書けるようにします。

  3. 3

    開始予定日・終了予定日を確定し、指定の要否を判断する

    申出書記載の開始予定日をそのまま認めるか、別の日を指定するかを検討します。指定できる範囲は、通常の育児休業が育児介護休業法6条3項により申出があった日の翌日から起算して一月(一歳以降の一定の申出は二週間)を経過する日まで、出生時育児休業が育児介護休業法9条の3第3項により二週間を経過する日まで(同条4項の1号・2号をともに定めた書面による労使協定があるときは、その協定で定めた「二週間を超え一月以内の期間」を経過する日まで)です。指定の通知期限は、通常の育児休業が育児介護休業法施行規則12条、出生時育児休業が同規則21条の6の準用する12条なので、社内決裁の日程を逆算します。

  4. 4

    通知事項を整理し、通知方法を選ぶ

    育児介護休業法施行規則7条4項の三つの通知事項、すなわち申出を受けた旨、開始予定日および終了予定日、拒む場合はその旨と理由を漏れなく整理します。通知方法は施行規則7条5項により書面交付が基本で、ファクシミリと電子メール等は労働者が希望する場合に限られるため、希望の有無を先に確認し、その確認自体も記録に残します。

  5. 5

    交付し、社内手続と本人手続の窓口を案内する

    通知書を交付したうえで、労働基準法65条2項の産後休業から育児休業へ切り替わる日、給与計算の締め日、社会保険料免除の届出は年金事務所、育児休業給付金の手続はハローワークが窓口である旨を案内します。事業主経由で行う手続と本人が行う手続を分けて書くと、休業に入った後の連絡が減ります。

  6. 6

    意向確認の記録と突き合わせ、復職後の取扱いを明示する

    育児介護休業法21条2項は、妊娠・出産等の申出時に、子の心身の状況や家庭の状況に起因する両立の支障となる事情の改善に資する就業に関する条件について労働者の意向を確認することを、21条3項はその意向への配慮を事業主に求めます。この記録と通知書の復職後の取扱い欄を突き合わせ、齟齬があれば交付前に修正します。

専門家に相談したほうがよい場面

当社は行政書士・社会保険労務士・弁護士等の士業資格者を擁さず、育児休業取扱通知書を含む書類の作成受託や、労働者・事業主に代わって交渉や手続を進めることは行いません。本ガイドは利用者自身による編集・提出を前提とした支援情報です。社会保険料免除の届出や育児休業給付金の要件判定、就業規則・労使協定の整備は社会保険労務士に、育児休業申出の拒否の可否、有期契約の雇止め、不利益取扱いに当たるかといった個別紛争の判断は弁護士にご相談ください。通知書に書く内容は、自社の実際の労使協定と就業規則に必ず突き合わせてください。

よくある質問

育児休業取扱通知書はメールで送っても差し支えありませんか。
育児介護休業法施行規則7条4項が事業主に通知義務を課し、施行規則7条5項が方法を「書面を交付する方法」・ファクシミリを利用して送信する方法・電子メール等の送信の方法の三つに限っています。後二者は労働者が希望する場合に限られ、電子メール等については労働者が記録を出力して書面を作成できるものであることも必要です。希望が示されていない段階では書面交付を基本とし、メールで送る場合は希望の記録を残す運用が無難です。口頭のみの通知は、この三つのいずれにも当たりません。
育児休業給付金の申請は会社が代わりに行うのですか。
育児休業給付金はハローワーク(公共職業安定所)が所管する雇用保険の給付で、支給要件の判定や申請は育児休業取扱通知書とは別の手続です。実務では事業主が事業所を経由して手続を取り次ぐ例が多くありますが、その扱いは会社ごとに異なります。当社は書類作成の受託や、労働者・事業主に代わって手続を進めることを行わず、本ガイドは利用者自身が編集・提出する前提の情報です。要件の判定は社会保険労務士にご確認ください。
有期契約の従業員から育児休業の申出があった場合、拒否できますか。
育児介護休業法5条1項ただし書は、期間を定めて雇用される者について、子が一歳六か月に達する日までに労働契約が満了することが明らかでない者に限り申出ができるとしています。この基準を満たす限り、6条1項により事業主は原則として申出を拒めません。出生時育児休業では基準が異なり、9条の2第1項ただし書は出生の日から起算して八週間を経過する日の翌日から六月を経過する日までを見ます。更新の可能性が残る事案は判断が分かれやすいため、社会保険労務士や弁護士にご相談ください。
子の看護等休暇と育児休業はどう違いますか。
育児休業は原則として一歳に満たない子を養育するための長期の休業です。子の看護等休暇は育児介護休業法16条の2に基づき、「九歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にある子」を養育する労働者が、負傷・疾病の子の世話、厚生労働省令で定める疾病予防の世話、学校保健安全法20条による学校の休業に伴う世話、教育・保育に係る行事のうち厚生労働省令で定めるものへの参加のために取得する短期の休暇で、限度は「一の年度において五労働日」(子が二人以上なら十労働日)です。対象年齢も取得単位も別の制度です。
産後パパ育休の期間中に働いてもらう日を、取扱通知書で決めてよいですか。
出生時育児休業中の就業は、育児介護休業法9条の5第2項により、労使協定で就業させることができると定められた労働者が就業可能日等を申し出るところから始まります。事業主はその範囲内で日時を提示し、9条の5第4項により開始予定日の前日までに労働者の同意を得た場合に限り就業させられます。就業日数を出生時育児休業期間の所定労働日数の二分の一以下とするなど、育児介護休業法施行規則21条の17の上限もあります。会社が先に就業日を決める書き方は手順と合わず、同意を得たうえで別途通知する形が整合します。

出典

最終確認日: 2026-08-22

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