育児休業申出書・出生時育児休業(産後パパ育休)申出書の書き方
育児休業申出書、出生時育児休業申出書、産後パパ育休申出書、パパ育休申出書、育休申出書とも呼ばれます。
育児休業申出書は、1歳に満たない子を養育する労働者が育児・介護休業法に基づき育児休業を取得する意思を事業主に伝える書面です。出生時育児休業(産後パパ育休)申出書は、同法9条の2第1項に基づき、子の出生の日から起算して8週間を経過する日の翌日までの期間内に4週間以内の休業を取得する際に用います。いずれも申出によって休業する権利が生じ、事業主は同法6条1項本文・9条の3第1項本文の定める原則により申出を拒めません。ただし、労使協定で除外された労働者からの申出は6条1項ただし書により拒むことができます。出生時育児休業申出についても、9条の3第2項が6条1項ただし書及び第2項を準用するため、労使協定で除外された労働者からの申出を拒むことができます。出生時育児休業にはさらに9条の3第1項ただし書があり、先にした出生時育児休業申出の後に、その申出をした日に養育していた子について改めてされた申出は拒めます。2回に分けるなら初めにまとめて申し出る必要があります。提出先は事業主であり、対外機関への提出は不要です。
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どんなときに必要か
1歳未満の子について育児休業を取得したいとき、または子の出生の日から起算して8週間を経過する日の翌日までの期間内に出生時育児休業(産後パパ育休)を取得したいときに、休業開始予定日より前に事業主へ提出します。育児・介護休業法により、本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出た労働者には事業主から制度の周知と意向確認が行われるため、その後に休業区分と期間を決めて申し出る流れが典型です。
書面にする必要はあるか
育児休業申出は法定の申出であり、書面提出は法が認める方式の一つです。育児・介護休業法5条6項は「その初日(以下「育児休業開始予定日」という。)及び末日(以下「育児休業終了予定日」という。)とする日を明らかにして、しなければならない」と定めます。方式は育児・介護休業法施行規則が「書面を提出する方法」「ファクシミリを利用して送信する方法」と電子メール等の送信の方法を列挙し、後二者は「事業主が適当と認める場合に限る」とします。口頭申出はこの列挙にありません。出生時育児休業申出も、同法9条の2第3項が初日と末日を明らかにして申し出るべきことを定め、方式は育児・介護休業法施行規則21条の2第2項が育児・介護休業法施行規則7条2項から8項までを準用するため、書面提出を基本とする点は同じです。
記載が必要な事項
申出年月日
育児・介護休業法施行規則が必須記載事項として掲げます。申出日は、事業主が開始予定日を指定できる期間(育児休業は育児・介護休業法6条3項の1か月、出生時育児休業は9条の3第3項の2週間)の起算点になるため、日付が特定できないと指定の可否が争いになります。
申出をする労働者の氏名
育児・介護休業法施行規則が掲げます。子の情報は3号で本人との続柄として記載するため、氏名は誰の権利行使かを特定する基準になり、取得回数と日数の上限管理を本人単位で行う前提にもなります。
対象となる子の氏名・生年月日・続柄等(出生前は出産予定者の氏名・出産予定日・続柄)
育児・介護休業法施行規則7条1項3号は「育児休業申出に係る子の氏名、生年月日及び前号の労働者との続柄等」を求め、21条の2第1項3号も出生時育児休業について同じ事項を掲げます。申出時に子が出生していない場合は出産予定者の氏名・出産予定日・続柄に代え、特別養子縁組の請求等の場合はその事実を記載します。
休業の初日(開始予定日)と末日(終了予定日)
育児・介護休業法5条6項・9条の2第3項は、初日と末日とする日を明らかにして申出をしなければならないと定めます。育児・介護休業法施行規則も同じ事項を掲げます。期間の特定は申出の法定要件そのもので、欠けると有効な申出として扱われない余地があります。
既にした育児休業申出がある場合のその育児休業期間・撤回の有無
育児・介護休業法施行規則は、申出の際に明らかにする事項として「既にした育児休業申出がある場合にあっては、当該育児休業申出に係る育児休業期間」と、既にした申出の撤回がある場合はその旨を掲げます。育児・介護休業法の2回までという分割の上限管理に直結します。
申出に係る子以外に養育している子がいる場合のその子の氏名・生年月日・続柄
育児・介護休業法施行規則は1歳に満たない他の子を有する場合に、その子の情報の記載を求めます。育児・介護休業法施行規則は出生の日から起算して8週間を経過しない他の子を有する場合に、その子の情報の記載を求めます。多胎や年子で休業が重なる場合の期間整理に必要になります。
子が養子である場合の養子縁組の効力が生じた日
育児・介護休業法施行規則が掲げます。養子は縁組の効力発生日が休業の可否や期間を判断する基準になり、施行規則により事業主は養子縁組の事実を証明できる書類の提出を求めることができます。
有期雇用の場合、労働契約が一定日までに満了することが明らかでない旨
育児・介護休業法5条1項ただし書は、子が1歳6か月に達する日までに労働契約が満了することが明らかでない者に限り申出ができると定めます。育児・介護休業法9条の2第1項ただし書は、出生の日から起算して8週間を経過する日の翌日から6月を経過する日までに労働契約が満了することが明らかでない者に限り申出ができると定めます。要件を欠けば書面を整えても休業の権利は生じません。
無効・効力が否定されやすい条項
古い雛形をそのまま使うと、次の点でつまずくことがあります。
出生時育児休業(産後パパ育休)の開始予定日を申出日に近づけすぎると、育児・介護休業法9条の3第3項により、事業主は「当該出生時育児休業申出があった日の翌日から起算して二週間を経過する日」までの間のいずれかの日を開始予定日として指定できます。同条4項の労使協定があるときは、指定できる期間が2週間超1か月以内まで延びます。希望日から休業を始めたいなら、この期間より前に申し出る必要があります。
通常の育児休業も、育児・介護休業法6条3項により、開始予定日が「当該育児休業申出があった日の翌日から起算して一月」を経過する日より前であれば、事業主はその範囲内の日を開始予定日として指定できます。1歳以降の延長の申出が2週間で足りるのは、同項が5条3項の申出について「当該申出があった日が当該申出に係る子の一歳到達日以前の日であるものに限る」、5条4項の申出について申出日が一歳六か月到達日以前の日であるものに限ると括弧書きで限定するためで、それより後に申し出た場合は1か月に戻ります。1か月(該当する場合は2週間)を切って申し出た場合、書面が整っていても希望日から休業できないことがあります。
撤回して出し直せば済むとは限りません。育児・介護休業法8条1項により開始予定日の前日までは申出を撤回できます。しかし、同条2項は5条2項の適用について「当該申出に係る育児休業をしたものとみなす」と定め、撤回した1回が2回の枠を消費します。出生時育児休業も9条の4の準用により、9条の2第2項の適用で同じ扱いになります。
回数と日数の上限を超えた申出には休業の効力が生じません。育児・介護休業法は、子の出生の日から起算して8週間を経過する日の翌日までの期間内に「二回の出生時育児休業」をした場合、または休業日数が28日に達している場合は申出ができないと定めます。育児休業も5条2項により、1歳到達日までの期間内に2回した場合は、厚生労働省令で定める特別の事情がある場合を除き3回目を申し出られません。
出生時育児休業(産後パパ育休)を2回に分けるつもりなら、1回目の申出と同時に2回目も申し出ます。育児・介護休業法9条の3第1項本文は出生時育児休業申出を拒めないと定めるが、同項ただし書は「労働者からその養育する子について出生時育児休業申出がなされた後に、当該労働者から当該出生時育児休業申出をした日に養育していた子について新たに出生時育児休業申出がなされた場合は、この限りでない」と定め、先に申し出た後で、その申出をした日に養育していた子について改めてした申出は事業主が拒むことができます。同法6条1項ただし書は労使協定による除外しか定めていないため、通常の育児休業の2回目にはこの制限がありません。
有期雇用の要件は制度ごとに基準日が違います。育児・介護休業法5条1項ただし書は子が1歳6か月に達する日までを基準とし、9条の2第1項ただし書は「八週間を経過する日の翌日から六月を経過する日までに、その労働契約が満了することが明らかでない者に限り」と定めます。育児休業の基準で判断して出生時育児休業を申し出ると、要件を満たさないまま書面だけが整うことになります。
申出書を出しても事業主が拒める場合があります。育児・介護休業法6条1項ただし書は、労使協定で対象外と定められた労働者(引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者等)からの申出を拒めるとし、9条の3第2項が出生時育児休業についてこれを準用します。自社の労使協定の有無と除外範囲を確かめないまま提出すると、受理されないことがあります。
方式を外すと申出の成否そのものが争いになります。育児・介護休業法施行規則は、書面提出・ファクシミリ・電子メール等の送信を列挙し、後二者は事業主が適当と認める場合に限るとします。口頭はこの列挙にありません。なお施行規則は、ファクシミリと電子メール等による申出を事業主の機器が受信した時に到達したとみなすため、送信記録が到達時期の証拠になります。
作成の流れ
- 1
対象要件と上限の確認
子の年齢と出生日、これまでの育児休業・出生時育児休業の回数と日数、有期雇用なら労働契約の満了見込み、自社の労使協定による除外の有無を確認します。育児・介護休業法5条1項・2項、9条の2第1項・2項、6条1項ただし書が定める要件と上限に触れていないかを、書面を作る前に確かめます。
- 2
休業区分と期間の決定
1歳までの育児休業(1歳到達日までの期間内に2回まで分割)か、出生時育児休業(出生の日から起算して8週間を経過する日の翌日までの期間内に4週間以内・2回まで分割)かを選び、開始予定日と終了予定日を日付で決めます。出生時育児休業を2回に分割する場合は、育児・介護休業法9条の3第1項ただし書(同項本文の例外)により後から出した2回目を事業主が拒めるため、2回分の開始予定日と終了予定日をまとめて決めて一度に申し出ます。両方の組み合わせも可能です。休業中に就業したい場合は同法が定める別の手続が必要で、この申出書では代替できません。
- 3
記載事項の整理
申出年月日、労働者の氏名、子の氏名・生年月日・続柄等(未出生なら出産予定者の氏名・出産予定日・続柄)、開始予定日と終了予定日、既にした申出の有無、他に養育している子の情報、養子の場合の縁組の効力発生日など、育児・介護休業法施行規則の各号を順に埋めます。
- 4
方式を選んで事業主に提出
書面提出を基本とし、ファクシミリや電子メール等は事業主が適当と認めている場合に限ります。育児・介護休業法施行規則により、これらの送信による申出は事業主の機器が受信した時に到達したとみなされます。出生時育児休業は2週間、育児休業は1か月の余裕をみて提出すると、事業主による開始日の指定を避けやすいです。
- 5
事業主の通知・指定への対応
育児・介護休業法施行規則7条4項は、事業主が申出を受けた旨、開始予定日(指定する場合は指定した日)と終了予定日、拒む場合はその旨と理由を速やかに通知しなければならないと定め、21条の2第2項が出生時育児休業に準用します。指定にも期限があり、同規則12条は「育児休業開始予定日とされた日(その日が育児休業申出があった日の翌日から起算して三日を経過する日後の日である場合にあっては、当該三日を経過する日)までに」指定する日を通知することによって行わなければならないと定め、出生時育児休業には同規則21条の6が12条を準用します。通知の内容が申出と食い違っていないか、期限内に届いているかを確認します。同規則12条が期限内の通知によって指定を「行わなければならない」と定める以上、期限後の通知では指定の効力は生じないと解されます。
- 6
控えの保管と関連手続の確認
提出した申出書の写しや送受信の記録を保管します。育児休業給付金は雇用保険の手続、社会保険料の免除は別の届出によるため、申出書の提出だけでは完了しません。開始予定日の繰上げは育児・介護休業法施行規則10条が定める事由が生じた場合に1回に限られ、都合による前倒しには使えません。終了予定日の繰下げ(同法7条3項)も1回に限られ、育児・介護休業法施行規則16条・21条の11が定める期限までに申し出る必要があります。撤回(同法8条)は同条3項の制限にも注意します。
この書式だけでは足りない場面
労使協定の内容(除外対象の範囲、出生時育児休業中の就業、開始予定日の指定期間の延伸)は事業所ごとに異なり、育児休業給付金や社会保険料の免除は別制度の要件によります。申出を拒まれた場合や、育児・介護休業法が禁じる解雇その他不利益な取扱いに当たるかどうかという問題は、この申出書の様式では解決しません。都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)は、育児・介護休業法に関する相談を受け付ける公的な窓口です。
よくある質問
- 育児休業と出生時育児休業(産後パパ育休)はどう違いますか。
- 育児休業は育児・介護休業法5条1項に基づき1歳に満たない子について申し出る休業で、5条2項により1歳到達日までの期間内に2回まで分割できます。出生時育児休業は9条の2第1項に基づく休業で、子の出生の日から起算して8週間を経過する日の翌日までの期間内の「四週間以内の期間を定めてする休業」とされ、9条の2第2項により2回まで、日数は合計28日までです。両方を組み合わせて取得でき、出生時育児休業の回数は1歳までの2回とは別に数えます。ただし出生時育児休業を2回に分けるときは、9条の3第1項ただし書により、先に申し出た後で改めてした2回目を事業主が拒めるため、初めにまとめて申し出ます。
- 有期雇用(契約社員・パート等)でも申出できますか。
- 申出はできます。ただし育児・介護休業法5条1項ただし書は、子が1歳6か月に達する日までにその労働契約が満了することが明らかでない者に限るとし、出生時育児休業については9条の2第1項ただし書が「八週間を経過する日の翌日から六月を経過する日までに、その労働契約が満了することが明らかでない者に限り」と定めます。基準日が制度ごとに違うため、契約期間と更新の見込みを確認してから申し出てください。労使協定で対象外とされた労働者は6条1項ただし書により拒まれることがあります。
- 電子メールやファクシミリで申し出てもよいですか。
- 育児・介護休業法施行規則は、方式として「書面を提出する方法」「ファクシミリを利用して送信する方法」と電子メール等の送信の方法を挙げますが、後二者は「事業主が適当と認める場合に限る」とされています。出生時育児休業申出にも、同じ方式が準用されます。社内の運用が書面のみであれば書面で提出してください。ファクシミリと電子メール等による申出は、施行規則により事業主の機器が受信した時に到達したとみなされます。
- いったん申し出た休業を取りやめると、もう一度申し出られますか。
- 育児・介護休業法8条1項により、開始予定日の前日までは申出を撤回できます。もっとも同条2項は、5条2項の適用について「当該申出に係る育児休業をしたものとみなす」と定めるため、撤回しても2回の枠を1回使ったものとして扱われます。出生時育児休業も9条の4が8条1項・2項を準用し、9条の2第2項の適用で同様です。なお1歳以降の延長の申出の撤回は別扱いで、8条3項は「厚生労働省令で定める特別の事情がある場合を除き」「これらの規定による申出をすることができない」と定めます。育児・介護休業法施行規則19条が掲げる特別の事情(子の親である配偶者の死亡、その配偶者が負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により子を養育することが困難な状態になったこと、婚姻の解消その他の事情によりその配偶者が子と同居しないこととなったこと、子が負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により二週間以上の期間にわたり世話を必要とする状態になったこと、保育所等における保育の利用を申し込んだが当面その実施が行われないこと)に当たらなければ、撤回した延長は取り直せません。日程が固まってから申し出るのが確実です。開始予定日の繰上げ変更は、同法7条1項により、出産予定日前の出生など育児・介護休業法施行規則10条が定める事由が生じた場合に1回に限り認められるもので、都合による前倒しには使えません。終了予定日の繰下げ変更も同法7条3項により1回に限られ、育児・介護休業法施行規則16条が定める期限(終了予定日とされた日の1か月前。法5条3項・4項の申出は2週間前)までに、出生時育児休業は育児・介護休業法施行規則21条の11によりその2週間前までに申し出る必要があります。
- 子の看護等休暇とは何が違いますか。
- 子の看護等休暇は育児・介護休業法に基づく休暇で、対象は、九歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にある子(小学校第三学年修了前の子)を養育する労働者とされています。子の看護等休暇の日数は、一の年度において五労働日(その労働者が養育する小学校第三学年修了前の子が二人以上の場合は十労働日)が限度とされています。負傷し、または疾病にかかった子の世話や疾病の予防のための世話等に使う短期の休暇で、育児休業・出生時育児休業とは対象年齢も目的も別の制度です。
出典
- e-Gov法令検索 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律
- e-Gov法令検索 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則
- 厚生労働省 育児・介護休業法について
- 厚生労働省 雇用環境・均等(都道府県労働局の相談窓口)
最終確認日: 2026-08-22