外部送信規律の通知・公表文(Cookie 等)の解読ガイド
外部送信ポリシー、Cookieポリシー、外部送信規律、情報送信指令通信、外部送信規律の公表事項 とも呼ばれます。
外部送信規律の通知・公表文は、Cookie・タグ・SDK により利用者の端末から外部へ情報が送られる場面を利用者に示す文書です。電気通信事業法27条の12は、対象となる事業者が情報送信指令通信を行おうとするとき、送信されることとなる情報の内容・送信先・その他総務省令で定める事項を、あらかじめ「当該利用者に通知し、又は当該利用者が容易に知り得る状態に置かなければならない」と定めます。同意は原則の代わりに置かれた除外事由の一つであり、Cookie の利用一般を同意必須とする条文ではありません。
最終確認日:
どんなときに必要か
自社サイト、アプリ、会員画面などでアクセス解析、広告配信・効果測定、チャット、動画埋め込み、SNS ボタン、決済や不正検知の SDK を使い、利用者の端末から外部事業者へ情報が送られる場合に検討します。電気通信事業法27条の12の名宛人は、電気通信事業者と第三号事業を営む者のうち総務省令で定める役務を提供する者に限られるため、まず自社の役務が対象に当たるかを判定してから文面づくりに入ります。
書面にする必要はあるか
法定の書面要件はない(証拠目的)。電気通信事業法27条の12が求めるのは、あらかじめ所定事項を「当該利用者に通知し、又は当該利用者が容易に知り得る状態に置かなければならない」という表示であって、紙の書面や署名押印を効力要件とする条文ではありません。表示の方法は電気通信事業法施行規則22条の2の28が定め、日本語を用い専門用語を避けた平易な表現によること、操作を行うことなく文字が適切な大きさで画面に表示されるようにすることを求めます。利用者が容易に知り得る状態に置く場合は、同条第3項により、これらに加えて、情報送信指令通信を行うウェブページ又はそこから容易に到達できるウェブページでの表示(第1号)、情報送信指令通信を行うソフトウェアを利用する際に最初に表示される画面又はそこから容易に到達できる画面での表示(第2号)、これらと同等以上に利用者が容易に到達できるようにすること(第3号)のいずれかの方法によります。第2号・第3号があるため、アプリだけで役務を提供する場合にウェブページを設ける義務はありません。
必ず入れる事項
自社の役務が対象に当たるかの判定結果
電気通信事業法27条の12の名宛人は、電気通信事業者と第三号事業を営む者のうち総務省令で定める役務を提供する者に限られます。電気通信事業法施行規則22条の2の27は対象を4類型に絞っており、判定の根拠を残さないと、義務の範囲が過大にも過小にもぶれます。
情報送信指令通信ごとの一覧(タグ・SDK 単位)
電気通信事業法施行規則22条の2の29は、通知・公表すべき事項を情報送信指令通信ごとに定めると規定します。広告タグ、解析タグ、チャット、動画、SNS ボタンを一括りにすると、送信の単位で読める形になりません。
送信されることとなる利用者に関する情報の内容
Cookie ID、広告識別子、閲覧 URL、端末情報、IP アドレスなど何が送信されるかは、電気通信事業法施行規則22条の2の29第1号が求める事項です。個人情報に当たるかだけで絞り込むと、外部送信の実態を示す欄が空になります。
送信先で情報を取り扱うこととなる者の氏名又は名称
電気通信事業法施行規則22条の2の29第2号が求めるのは、送信先の設備そのものではなく、その設備を用いて情報を取り扱うこととなる者の氏名又は名称です。サービス名だけを書くと、実際に情報を扱う事業者名が読み取れません。
送信される情報の利用目的
電気通信事業法施行規則22条の2の29第3号は利用目的を求めます。広告配信、効果測定、アクセス解析、機能提供、不正検知は目的が異なり、まとめて書くと、利用者は送信の必要性と範囲を確かめられません。
除外事由に当たる送信の切り分け
電気通信事業法27条の12のただし書は、役務の提供に必要な情報、自社が発行し自社に戻る識別符号、利用者が同意している情報、オプトアウト措置を講じた場合の4類型を挙げます。どの送信がどれで外れるかを整理しないと、原則の表示が抜けます。
オプトアウト方式を採る場合の公表事項
電気通信事業法27条の12第4号ロを受けた電気通信事業法施行規則22条の2の31は、措置を講じている旨、停止対象が送信か利用かの別、求めの受付方法、役務の利用が制限されるときはその内容など7項目を挙げます。受付窓口の記載だけでは足りません。
最終更新日と変更管理の手順
タグや SDK は差し替えが多く、古い送信先が残ると電気通信事業法27条の12に基づく表示と実装がずれます。追加・削除時のレビュー担当と更新日を決めておくと、表示と実態の不一致を早い段階で見つけられます。
無効・効力が否定されやすい条項
古い雛形をそのまま使うと、次の点でつまずくことがあります。
Cookie を使うなら常に事前同意が要る、と書き切る落とし穴。電気通信事業法27条の12の原則は通知または公表であり、利用者が同意している情報は「ただし、当該情報が次に掲げるものである場合は、この限りでない。」として置かれた除外事由の一つにすぎません。同意を一律の要件と説明すると、不要な同意取得と拒否時の機能停止まで設計してしまい、表示と実装のずれをかえって増やします。
同意を取ったのだから通知・公表は要らない、と全体に広げる落とし穴。電気通信事業法27条の12第3号が除くのは「当該情報送信指令通信が起動させる情報送信機能により送信先の電気通信設備に送信されることについて当該利用者が同意している情報」に限られます。同意の対象に入っていないタグや、同意を撤回した利用者については、原則の表示義務が戻ると考えられます。
自社ドメインの Cookie なら全部対象外と扱う落とし穴。電気通信事業法27条の12第2号が除くのは「当該電気通信事業者又は第三号事業を営む者が当該利用者に対し当該電気通信役務を提供した際に当該利用者の電気通信設備に送信した識別符号(電気通信事業者又は第三号事業を営む者が、電気通信役務の提供に際し、利用者を他の者と区別して識別するために用いる文字、番号、記号その他の符号をいう。)」であって、自社の設備に戻るものに限られます。閲覧 URL や行動ログは識別符号ではなく、この除外の射程外と整理されます。
表示や不正検知に必要だから全部第1号で外れる、と広げる落とし穴。電気通信事業法27条の12第1号の情報を定める電気通信事業法施行規則22条の2の30は、その必要の範囲内において送信する場合に限る、とただし書で限定しています。ひとつの SDK でも、必要な範囲を超えて広告目的にも送っているなら、その部分は除外の対象外と整理されます。
広告タグも解析も動画埋め込みも一語でまとめる落とし穴。電気通信事業法施行規則22条の2の29は、通知・公表すべき事項を情報送信指令通信ごとに定めます。送信先も利用目的も違うものを一括表示すると、どれが広告用でどれが機能提供用かを利用者が判断できず、停止を求める手がかりも失われます。
英語のまま、あるいは専門用語のままの文面を貼る落とし穴。電気通信事業法施行規則22条の2の28第1項は、日本語を用い、専門用語を避け、平易な表現を用いること、操作を行うことなく文字が適切な大きさで画面に表示されるようにすることを求めます。原文を訳さず載せる、極小の文字で置く、拡大操作を前提にするといった置き方は、この要件と合いません。
個人情報保護法の対応が済んだから外部送信も済んだ、と扱う落とし穴。個人情報保護法31条1項は、第三者が個人関連情報データベース等を構成する個人関連情報を個人データとして取得することが想定されるとき、「当該第三者が個人関連情報取扱事業者から個人関連情報の提供を受けて本人が識別される個人データとして取得することを認める旨の当該本人の同意が得られていること。」の確認を求めます。電気通信事業法27条の12の表示義務とは別の軸で点検します。
作成の流れ
- 1
対象役務に当たるかを判定する
電気通信事業法27条の12の名宛人は、電気通信事業者と第三号事業を営む者のうち総務省令で定める役務を提供する者です。第三号事業とは、他人の通信を媒介する電気通信役務以外の電気通信役務を、電気通信回線設備を設置せずに提供する電気通信事業です(電気通信事業法164条1項3号。ドメイン名電気通信役務など同号イからハに掲げる役務に係る除外があります)。登録や届出のない一般のサイトやアプリの運営者もここに入り得ます。電気通信事業法施行規則22条の2の27は、他人の通信を媒介する役務、投稿された情報を不特定の利用者の求めに応じて送信する役務、検索、不特定の利用者の閲覧に供することを目的とする情報送信の4類型を挙げ、ブラウザ等のソフトウェアで提供されるものに限っています。判定の根拠と結論を記録に残します。
- 2
情報送信指令通信を棚卸しする
サイト、アプリ、LP、フォーム、決済画面に入っている広告タグ、解析タグ、チャット、動画、SNS、フォント、地図、不正検知 SDK を一覧化します。電気通信事業法27条の12が対象にするのは、利用者の端末が持つ情報送信機能を起動させる指令の送信なので、個人情報に当たるかではなく、外部へ送られるかで拾います。
- 3
各送信について除外事由を判定する
棚卸しした送信ごとに、電気通信事業法27条の12第1号から第4号までのどれで外れるか、外れないかを判定します。第1号は電気通信事業法施行規則22条の2の30が定める情報で、必要の範囲内の送信に限られます。第2号は自社が発行し自社に戻る識別符号、第3号は利用者の同意、第4号はオプトアウト措置とその公表を備え、かつ利用者がその適用を求めていない場合です。
- 4
通知か公表かを決めて事項を書き出す
電気通信事業法施行規則22条の2の29が求める3事項、すなわち送信されることとなる利用者に関する情報の内容、その情報を取り扱うこととなる者の氏名又は名称、利用目的を、情報送信指令通信ごとに書き出します。オプトアウトを採る場合は、電気通信事業法施行規則22条の2の31が挙げる7項目を別に用意します。
- 5
表示場所と到達経路を実装に落とす
電気通信事業法施行規則22条の2の28は、通知の場合は事項またはその掲載画面の所在を即時に表示する方法を、公表の場合は情報送信指令通信を行うウェブページかそこから容易に到達できるウェブページでの表示を挙げます。アプリでは、最初に表示される画面か、そこから容易に到達できる画面に置きます。
- 6
公開後の記録と更新を回す
表示日時、文面、タグ一覧、オプトアウト設定の状態を証跡として残します。新しい広告媒体や解析ツールを入れる前に文面を更新し、最終更新日を変えます。タグを外したときも記載を消し、電気通信事業法27条の12に基づく表示と実装の差分を残さない運用にします。
専門家に相談したほうがよい場面
対象役務に当たるかの判定、同意とオプトアウトのどちらを採るか、海外事業者のタグ、会員データとの突合やプロファイリング、子ども向けサービスの扱いは、電気通信事業法27条の12と個人情報保護法の双方に関わります。総務省と個人情報保護委員会の公表資料を確認し、必要に応じて弁護士に相談してください。当社は士業資格者を擁さず、書類作成の受託、代理、個別事案の適法性判断は行いません。利用者自身による編集・公開を前提とした支援ツールです。
よくある質問
- 自社のコーポレートサイトや LP も外部送信規律の対象ですか。
- 対象かどうかは役務の性質で決まります。電気通信事業法27条の12の名宛人は、電気通信事業者と第三号事業を営む者のうち総務省令で定める役務を提供する者に限られます。電気通信事業法施行規則22条の2の27が挙げるのは、他人の通信を媒介する役務、投稿された情報を不特定の利用者の求めに応じて送信する役務、検索、不特定の利用者の閲覧に供することを目的とする情報送信の4類型で、いずれもブラウザ等のソフトウェアで提供されるものに限られます。第2号から第4号までは他人の通信の用に供する役務であることも条文上の要素です。該当性は事案ごとの判断になるため、総務省の公表資料で確認し、迷う場合は弁護士に相談してください。
- 同意ボタンは必ず置かなければなりませんか。
- 電気通信事業法27条の12の原則は、所定事項を利用者に通知するか、利用者が容易に知り得る状態に置くことです。利用者の同意は第3号の、オプトアウト措置は第4号の除外事由として置かれており、同意ボタンが一律の効力要件とされているわけではありません。ただし、個人情報保護法31条1項の個人関連情報に関する規制は別の軸で働き、提供先が個人データとして取得することが想定される場面では、本人の同意が得られていることの確認が求められます。
- オプトアウト方式にする場合、何を書けばよいですか。
- 電気通信事業法27条の12第4号イは「利用者の求めに応じて次のいずれかに掲げる行為を停止する措置を講じていること。」を求め、停止の対象は情報の送信か、送信された情報の利用のいずれかです。電気通信事業法27条の12第4号ロは、この措置、求めを受け付ける方法その他の総務省令で定める事項を利用者が容易に知り得る状態に置いていることを求めます。第4号による除外は、イとロの両方に該当し、かつ当該利用者がイの措置の適用を求めていない情報についてのみ認められます。この第4号ロを受けた電気通信事業法施行規則22条の2の31は、措置を講じている旨、停止対象がどちらかの別、求めの受付方法、オプトアウトによって役務の利用が制限されるときはその内容、送信される情報(電気通信事業法27条の12第1号及び第2号に掲げるものを除く)の内容と取り扱う者の氏名又は名称と利用目的の7項目を挙げます。
- プライバシーポリシーにまとめてもよいですか。
- まとめること自体が排除されるわけではありません。電気通信事業法施行規則22条の2の28は、公表による場合、情報送信指令通信を行うウェブページか、そこから容易に到達できるウェブページに事項を表示することを求めます。個人情報保護法に基づく利用目的や第三者提供の説明に埋もれて、送信される情報、取り扱う者、利用目的が情報送信指令通信ごとに読み取れなくなる構成は、この要件に合いにくいと考えられます。
- 表示をしないままでいると、どうなりますか。
- 電気通信事業法27条の12に違反したときは、電気通信事業法29条2項により、総務大臣が利用者の利益を確保するために必要な限度において「業務の方法の改善その他の措置をとるべきことを命ずることができる。」とされ、第三号事業を営む者もその対象に含まれます。電気通信事業法186条は、この命令に違反した場合について「次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、二百万円以下の罰金に処する。」と定めます。表示の欠落がただちに罰則に直結する構造ではありませんが、行政処分の端緒になります。
出典
- e-Gov法令検索:電気通信事業法
- e-Gov法令検索:電気通信事業法施行規則
- e-Gov法令検索:個人情報の保護に関する法律
- 総務省:外部送信規律(法令・ガイドライン・パンフレット)
- 個人情報保護委員会:個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)
最終確認日: 2026-08-27
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