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情報システム・モデル取引・契約書(第一版・第二版、受託開発/パッケージ・SaaS活用/保守運用)

情報システム・モデル取引・契約書は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公開する、システム開発の外部委託で使う契約書のひな型と解説です。行政庁への申請書でも法令の様式でもなく、利用は任意で法的強制力はありません。経済産業省が2007年に公開し、IPAが2019〜2020年に見直して2020年12月22日に「第二版」を公開しました。公開ページの最終更新日は2025年6月17日、<第二版>本体と<第二版追補版>のWordファイルは2025年4月8日更新版です(ひな型など他のファイルは更新日表記が異なります)。

全国統一様式発行:経済産業省/IPA最終確認:2026-08-06

誰が・どんなときに必要?

使うのは、情報システムの開発や保守運用を外部に委託するユーザ企業と、それを受託するITベンダの双方です。提出期限のような法定の期日はなく、契約交渉に入る前や個別契約を結ぶ前の検討段階で参照します。「第二版」は受託開発(一部企画を含む)と保守運用を対象とし、パッケージやSaaS/ASPを活用する場合は「第二版追補版」が扱います。アジャイル開発を外部委託する場合は、2020年3月31日公開の別系統「アジャイル開発版」があります。

手続きの流れ

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    開発形態に合わせてどの文書を使うか決める

    IPAの公開ページには、受託開発(一部企画を含む)・保守運用の「第二版」、パッケージ・SaaS/ASP活用・保守・運用の「第二版追補版」と別紙、「重要事項説明書(第二版追補版付属)」、セキュリティ仕様関連文書2点が並びます。「第二版」には解説付きの本体と、解説文が無く条文のみの「(ひな型)」の2種類があります。スクラムを前提とするアジャイル開発は別ページの版が対象です。

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    「利用時の注意事項」を先に読み、参照法令を自分で確認する

    IPAは、本モデル契約書での参照法規は公表当時の版の内容に基づくこと、公開文書から参照している法律等が改正されている場合があるので利用の際は十分に確認することを注意事項として掲げています。実際に、個人情報保護法の改正・施行に伴って文書内の参照条項の番号を変更した履歴もあります。条文を引用する前に、現行法の条番号を必ず確認してください。

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    「見直しのポイント」を読んで自社の争点を洗い出す

    民法改正整理反映版では、請負契約における契約不適合責任として報酬減額請求権の追加への対応、損害賠償と解除の位置づけ、権利行使の期間制限が、報酬請求権として成果報酬型準委任の位置づけと中途解除の場合の報酬請求権が論点とされました。「第二版」ではセキュリティ、プロジェクトマネジメント義務及び協力義務、「重大な過失」の明確化、複数契約の関係、再構築対応の5点が加わっています。

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    多段階契約であることを前提に工程ごとの条件を詰める

    IPAは、多段階契約では下流工程でトラブルが生じた際にユーザが上流工程まで遡って解除に基づく代金返還請求や損害賠償責任の追及をする紛争が頻発しているとし、複数の個別契約の処理は個別契約の関係や問題となった債務不履行次第であることから、裁判例を整理した共通理解を解除条項の逐条解説に追記したと説明しています。条番号を伴う判断は、入手したWord版の本文で確認してください。

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    セキュリティ仕様を協議し、決めなかったことも記録に残す

    「第二版」は、ユーザとベンダがそれぞれの立場に応じて必要な情報を示しつつリスクやコスト等を相互に協議してセキュリティ仕様を決めることを前提に、定義条項・責任者条項・セキュリティ条項を見直しています。IPAは、対策を実装しない場合にもその旨を記録することが重要だとしています。参照情報の一例として、セキュリティ仕様関連文書2点が同時に公開されています。

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    自社の取引に合わせて改変し、法令上の義務は別に確認する

    Word形式は自由に改変できますが、法令上の義務は置き換わりません。プログラムの作成の委託は、発注側が情報成果物の提供や作成を業として行う場合などに、中小受託取引適正化法の「情報成果物作成委託」に当たり得ます(自社で使うシステムの外注は自社がその作成を業とする場合に限ります)。これに当たり資本金・従業員数の要件も満たせば、発注のつど直ちに、給付内容や代金の額等を書面又は電磁的方法で明示する義務が生じます。委託先が従業員のいない個人なら、規模を問わずフリーランス法第3条の同様の明示義務がかかり得ます。

主な必要書類

  • 情報システム・モデル取引・契約書(受託開発(一部企画を含む)、保守運用)<第二版>(Word)解説付きの本体です。2025年4月8日更新版が公開されています。
  • 同<第二版>(ひな型)(Word)解説文は無く、条文のみで構成されています。
  • 情報システム・モデル取引・契約書(パッケージ、SaaS/ASP活用、保守・運用)<第二版追補版>(Word)2025年4月8日更新版が公開されています。
  • <第二版追補版-別紙>(PDF)追補版に付属する別紙です。
  • <重要事項説明書(第二版追補版付属)>(Word)追補版に付属する文書です。第二版本体の付属ではありません。
  • 情報システム開発契約のセキュリティ仕様作成のためのガイドライン ~Windows Active Directory編~(Word)随時更新されており、最新版はソフトウェア協会(SAJ)Software-ISACのwiki文書を参照します。
  • セキュリティ仕様策定プロセス(Word)上記ガイドラインに対応するプロセスを整理した文書です。
  • 全体の解説「第二版公表にあたって」/「第一版及び追補版 DX推進のための見直しにおける民法改正を踏まえた整理にあたって」(PDF)見直しの経緯と考え方をまとめた解説です。
  • アジャイル開発版 情報システム・モデル取引・契約書(別ページ)契約前チェックリストやアジャイル開発進め方の指針などの補足資料を含みます。

※ 機関設計や事案により必要書類は増減します。

費用(実費)

行政庁への申請・登録・許可の手続ではないため、申請手数料や登録免許税は生じません。文書はIPAのウェブサイトから無償でダウンロードでき、Word形式のものは自由にカスタマイズして利用できます。なお、実際に締結する契約書の印紙税の取扱いは契約の内容によって異なりますので、所轄の税務署にご確認ください。

提出先・提出方法

行政庁に提出する書類ではありません。ユーザ企業とITベンダが当事者として取り交わす契約書のひな型で、文書の公開元は独立行政法人情報処理推進機構(IPA)デジタル基盤センターです。作成にあたっては「モデル取引・契約書見直し検討部会」の下で、ユーザ企業、ITベンダおよび法律専門家から成る検討WGが議論を行ったとされています。

つまずきやすいポイント

  • 「モデル契約書だからそのまま使えば安全」と考えてしまうことです。IPAは、中立的な立場でユーザ企業・ITベンダいずれかにメリットが偏らない契約書作成を目指した点を特長として挙げており、個別の案件に必要な調整は当事者が行う前提です。Word形式は自由にカスタマイズできると明記されています。
  • 公表当時の法令を前提にした記述をそのまま引用してしまうことです。IPAは、参照法規が公表当時の版に基づくこと、参照している法律等が改正されている場合があることを注意事項として掲げています。実際に個人情報保護法の改正・施行に伴い、文書内の参照条項の番号が変更された履歴があります。
  • 契約不適合責任の期間を改正前の感覚で決めてしまうことです。IPAは、改正後は不適合を知った時から1年以内の通知でよく、知るまでの間は消滅時効の一般規定で10年間権利行使され得ると整理しています。ただしモデル契約の見直し結果はこれと同じではなく、起算点を検収完了時とする客観的な規律は維持しつつ、ベンダの故意・重過失による不適合は適用除外にするとしています。実際の条項はWord版で確認してください。
  • アジャイル開発に請負型の枠組みをそのまま当てはめてしまうことです。アジャイル開発版は準委任契約を前提としており、IPAは、受発注契約の下でアジャイル開発を行う場合の偽装請負を指摘されるリスクについて、厚生労働省の疑義応答集(第3集)を参考にするよう案内しています。
  • ひな型で法令上の義務まで果たせると考えることです。プログラム作成委託が中小受託取引適正化法の「情報成果物作成委託」に当たる場合、委託事業者は発注のつど直ちに給付内容や代金の額等を書面又は電磁的方法で明示する義務があります(正当な理由で定められない事項は定まり次第明示)。委託先が従業員のいない個人ならフリーランス法第3条でも同様に書面又は電磁的方法での明示義務が生じ得ます。重なり得るため公正取引委員会・中小企業庁の案内で確認してください。

よくある質問

このモデル契約書を使わないと違法になりますか。

いいえ。これは行政庁への申請書でも法令で定められた様式でもなく、契約書のひな型と解説です。IPAは、モデル契約は情報システム開発における各局面の取引構造を透明化するためのツールであり、その普及によりITベンダの産業構造転換、情報システムの信頼性向上、ユーザ・ベンダ一体となった生産性向上の促進が期待されると説明しています。利用は任意で、内容の取捨選択や修正も当事者の判断で行えます。

「第二版」と「第二版追補版」はどう使い分けますか。

「情報システム・モデル取引・契約書(受託開発(一部企画を含む)、保守運用)<第二版>」は受託開発と保守運用を、「(パッケージ、SaaS/ASP活用、保守・運用)<第二版追補版>」はパッケージやSaaS/ASPを活用する場合を対象としています。追補版には別紙と「重要事項説明書(第二版追補版付属)」が付属します。IPAは、追補版については時間の関係で第一版の見直し内容がそのまま妥当する範囲で見直しを行うにとどめていると説明しています。

条文の番号を引用したいのですが、どこを見ればよいですか。

条番号や条文の構造は、配布されているWord形式の文書本体で確認してください。解説文の無い「(ひな型)」版は条文のみで構成されています。IPAは更新履歴で、参照先の条番号の修正や、法改正に伴う参照条項の番号変更を行った旨を公表しています。手元のファイルが最新版かどうかも、公開ページの更新履歴とあわせて確認することをおすすめします。

アジャイル開発の場合も同じ契約書を使えますか。

アジャイル開発を外部委託する場合は、2020年3月31日に公開された別系統の「アジャイル開発版 情報システム・モデル取引・契約書」があります。IPAは、この版はあらかじめ特定した成果物の完成に対して対価を支払う請負契約ではなく、ベンダ企業が専門家として業務を遂行すること自体に対価を支払う準委任契約を前提としていると説明しています。契約前チェックリストなどの補足資料も提供されています。

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※ 本ページは一般的な情報提供であり、個別の法律判断ではありません。掲載内容は経産省・中小企業庁が公開する公式情報に基づく概要です。様式・要件は改版される場合がありますので、必ず公式ページで最新版をご確認ください。当サイトは様式ファイルをホスティングしていません。