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下請代金支払遅延等防止法 第3条書面(発注書面)参考例/第5条書類 記載事項

「下請法3条書面」「下請法5条書類」と呼ばれてきた書面は、令和8年1月1日施行の改正で根拠が変わりました。現行法は「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」(昭和31年法律第120号。略称・取適法、旧称・下請代金支払遅延等防止法)で、発注時の書面は第4条の「明示」、取引記録は第7条の「書類等の作成及び保存」です。「親事業者」は「委託事業者」、「下請事業者」は「中小受託事業者」に改められました。様式の指定はなく、規則の定める事項を満たせば自社の注文書や契約書を使えます。

全国統一様式発行:公正取引委員会(中小企業庁と共管)最終確認:2026-07-31

誰が・どんなときに必要?

法第2条第8項の「委託事業者」が「中小受託事業者」に製造委託・修理委託・情報成果物作成委託・役務提供委託・特定運送委託をした場合に義務が生じます。第4条の明示は発注のつど直ちに行い、第7条の記録は該当する事実が生じ、または明らかになったつど速やかに記載・記録します。対象かどうかは資本金の額または出資の総額で判定し、資本金基準が適用されない場合は従業員基準(製造委託等は300人、情報成果物作成委託・役務提供委託は100人)で判定します。改正法は令和8年1月1日以降にした製造委託等に適用されます。

手続きの流れ

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    自社と取引先が対象になるかを条文の数値で確認する

    物品の製造・修理・特定運送の委託と、政令で定める情報成果物(プログラム)・役務(運送、物品の倉庫における保管、情報処理)の委託は、資本金3億円超対3億円以下、または1千万円超3億円以下対1千万円以下の組合せです。それ以外の情報成果物作成委託・役務提供委託は、5千万円超対5千万円以下、または1千万円超5千万円以下対1千万円以下です。資本金基準が適用されない場合は従業員基準で判定されるため、資本金だけで対象外と判断しないでください。

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    従業員数の数え方とみなし適用を確認する

    「常時使用する従業員の数」は、労働基準法第9条の労働者のうち日々雇い入れられる者(1か月を超えて引き続き使用される者を除く)以外の者、つまり賃金台帳の調製対象となる労働者の数で算定し、正社員のほか契約社員・パートタイマー・アルバイトも含みます。判定は個々の製造委託等をした時点の人数です。また、資本金1千万円超または従業員100人超の事業者から役員の任免等について支配を受け、受けた委託の全部または相当部分を再委託する場合は、みなし適用があります(法第2条第10項)。

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    第4条明示に必要な事項をそろえる

    明示規則(令和7年公正取引委員会規則第8号)第1条第1項は、当事者双方の商号等、委託をした日、給付の内容、受領する期日および場所、検査を完了する期日、代金の額および支払期日、一括決済方式や電子記録債権による支払の事項、有償支給する原材料等の品名等、未定事項の理由と予定期日を定めています。代金は具体的な金額が原則ですが、やむを得ない事情があるときは算定方法の明示で足ります(同条第2項)。

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    発注のつど直ちに交付または電磁的方法で提供する

    明示は、書面の交付か、電子メール等の送信もしくは記録媒体の交付という電磁的方法で行います(明示規則第2条第1項)。契約書等が明示事項をすべて網羅していればその交付をもって明示とできますが、明示は発注後直ちに行う必要があるため、発注から契約書の締結までに時間を要する場合は、契約書とは別に第4条の明示をしなければなりません。内容が定められないことに正当な理由がある事項は、定まった後に直ちに補充の明示が必要です(法第4条第1項ただし書)。

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    共通事項は「その書面による」旨を発注のつど明示する

    支払方法や検査期間など一定期間共通の事項は、その旨をあらかじめ書面の交付または電磁的方法による提供で明示しておけば、その期間内は当該事項そのものを発注のつど明示する必要がなくなります(明示規則第1条第3項)。ただしこの場合も、発注のつど「代金の支払方法等については現行の『支払方法等について』による」旨を明示し、個々の明示と共通事項の明示との関連性を明らかにしなければなりません。共通事項の書面等には有効である期間を明記します。

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    第7条記録を中小受託事業者別に作成し2年間保存する

    記録規則(令和7年公正取引委員会規則第10号)第1条は、給付の内容と受領した日、検査を完了した日と結果、変更ややり直しの内容と理由、代金の額・支払期日・増減額と理由、支払額・支払日・支払方法、遅延利息の額と日など13号の事項を定めます。事実が生じ、または明らかになったときに速やかに、中小受託事業者別に記載します(同規則第2条)。保存期間は、記載・記録をすべき事項の全部を記載または記録した日から2年間です(同規則第3条)。

主な必要書類

  • 注文書・発注書(第4条明示の本体)様式は自由。明示規則第1条第1項の事項をすべて満たせば既存の注文書でも可。
  • 仕様書・図面・検査基準給付の内容を別紙で交付する場合は、本体の書面にその旨を付記します。
  • 単価表など代金の算定方法を示す別添具体的な金額の明示が困難なやむを得ない事情がある場合に使います。
  • 共通事項を定めた書面(「支払方法等について」等)有効である期間の明記と、発注のつどの関連性の明示が必要です。
  • 有償支給原材料等に関する明示事項の書面品名・数量・対価・引渡しの期日・決済の期日および方法を記載します。
  • 第7条記録用の帳票または電磁的記録中小受託事業者別に記録規則第1条の事項を記載・記録します。

※ 機関設計や事案により必要書類は増減します。

費用(実費)

行政庁への申請・登録・許可の手続ではないため、申請手数料や登録免許税は生じません。印紙税について公正取引委員会のテキストは、参考例として示された発注書は一方的に取引条件等を通知する文書であり課税文書には該当しないと整理する一方、中小受託事業者が署名・押印して返送する請書は課税文書となり、中小受託事業者が納税義務者になるとしています。個別の課税判断は所轄税務署にご確認ください。

提出先・提出方法

行政庁に提出する書類ではありません。第4条の明示は中小受託事業者に対して交付または提供し、第7条の記録は委託事業者が自社で作成・保存します。所管は公正取引委員会で、中小企業庁長官および製造委託等に関する取引に係る事業を所管する大臣にも指導・助言や報告徴収・立入検査の権限があります(法第8条・第12条)。

つまずきやすいポイント

  • 旧法の条文番号のまま書面を運用してしまうことです。令和8年1月1日以降、発注時の書面は第3条ではなく第4条、取引記録は第5条ではなく第7条が根拠になり、法律名も「下請代金支払遅延等防止法」から現行名に変わりました。社内テンプレートの条文引用と用語(親事業者・下請事業者)を更新してください。
  • 共通事項をあらかじめ明示したことで、発注のつどの明示が丸ごと不要になると考えてしまうことです。この場合も、発注のつど共通事項の書面によることを明示し、個々の発注との関連性を明らかにする必要があります。関連性の記載を落とすと法第4条第1項違反になります。
  • パート・アルバイトを除いて従業員数を数え、対象外だと判断してしまうことです。従業員基準は賃金台帳の調製対象となる労働者の数で算定し、契約社員・パートタイマー・アルバイトも含みます。判定は個々の製造委託等をした時点で行われます。
  • 第4条明示の写しを保存すれば第7条記録になると考えてしまうことです。公正取引委員会のQ&Aは、写しを記録の一部とすることは可能としつつ、取引開始時に定めた事項だけでは記録事項をすべて満たせず作成・保存義務違反になるとしています。受領日・検査結果・実際の支払額も記録してください。
  • 保存期間の起算点を取引日や支払日と取り違えることです。記録規則第3条の2年間は、記載または記録をすべき事項の全部を記載・記録した日から数えます。取引が長期にわたる場合、起算点は最後の事項を記録した日になります。

よくある質問

決まった様式やひな形はありますか。

法令上、様式の指定はありません。公正取引委員会のテキストは、様式に特に制約はなく、各委託事業者が自社の取引内容に即したものを作成できるとしています。同テキストには汎用・製造委託・役務提供委託向けの書式例が参考例として掲載されているので、自社の注文書と記載事項を突き合わせる際の手がかりになります。

メールやEDIで明示してもよいですか。

可能です。明示規則第2条第1項は、電子メールその他の受信者を特定して情報を伝達する電気通信を送信する方法と、電磁的記録を記録した記録媒体を交付する方法を挙げています。ただし明示事項が相手方の画面に文字等で明確に表示されるものである必要があり、書面の交付を求められたときは法第4条第2項により遅滞なく交付しなければなりません(明示規則第4条が定める場合を除きます)。

支払期日を「納品後30日以内」と書いてもよいですか。

公正取引委員会のテキストは、この書き方では支払期日が特定されないため認められないとしています。支払期日は法第3条第1項により、給付を受領した日から起算して60日の期間内で、かつできる限り短い期間内に定める必要があります。「毎月末日納品締切、翌月末日支払」のように日が特定できる書き方にしてください。

明示や記録を怠った場合の罰則はどうなっていますか。

法第14条は、第4条第1項の明示をしなかったとき、第4条第2項の書面を交付しなかったとき、第7条に違反して書類・電磁的記録を作成せず、保存せず、または虚偽のものを作成したときについて、違反行為をした委託事業者の代表者、代理人、使用人その他の従業者を50万円以下の罰金に処すると定めています。さらに法第16条の両罰規定により、法人または人にも各本条の刑が科されます。

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