定期建物賃貸借契約書(定期借家契約書)
定期借家契約書、定期借家契約、定期建物賃貸借契約、定期賃貸住宅契約書、更新のない賃貸借契約書とも呼ばれます。
定期建物賃貸借契約書は、期間満了で更新なく終了する定期借家の契約書です。普通借家では、通知がなければ同一の条件で更新したものとみなされます。ただし、更新後の期間は定めがないものとされます。賃貸人の更新拒絶や解約申入れには正当の事由が要ります(借地借家法38条1項)。
| 書面の要否 | 書面要件あり。電磁的記録も書面扱いです(借地借家法38条1項)。 |
|---|---|
| 事前説明 | 契約前に別個の書面を交付して説明します(借地借家法38条3項)。 |
| 説明欠缺 | 更新なしの定めは無効です(借地借家法38条5項)。 |
| 終了通知 | 期間1年以上なら満了の1年前から6月前までです(借地借家法38条6項)。 |
| 中途解約 | 居住用200平方メートル未満で事情ある賃借人に限ります(借地借家法38条7項)。 |
最終確認日:
どんなときに必要か
決めた時期に明渡しを受けたい賃貸で使います。転勤中の自宅、建替えや売却予定の建物、期間限定の店舗や社宅に向きます。1年未満の期間も設定できます(借地借家法38条1項)。
書面にする必要はあるか
法定の書面要件があります。契約内容を記録した電磁的記録も書面とみなされます。賃貸人は契約前に、更新なく期間満了で終了する旨を書面で交付して説明します(借地借家法38条1項)。
記載が必要な事項
定期借家の中核は、更新なく期間満了で終了する旨の定めと、契約前の別個の事前説明書面です。これに期間、当事者、建物、賃料などを加えます。
更新なしの定め
期間満了で更新なく終了する旨は、定期借家の中核です。欠くと普通借家となり、通知がなければ同一の条件で更新したものとみなされます(借地借家法38条1項)。
契約期間
定期借家は期間の定めがある建物賃貸借です。始期と終期を年月日で特定しないと、終了時期を示す根拠が弱くなります。
事前説明書面
賃貸人は契約前に、更新なく期間満了で終了する旨を書面で交付して説明します。説明を欠くと、更新なしの定めは無効です(借地借家法38条5項)。
当事者と建物表示
誰と誰の間で、どの建物を貸す契約かを特定します。建物の一部を貸す場合は、対象部分と床面積も書きます。
賃料と支払条件
賃料、共益費、支払方法、支払期日は対価の中心です。特定しないと、滞納の有無や遅延の起算点で争いになりやすくなります。
借賃改定特約
借賃改定の特約がある場合、借賃増減請求権の規定は適用されません。特約の有無で、賃料改定の枠組みが変わります(借地借家法38条9項)。
終了通知の取決め
期間が1年以上なら、賃貸人は満了の1年前から6月前までに終了通知をします。遅れた通知でも、通知日から6月経過後は終了を対抗できます(借地借家法38条6項)。
中途解約の定め
居住用で床面積200平方メートル未満の建物では、やむを得ない事情で本拠として使えない賃借人は申入れから1月で終了できます(借地借家法38条7項)。
造作買取の取扱い
造作買取請求権を排除する特約は有効とされています。退去時の買取請求を受ける余地を残すかどうかを契約書で決めます。
無効・効力が否定されやすい条項
つまずきの中心は事前説明の運用です。契約書への組込み、同時説明、締結後説明では、更新なしの定めが無効となります(借地借家法38条5項)。
事前説明書面を契約書に組み込む形です。最高裁判決は、説明書面は契約書とは別個独立の書面としました(借地借家法38条5項)。
事前説明を契約と同時または締結後に行う形です。賃貸人は契約前に書面を交付して説明します。欠くと更新なしの定めは無効です(借地借家法38条5項)。
口頭だけで定期借家を合意する形です。書面または電磁的記録がなければ、更新なしの定めを置けません(借地借家法38条1項)。
終了通知の時期を賃貸人に有利にずらす特約や、一定の賃借人の中途解約を封じる特約は、賃借人に不利なら無効です(借地借家法38条8項)。
改正前に締結した居住用建物賃貸借を同じ当事者・同じ建物で切り替える形です。この場合は当分の間、現行の定期借家規定を適用しません。
造作買取請求権の排除特約を無効と説明する形です。借地借家法37条の列挙外で、排除できるとされています。
期間満了後も貸し続けるため、更新の覚書だけで済ませる形です。定期借家に更新はなく、続けるには再契約します。
店舗や事務所で中途解約の定めを置かない形です。居住用200平方メートル未満以外では、契約で解約権を留保しないと期間内解約はできません(民法618条)。
作成の流れ
流れは、定期借家の選択、主要条件の確定、契約前の事前説明、書面または電磁的記録での契約、満了前の終了通知です。
- 1
定期借家を選ぶ
普通借家では、通知がなければ同一の条件で更新したものとみなされます。ただし、更新後の期間は定めがないものとされます。賃貸人の更新拒絶や解約申入れには正当の事由が要ります。定期借家はこの枠組みから外れます。
- 2
主要条件を固める
始期と終期を年月日で特定します。1年未満の期間も設定できます。賃料、共益費、借賃改定特約、中途解約、造作買取の扱いも決めます(借地借家法38条1項)。
- 3
事前説明をする
賃貸人は契約前に、更新がなく期間満了で終了する旨を書面で交付して説明します。最高裁判決は、この書面を契約書とは別個独立の書面としました。
- 4
書面で契約する
契約は書面または契約内容を記録した電磁的記録で結びます。公正証書は書面の一例です。国土交通省は定期賃貸住宅標準契約書を公表しています。
- 5
終了通知を出す
期間が1年以上なら、賃貸人は満了の1年前から6月前までに終了通知をします。遅れた通知でも、通知日から6月経過後は終了を対抗できます(借地借家法38条6項)。
この書式だけでは足りない場面
公的な住宅契約書の例は、国土交通省の定期賃貸住宅標準契約書です。事前説明の有無、兼用書面、満了後の退去、普通借家からの切替えは、契約経緯の評価を伴います。
よくある質問
- 普通借家契約と何が違いますか。
- 普通借家は通知がなければ更新扱いです。定期借家は書面契約により、期間満了で更新なく終了します。
- 事前説明書面は契約書の中に入れてはいけないのですか。
- 最高裁判決は、説明書面は契約書とは別個独立の書面でなければならないとしました。
- 電子契約でも定期借家にできますか。
- 契約内容を記録した電磁的記録は、書面によってされたものとみなされます。
- 条文の項番号が違う解説があるのはなぜですか。
- 電磁的記録などの規定が加わり、事前説明、無効規定、終了通知の項番号が繰り下がったためです。
出典
最終確認日: 2026-09-20