督促状・催告書
督促状、催告書、支払催告書、最終通告書とも呼ばれます。
督促状・催告書は、支払期日後の代金や貸金について、債権者が債務者に支払を求める書面です。法律上の定義差はなく、実務上の呼び分けです。いずれも催告に当たり、その時から6か月は時効が完成しません(民法150条1項)。時効の更新ではなく、裁判所書記官が発する支払督促とも別です。
| 書面の要否 | 法定要件なし。証拠目的の書面です |
|---|---|
| 時効効果 | 6か月は時効が完成しません(民法150条1項) |
| 更新 | 更新ではなく完成猶予です |
| 再催告 | 猶予中の再催告に効力はありません(民法150条2項) |
| 支払督促 | 裁判所書記官が発する別手続です |
最終確認日:
どんなときに必要か
支払期日後も入金がないとき、電話やメールに応答がないとき、消滅時効の完成が近いときに使います。債権は、権利を行使できると知った時から5年、または権利を行使できる時から10年で時効により消滅します(民法166条1項)。期限が迫る場合、催告の到達後6か月の間に裁判上の請求などを準備します。
書面にする必要はあるか
法定の書面要件はなく、証拠目的の書面です。契約成立は、法令に特別の定めがある場合を除き、書面などの方式を要しません(民法522条2項)。時効の完成猶予を主張するには、通知の到達と内容を示す資料が要ります。実務では、内容証明郵便と配達証明で記録を残します。
記載が必要な事項
督促状・催告書は、どの債権について、いくらを、いつまでに支払うよう求めるかを特定する書面です。完成猶予の6か月は催告があった時から数えます。通知の効力は相手方への到達時に生じるため、送付方法の記録も扱います。
当事者と作成日
誰から誰への通知かを特定します。作成日は催告の時期を示す資料です。完成猶予の6か月は催告があった時から数え、通知の効力は到達時に生じるため、期限管理は到達日を基準にします(民法150条1項)。
債権の特定
どの債権の催告かを特定します。契約日、取引内容、請求書番号など、他の債権と区別できる情報を書きます。
未払残高の内訳
元本と遅延損害金を分け、いくら払えば完済かを示します。金銭債務の損害賠償額は遅滞責任が生じた時点の法定利率によります。約定利率がこれを超えるときは約定利率によります。
支払期限と方法
もとの支払期日と、新たに求める支払期限、振込先を書き分けます。確定期限がある債務は期限到来時から、期限を定めない債務は履行請求時から遅滞責任が生じます(民法412条1項)。
不払い時の方針
裁判上の請求や支払督促など、次の手続を検討している事実を伝えます。予定のない手続や威圧的な表現は入れません。
送付方法の記録
内容証明は文書内容を証明する取扱いです。配達または交付の事実は、配達証明で示します。片方だけでは、内容と到達の双方を示せません。
行き違い時の一文
発送と入金が行き違う場合があります。すでに支払済みの場合は本状を破棄する旨を添えると、事実と異なる督促という指摘を受けにくくなります。
無効・効力が否定されやすい条項
誤りやすい点は、催告で時効が更新されるという説明です。効果は完成猶予だけで、猶予中の再度の催告に効力はありません。到達を記録しない送り方、威迫的な文言、差押えができると読める記述も避けます。
催告で時効が更新されると書く雛形。効果は6か月の完成猶予であり、時効が新たに進むのは完成前の承認や確定判決等のときです(民法150条1項)。
催告を繰り返せば猶予を延長できるという運用。猶予中の再度の催告には、完成猶予の効力がありません(民法150条2項)。
普通郵便やメールだけで送り、控えも記録も残さない運用。到達を示せないと、意思表示の効力発生時と完成猶予を示しにくくなります。
威迫的な文言や、勤務先・家族への連絡をほのめかす文言。貸金業者と委託先は、取立てで人の私生活や業務の平穏を害する言動を禁じられます(貸金業法21条1項)。
内容証明で差押えができると読める記述。督促状・催告書に差押えの効力はなく、強制執行は債務名義により行います(民事執行法22条各号)。
作成の流れ
流れは、債権と時効の確認、書面内容の整理、送付方法の選択、到達後6か月の期限管理、相手の反応に応じた次の判断です。6か月以内に裁判上の請求や支払督促などを執らなければ、催告による猶予の効果は失われます(民法147条1項各号)。
- 1
債権を確認する
契約書、請求書、入金記録で、どの契約に基づくいくらの債権かを確認します。債権は、権利を行使できると知った時から5年、または権利を行使できる時から10年で時効により消滅します(民法166条1項)。
- 2
内容を組み立てる
当事者、債権の特定、未払残高、支払期限、振込先、不払い時の方針を事実に沿って書きます。もとの支払期日と、いつ請求したかを分けて示します(民法412条1項)。
- 3
送付方法を選ぶ
内容証明は文書内容を証明します。郵便認証司の認証があると、記載日付が確定日付になります。配達または交付の事実は配達証明で示します(郵便法58条1号)。
- 4
期限を管理する
催告の時から6か月は時効が完成せず、再度の催告で猶予は延びません(民法150条1項、民法150条2項)。6か月以内に、民法147条1項各号が掲げる裁判上の請求、支払督促、和解、調停、倒産手続への参加などを執ります。
- 5
次を決める
相手が支払義務を認めた場合、完成前の権利承認なら時効は新たに進み始めます。分割払いなら債務承認弁済契約書の検討対象です。債権の存否を争われた場合は、手続選択の問題になります(民法152条1項)。
この書式だけでは足りない場面
債務の存否や金額を争われた場合、相手に弁護士が就いた場合、破産・再生の検討を告げられた場合は、書面より手続選択の問題です。受け取った側が長く支払っていない債務について支払や分割を申し出ると、権利の承認に当たることがあります。報酬を得て他人の債権の交渉や代理を業とすることは、弁護士又は弁護士法人でない者にはできません(弁護士法72条)。ただし、弁護士法又は他の法律に別段の定めがある場合は除かれます。
よくある質問
- 督促状と催告書はどう違いますか。
- 法律上の効果に違いはありません。実務上、穏当な通知を督促状、最終的な通知を催告書と呼び分けます。
- 催告書を送れば時効は止まりますか。
- 6か月だけ完成しない状態になります。時効が振り出しに戻る更新ではありません(民法150条1項)。
- 内容証明郵便で送らなければいけませんか。
- 義務ではありません。内容と到達を残すため、内容証明と配達証明が使われます。
- 回収を第三者に代行してもらえますか。
- 報酬を得て法律事件の代理や和解を業とすることは、弁護士又は弁護士法人でない者には禁じられます(弁護士法72条)。
出典
- e-Gov法令検索 民法(明治二十九年法律第八十九号)
- e-Gov法令検索 郵便法(昭和二十二年法律第百六十五号)
- e-Gov法令検索 弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)
- e-Gov法令検索 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)
- e-Gov法令検索 民事執行法(昭和五十四年法律第四号)
- e-Gov法令検索 司法書士法(昭和二十五年法律第百九十七号)
- e-Gov法令検索 裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)
- e-Gov法令検索 民法施行法(明治三十一年法律第十一号)
- e-Gov法令検索 貸金業法(昭和五十八年法律第三十二号)
- 裁判所「支払督促」
- 法務省「民法の一部を改正する法律(債権法改正)について」
- 金融庁「多重債務者対策・貸金業法等について」
最終確認日: 2026-09-20